焼却処分はすべきではない②


 汚染瓦礫と除染して集めた放射能汚染物をどう処理すべきか
汚染の現状基本認識
原発周囲地域や東北、関東地方に広く汚染している放射能は、原発施設内のような高レベル汚染ではない。
・ これを焼却するとkgあたりの放射能が上がってかえって危険、処理困難になる。

最も実際的で有効な放射能汚染物処理戦略
・ 環境中の汚染物は焼却せず、拡散せず、一箇所に集めて管理する。
・ 全体の量は多いが、重量あたりの放射能は低いので、管理は簡単
・ 数百メートル四方、数十メートル高さの、巨大古墳のような丘に積み上げる。
半減期に従って放射能が減衰するまで管理する。
・ 必要な設備は、風で飛散させない、土壌に浸透させない、立ち入り禁止だけでよい。
・ 風による飛散防止と雨水が浸透して土壌浸透の原因になる廃液を減らすために、表面にビニール、コンクリートなど被うだけでよい。高レベル放射能とは違い、完全密閉は不要なので簡単なものでよい。
・ 汚染物質搬入が終わり、山済みした瓦礫などが圧縮、変形するなどして形が安定するまでは、ビニールシーとで被うだけで間に合う。
・ ビニール膜の目的は、風で飛散させないことと、雨水浸透によって廃液を増やさせないためである。雨水の浸透を止めれば、下部からの汚染水流出はしばらくすればなくなる。
・ 丘の形が安定したら、浸透防止層の上に表面に土を数メートル積めば、植物への放射能吸収をさせずに植物を植えることもできる。
・ 土壌への浸透防止のための基礎部分(底)は必ずしも厳重にする必要はなく、水抜き層と水抜きパイプで水抜きを十分に行う。底には粘土や吸着剤を敷き、最低部にはコンクリートなどの不浸透資材による底を作る。
・ 十分な水抜きをし、その水だけの汚染処理;濃縮してドラム缶管理などをする。管理場所は前述の丘の中に地下室として作る。数十年か百年以上経って立ち入り可能になったら原発事故記念公園に整備する。
・ 海底の津波瓦礫など、汚染がわずかな瓦礫などは放射能処理施設で管理しなくても良いが、焼却すると、管理しなければならないレベルに上がる。
・ 岩手や宮城の低レベル汚染津波瓦礫は、焼却せず、放射性廃棄物処理施設で管理せず、拡散しない対策だけをして、処理できる。津波被害を受けた仙台平野の海岸に全て集めてこれも巨大な丘に築く。土壌への浸透防止は必要だが、厳しい飛散防止や立ち入り禁止は殆ど不必要。安い費用でできる。ごみとしてだけ考えず、津波で死亡した人たちの遺品として全て集めて丘に築き、慰霊と津波記念の大古墳、記念公園として整備することが良い。岩手、宮城の2000万トンを越える瓦礫を全て収容できる。ただ集めて積み上げるだけなので費用も時間もかからない。現在も殆どの瓦礫が始末されずに残っている。すぐに決定して着手すべきだ。遅れるほど時間と復興が遅れ、浪費がかさんで社会が疲弊する。「震災モニュメント、鎮魂と研究の場建設を」河北新報持論時論2011年6月11日で提案発言した。津波瓦礫の処分については改めて後日書くつもりです。


山積み処理法の利点
・ 他地域に汚染を拡散しない。
・ 他の方法よりもはるかに経済的。
・ 無制限に大量のがれきや環境汚染物を回収できる。
・ このため、除染活動を希望する人や団体は、除染で集めた汚染物の処理を心配せずに除染活動ができる。

