◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆  2012/7/7(土)発行

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◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆
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T「名実共に7月相場入りした今週は揉み合い相場だった。」

M「ああ。日経平均は9000円台での揉み合いが続き、何とかそれをキープして一週
間を終えている。」

T「先週末に200日線を久々に突破し9000円台に乗せて引けてから、それらを一週間
キープしていただけに悪くない動きといえる。」

M「そうだな。まあ9000円のラインは場中割り込む場面もあったものの引けではし
っかりとキープしているし、200日線に至っては場中振れることすらなかった。」

T「先週まで結構上げてきたことあり、テクニカル的な過熱感も意識されてきただ
けに、今週は良い日柄調整だとも言えるだろう。」

M「ただ、危なっかしい動きだったとも言えるけどな。月曜日に発表された米ISM製
造業景況指数はびっくりするほど悪かった。何と言っても景気の分かれ目とされる
50を割り込んだからな。」

T「ああ。50割れは3年ぶりだ。市場予測を大きく下回ったし、かなりショッキング
な数字だった。でも、その日の米国市場は言うほど下げていないんだよな。」

M「そうなんだよな。まあ金融緩和期待というのが下差さえしたようだが、波乱と
なっても不思議がない数字だった。」

T「ただ今週はその後も色々と経済指標発表や、欧州ではECB理事会も控えていたか
ら売り込みにくさもあったんじゃないのか。」

M「それはあるだろうな。そのECB理事会では、想定通り利下げを実施し、同日に中
国がサプライズ的な利下げに踏み切るというオマケが付いた。でも好感する動きに
はならず、早くも投資家心理好転の流れも止まってきたようにも思える。」

T「確かに中国の利下げはサプライズだったが、サプライズだったのはタイミング
だけで利下げ自体にサプライズは無いとも見方も多い。」

M「そうだな。遅かれ早かれ追加利下げは想定されていたわけだからな。想定外に
7月に踏み切ったというタイミングだけがサプライズだといえるからな。」

T「市場では預金準備率引き下げもセットで行えば、また違った結果になったとの
見方もあるようだ。」

M「確かにそれはあるかもな。ただ時間差的に発表すると言うことはありえるかも
よ。例えば来週末辺りに発表するとか・・・。」

T「なるほど。利下げを受け昨日の中国市場は前半は軟調だったものの、後半は切
り返し大きく上昇して引けているし徐々に好感されてくるという可能性もあるかも
知れないしな。」

M「問題は欧州だな。ECB理事会では想定通り政策金利を0.25%引き下げたが、中銀
預金金利をゼロに引き下げた。」

T「それでも想定内ということもあって好感はされなかったが、中銀預金金利がゼ
ロって言うのは後々効果が出てくる可能性もあるだろ。」

M「ああ。域内の銀行がECBに預け入れる際の金利がゼロなんだからな。つまり銀行
はECBに資金を預けていても運用にはならない。ただただ寝かしているだけだ。今ま
では預けているだけで、0.25%の金利が受け取れた。大した金利でも無いが、多少で
金利が付くとの、全く付かないゼロでは大違いだ。」

T「そうだな。そうなると銀行はECBに寝かしておいても仕方ないので、運用しよう
とするわけだな。」

M「ああ。つまりお金が回りやすくなる。株式市場に入れてくる資金もあるだろう
し、債券市場に入れてくるかも知れない。いずれにしろマーケットには追い風とな
る。」

T「時間差でも良いから、その効果が今後出てくれば良いけどな。」

M「ああ。市場はそれら利下げは好感せず注目は、ドラギECB総裁の会見に集まった
。ドラギECB総裁は会見で欧州景気の下ブレリスクに関して言及し、そのくせ国債
入や新たな資金供給オペを示唆しなかったことが嫌気された。」

T「ある意味、切り札はまだ温存しておくという感じか・・・。」

M「だろうな。まだまだ欧州は今後何があるか解らない面も強い。それだけに安易
保有カードを出せないと言うこともあるんだろう。温存したくなる気持ちは解る
。」

T「そして昨晩には米国で雇用統計が発表された。非農業部門雇用者数の増減は8万
人増となった。市場予測は10万人増であり4ヶ月連続で市場予測を下回ったことにな
る。」

