ユーロ加盟国の間で格付け機関の規制強化を求める動きが強まる可能性

[ロンドン 16日 ロイター] スタンダード&プアーズ(S&P)がユーロ圏9カ国の格下げに踏み切ったことを受け、ユーロ加盟国の間で格付け機関の規制強化を求める動きが強まる可能性がある。
格付け機関の規制強化をめぐっては、欧州委員会のバルニエ委員(域内市場・サービス担当)が前年11月に一連の案を提示。ただ、これに含まれた格下げに関する発表を禁止するとの条項に対し一部欧州委員から反対の声が出たため、同条項は取り下げていた。
しかしS&Pが13日に行った格下げのタイミングに対し欧州の政界で怒りの声が高まっていることを受け、同提案が再び日の目を見る可能性も出ている。

ドイツ選出の欧州議会議員、ウルフ・クリンツ氏は「格下げの発表禁止を支持している一部議員の間から、この提案の再導入を求める動きが出ると予想している」とし「社会党系や保守党系の議員から、格下げが不適切なタイミングで行われる場合、発表を禁止する選択肢があることは好ましいとする意見が出ている」と述べた。 
同提案は従来は国際支援を受けている国の格下げの発表を禁止するとするものだったが、S&Pによる今回の格下げを受け、対象となる国にとり格下げが不適切なタイミングで行われる場合、発表を禁止するという一段と踏み込んだ案となる可能性がある。  
フランス選出の欧州議会議員、Jean-Paul Gauzes氏は「ソブリン格付けに関しては、公的債務水準を考慮したより詳細なルールが必要だ」とし、個人的に追加条項の提案を行う準備を進めていることを明らかにした。同議員の追加条項が承認されれば、支援を受けている国に対する格付け変更の発表が禁止されることになる。
また、イタリア選出の欧州議会議員、レオナルド・ドメニチ氏はこれまでも発表禁止に関する討議を再開するよう求めてきた。16日までに同議員のコメントは得られていない。

こうしたなかS&Pは「このような提案は市場の不透明感、不安定性の抑制よりむしろ増大につながる恐れがある」とし、これまでに却下されてきた同提案が復活する公算は低いとの見方を示している。
格付け機関の規制強化に関する法律は2013年ごろに施行される見通し。