ECBドラギ総裁の発言

[フランクフルト 9日 ロイター] 欧州中央銀行(ECB)は9日、主要政策金利であるリファイナンス金利を1.00%に据え置いた。
下限金利の中銀預金金利も0.25%に、上限金利の限界貸出金利も1.75%に、それぞれ据え置いた。
理事会後に開かれた記者会見でのドラギECB総裁の発言要旨は以下の通り。

  <ギリシャについて>
保有するギリシャ国債については、域内各中銀による保有分、SMP(証券市場プログラム)に基づき買い入れた分を含めどのような取り扱いになるのか、申し訳ないが何も言うことはできない。
ただ、つい先ほどギリシャ首相から電話をもらい、連立与党内で(支援条件の緊縮措置に関して)合意に達したとの確認があったことは断言できる。
きょうはこの後ユーロ圏財務相会議が開催される。ギリシャ連立与党の合意を精査し、一段の措置について協議する予定だ。
民間部門関与(PSI)については、承知のとおり、ECBは協議に参加していない。ただ、関係各部門の間で近く合意が得られるとの感触は得ている。
 
ギリシャに対する代替計画>
代替計画が存在したことはない。代替計画自体が敗北を意味する。すべてが正しいところに落ち着くと確信している。これまでも言った通り、今晩のユーロ圏財務相会議での推移を見極めたいため、ECBの保有に関してコメントしたくない。
 
<経済安定化の一時的な兆候>
入手できる指標から、低水準ではあるが、年末年始あたりに経済活動に一時的な安定化の兆候が出ていたことが確認できる。ただ、経済見通しは依然として高い先行き不透明感と下振れリスクに左右されている。
この見通しは、下振れリスクに左右される。これらのリスクは、主にユーロ圏債券市場における緊張、およびこれがユーロ圏の実体経済に波及する可能性に関連している。
下振れリスクはまた、世界経済の望ましくない展開、予想を超えた商品(コモディティー)価格の上昇、保護主義的圧力、世界的な不均衡が無秩序な形で調整される可能性にも関連している。
われわれはユーロ圏経済が、2012年全般にわたり非常に緩やかに回復すると予想している。超低水準の短期金利に加え、ユーロ圏の金融部門の機能正常化に向け導入されたすべての措置が、ユーロ圏経済に対する支援となっている。
 
<インフレ率>
インフレ率は向こう数カ月は2%を上回って推移し、その後2%を割り込む公算が大きい。
 
<物価リスクはおおむね均衡>
中期的な物価動向に対するリスクは、おおむね均衡している。
 
<物価安定>
金融政策により、ユーロ圏全体の物価安定が保たれることが重要だ。これにより、中期的なインフレ期待を2%に近いか、これをやや下回る水準とするECBのインフレ目標に沿ってしっかりと確実に固定させることができる。
こうしたことは、金融政策がユーロ圏における経済成長と雇用創出に貢献できるようにするための前提条件となる。