損切りで成績はアップするか?

損切りで成績はアップするか?





損切りはすべき?
損切り株式投資においてリスクコントロールの1つです。
損切りをすべきか、すべきでないか」は悩むところでしょう。

損切り=損失を確定することなので、損切りに対して抵抗がある方もいるかもしれません。しかし、損切りをしないと塩漬け状態に陥ってしまう可能性もあります。
損切りについての考え方は人それぞれですが、統計的に見てはたして損切りは有効なのでしょうか。今回は順張り系の売買ルールを用いて調べてみたいと思います。

売りルールとして、損切りしない場合と含み損が-5%、-10%、-20%に達したときに損切りする場合の4パターンについて、それぞれ検証を行いました。
検証条件は以下の通りです。

【検証条件】
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※
順張り系(高値更新銘柄の買い付け)
期間:1990年~2011年10月
対象:全銘柄
買いルール:終値が過去60日間の高値を更新したとき
注文方法:翌日に成行注文
売りルール:終値が過去5日間の安値を更新したとき
注文方法:翌日に成行注文
※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※※

損切りは統計的に有効?
それぞれの検証結果は、以下の通りです。

損切り無し
勝率: 39.78 %
勝ち数: 31,567 回
負け数: 47,786 回
引き分け数: 1,887 回

 平均損益(円): 3,714 円  平均損益(率): 2.14 %
平均利益(円): 25,029 円  平均利益(率): 14.60 %
平均損失(円): -10,219 円  平均損失(率): -6.01 %

 PF(総利益/総損失): 1.618
平均保持日数: 18.65 日

②マイナス5%で損切り
勝率: 36.88 %
勝ち数: 30,957 回
負け数: 52,994 回
引き分け数: 1,963 回

 平均損益(円): 1,581 円  平均損益(率): 1.06 %
平均利益(円): 19,706 円  平均利益(率): 11.98 %
平均損失(円): -8,948 円  平均損失(率): -5.28 %

 PF(総利益/総損失): 1.286
平均保持日数: 14.98 日

③マイナス10%で損切り
勝率: 39.03 %
勝ち数: 31,415 回
負け数: 49,074 回
引き分け数: 1,892 回

 平均損益(円): 1,871 円  平均損益(率): 1.22 %
平均利益(円): 20,296 円  平均利益(率): 12.26 %
平均損失(円): -9,852 円  平均損失(率): -5.81 %

 PF(総利益/総損失): 1.319
平均保持日数: 17.06 日

④マイナス20%で損切り
勝率: 39.68 %
勝ち数: 31,552 回
負け数: 47,972 回
引き分け数: 1,891 回

 平均損益(円): 1,961 円  平均損益(率): 1.26 %
平均利益(円): 20,535 円  平均利益(率): 12.36 %
平均損失(円): -10,178 円  平均損失(率): -5.99 %

PF(総利益/総損失): 1.327
平均保持日数: 18.14 日

損切りをうまく使おう!
検証結果を見ると、損切りによって平均損失率が下がっているのがわかるかと思います。しかし、その分平均利益率も低下しています。

平均損益率で比較した場合、成績の良い順から
損切りなし>-20%で損切り>-10%で損切り>-5%で損切り
という結果になりました。

今回の検証から得られる結論は、以下の2点だといえるでしょう。
1.損切りは損失率を下げる効果がある。
2.しかし、その分利益率も下がってしまう。

もちろん損切り自体が悪いことではありません。しかし検証結果からは、損失率を下げる効果がある反面、獲得できたであろう利益も失う可能性が高いといえそうです。

損切りはリスクコントロールの1つの手段ですが、損切りだけでうまく利益をあげるのは難しいでしょう。
1銘柄当たりの投資金額を低く設定したり、総資金における投資資金の割合を低く設定したりとリスクコントロールの手段は様々です。
その他の条件などと損切りをうまく組み合わせ、有効な売買ルールを見つけることが重要だといえるでしょう。

その時々の市場環境を考慮する必要もありますが・・・
まずは自分に合ったリスク水準を考え、いろいろな方法でリスクをコントロールしてみてはいかがでしょうか。