他の除染戦略の問題点
中間処理施設:
・ 最終処分場の規模と形態を決めることが除染戦略を決める最初にすべきこと。これを決めずに中間処理施設や焼却、その他の方針を言うのは偽りと誤り。
・ 「中間」施設がごまかしの言葉であることはほとんどの国民と関係者は考えている。偽りや誤りを前提にして正しい方針はありえない
・ 偽りと批判させない方針の出し方や、社会のあり方は不健全で、被曝被害と関係費用を拡大するとともに、社会の健全性を損なう。
焼却:
・ 回収しきれない煙による大気汚染と、回収した煙と残り灰のkgあたり放射能が高くなってかえって厄介になることは前述した。
埋め立て・建設資材に使用:
放射能の拡散になる。拡散は除染と逆の行為。
・ すべきではない。国際合意にも、放射能被曝対策の常識にも反している。
・ 全体から見れば建設資材に使っても全体量から見ればわずかで、汚染物質や瓦礫はほとんど減らない。
・ 国民全体の放射線被曝と被害を増やす。社会がまともに理解、考えることと考える能力を妨げる。企業と官僚の利権につながる。利権は、社会の健全性を阻害し国民財産を消耗する。
他の地域に搬送して処分:
・ 各地で瓦礫受け入れが進んでいないことが、瓦礫処理と被災地復興の妨げになっていると言う政府発表やマスコミ報道が続いている。偽りである。
・ 政府の方針でも域外処分予定は20%で80%は地元処理である。地元処理が進んでいないことが瓦礫処理が進まない原因だ。
・ 20%の域外処理は元来不要だが、問題をすり替て国民を偽る政府と、批判せずに同調報道するマスコミは悪質だ。


 除染の目的
・ 除染の目的は環境放射能を減らして、人の放射線被曝を減らすこと。
・ 除染活動の対象は、汚染はされているが生活可能な環境の、ホットスポットや子どもが集まるところなどを、被曝をさらに少なくさせるために放射能を減らす目的で行うべき。
放射能レベルが高い地域を除染して、かろうじて住める区域を作ることを目的として、そこで生活を再開すると、かえって被曝を増やす。被曝を増やす除染はすべきでない。
・ 汚染レベルが高いまま、「生活を開始して、それから除染」は法的にも同義的にも違反している。被曝を増やす政府方針と、それを批判しない社会は不道徳で不健全だ。

最終処分場をどこにどう確保するか
福島原発付近の高汚染地域に国と東電の責任で土地を確保する
・ その人と家族のために、被曝させてはいけない。人が住んでよいところではない。
・ 「住民の気持ちを考えると強制もできない」という人がいる。避難しない責任を住民に転嫁する考え方である。
・ 移住する住民の利益にならない場合も、これまで国や行政、電力会社は、ダムや鉄道、工業団地建設、原発建設のために、土地を買収して先祖伝来の土地で生きることを止めさせてきた。多くの場合、多額の土地代金と移転保障をすることによって全て実行した。同じように、十分な経済補償をして、処分場の土地を確保すべきだ。ダムや高速道路建設のための土地収用と同じレベルの補償と取り組み、努力をしていない。本来はダム建設の土地収用費用に加えて、更に賠償費用を加えた額にすべきものだ。
・ 十分な補償をすれば困難ではない。何よりも、住民にとってそこに住むのは有害。「このままふるさとに住んでいたいいか、それとも離れたいか?」と聞くのではなく、「汚染して住めない土地にしてしまいすみません。申し訳ありませんが危険なので移住してください」と事故を起こした東電と政府・行政が謝罪し、お願いして、原発やダムを造ったときと同じような補償をすればできることだ。おそらくずっと簡単なはずだ。
・十分な金も払わず、謝罪もせず、「残ってこのまま住んでいたいか、離れたいか」と言って補償もせずに、「残りたい」と住民に言わせて、住民に責任転嫁すべきではない。

 結論
・ 人が住めるが、更に被曝を少なくするための除染をすべき。かろうじてすめる環境を目指す除染は被曝を増やすからすべきではない。
放射能汚染瓦礫、除染で集めた汚染物は、焼却や、再利用という名の拡散をしてはいけない
・ 環境中の低レベル放射能汚染物は大規模最終処分場一箇所に全て集め丘に築いて管理すべき
・ これ以外に合理的な処分法はおそらくない。

2011年5月以来主張してきたことをまとめた。