M「民間部門雇用者数は8万4000人増で、これも市場予測を下回り、前回より低い伸
びとなった。失業率は予想通りで前回変わらずの8.2%だった。」

T「これを嫌気し昨晩の米国市場は派手に売られることになった。ダウは一時190
ドル超の下落となる場面もあったからな。でも売られすぎじゃないのか。この程度
の悪化は想定の範囲内ともいえるが・・。もともとブレの大きな指標なんだし。」

M「それに金融緩和期待に繋がることだろうしな。確かにもっと下げ渋っても良い
とは思う。まあ引けにかけて下げ幅縮小はしているが、それでも大幅安水準で引け
ているからな。」

T「まあADP雇用統計が良かっただけに、期待感は高まっていたのかも知れないけど
な。」

M「そうだな。ゴールドマンなんて、そのADP雇用統計をうけ予測を上方修正してい
た。当初7万5000人増と予測していたが、それを12万5000人増にまで上方修正した。」

T「なんだよ。最初の予想の方が近かったじゃないか。」

M「ああ。全く余計な上方修正だよな。ゴールドマンの予測は結構当たると見てい
る向きも多いだけに、投資家心理に多少なりとも影響を与えていたと言えるだろう
。つまり上方修正しただけに、期待感を抱いた向きも増えた可能性は高い。」

T「それだけに失望度も大きくなったといえるかもな。」

M「なんか以前にもこんな事があったよな。ゴールドマンが直前に雇用統計予測を
上方修正したものの、最初の予測の方があっていたということが・・・。」

T「そもそもADP雇用統計と政府発表の雇用統計では、過去の結果を見ても相関性は
あまりない事など承知だろう。それなのにADP雇用統計の結果で、予測を大きく変え
るなんて・・・。」

M「市場にはゴールドマンによる雇用統計予測上方修正には別の意図があるんじゃ
ないかと勘ぐりする向きも結構いるようだからな。それだけにゴールドマンが雇用
統計予測修正したら要注意だと見ている向きもいる。」

T「そりゃ考えすぎだろう。そんな事するメリットなんてさほど無い。」

M「まあ、実際に皆が皆、ゴールドマンの予測を信用する訳じゃないだろうし、そ
れによってポジション大きく変更したりする人も限定的だろうからな。単なる思惑
だ。」

T「でも昨晩の米国市場の弱さは気になるところだな。雇用統計悪くても、QE3期待
に繋がって底堅い推移を期待していた向きも多いだけに・・・。」

M「雇用統計の数字が中途半端だったと言うこともあるんだろう。前月分は上方修
正されているし、果たしてこの雇用統計でQE3に踏み切れるのかという懸念だ。どう
せなら、もっと悪い数字が出た方がQE3期待が強まったと・・・。」

T「確かに、QE3を決定付けるという雇用統計ではないといえる。でも、もっと酷い
数字が出れば、もっと波乱相場になっていたんじゃないのか。」

M「どうだろうな。そればかりは誰も解らない。すでに終わってしまったことだけ
に・・。ただ失業率は高止まりしており、雇用者数は3ヶ月連続で10万人以下となっ
ている。QE3を協議するに値する状況だと思うけどな。」

T「確かに・・。雇用統計だけじゃなく、他の経済指標も弱いモノが多いからな。」

M「まあFOMCメンバーの誰かが、改めて追加緩和を匂わす発言でもすれば、市場の
期待は高まりそうだが・・・。」

T「そうだな。期待したいモンだ。それに昨晩は米株弱かった要因として、週末と
いう事もあったかもな。週明けあっさりと反発することを期待したいモンだ。」

M「来週は日本で日銀金融政策決定会合がある。そこで追加緩和に踏み切るかどう
かが注目される。既に市場では何もしないとの見方が大勢だ。それだけに追加緩和
に踏み切ればサプライズとなりやすい。」

T「期待したいモンだな。来週も日経平均9000円台キープし続けられるかどうか注
目だな。」

M「昨晩の米国市場が下落して返ってきているだけに、週明けの動向が鍵になりそ
うだな。シカゴ日経先物は微妙な水準で返ってきているからな。」

T「まあ期待したいモンだ。」