QE3とインフレ懸念

米国には2種類の人がいる

50%が株式等の資産を持っている人。
50%が株式等の資産を持っていない人。

そして、株式等の資産を持っている人のうち、20%が米国の富の80%を保有している。
(補足:人口の5%が60%の富を保有)

このような富の偏在が起きているのは周知の事実だ。

このような状況において、QE3(量的緩和 第3弾)を行うことは政権にとって脅威を招く可能性が高い。

量的緩和は以下のことをいう。
(1)金融機関への貸し出し
(2)信用市場に対する流動性の供給
(3)MBS(Mortgage Backed Security:主に住宅ローンなどの不動産担保融資を裏付け債権として発行された証券)の買い入れ
(4)伝統的な国債保有
(5)長期国債の買い入れのこと(図1)


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引用:日経ビジネスONLINE http://business.nikkeibp.co.jp/article/money/20110303/218715/
(宿輪先生の記事を参考にさせて頂きました。宿輪ゼミ→http://www.shukuwa.jp/


QE3はインフレを招く

図2でわかるように、以前は8000億ドルだったドルの流動性は3倍の24000億ドルまで膨れ上がった。この有り余った資金は、インフレを招く可能性が高い。

実際、3倍に増加し、有り余ったドルは投資先として商品市場に流れ込み商品価格を上昇させる一因となった。

人口の50%がインフレに強い株式といった資産を持っていないのに、QE3によって資金をばらまくことは、インフレを生じさせ、50%の富を持たない人の生活を圧迫させてしまうだろう。
つまり、政府は選挙権のある国民の50%を敵に回してしまうだろう。

このような背景を考えると、QE3を出す事は困難であるのが実情であると推測される。


中国の富の偏在

中国も米国と同じ状況であり、米国よりも更に富の偏在の度合いが激しいため、
インフレを抑えることは死活問題となる。

聞いた話では、中国における所得格差は1%の人口が42%弱の富を保有しているようだ。

所得分配の不平等さを測るものとしてジニ係数がある。この指数は0.4を超えると、格差が顕著な社会と感じられるレベルとされる。その指数の警戒線とされる0.4を超える0.47という水準に、中国は2009年時点で到達している。

実際に生活したこともないため、実情は分からないが、
この状況におけるインフレはかなりの致命傷を中国政府に与える可能性が高いことは明らかだ。

なお余談だが、既に中国の上海や香港といった地域は、実情として東京の物価を上回っているようだ。参考:http://www.asyura2.com/10/nametoroku6/msg/917.html