◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆  2012/09/01(土)発行

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◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆
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T「今週は軟調な展開となった。週前半は粘っていたんだが、週末へかけ力尽きた
格好だ。」

M「ああ。今週も薄商いだったといえるが、先物に売りが目立って相場を押し下げ
た。」

T「それまで上げてきたのも結局は先物主導といえるだけに、下げるときも先物
導という訳か・・・・。」

M「ああ。それに底堅かった米国市場も今週は垂れ気味になってきたからな。」

T「そうだな。バーナンキFRB議長講演を週末に控えており、失望への警戒感も高ま
ったといえる。」

M「だが、しかし昨晩の米国市場はしっかりと反発した。注目のジャクソンホール
でのバーナンキFRB議長講演を受けて、ある意味波乱気味の動きも見せたんだが、結
局は好感して終えている。」

T「ああ。ただ講演始める前から米株もナイトセッションの日経先物も結構上げて
いたよな。」

M「そうだな。欧州だろうな。一部報道で今後まとめていく銀行同盟の案に関して
、銀行免許付与の権限を独占的にECBに与える案が浮上していると報じられた。これ
をうけ、欧州株やユーロが急速に買われていた。」

T「それに一部要人発言によりECBによる国債買入への期待も高まったという面もあ
るようだ。」

M「ああ。それらにより、既にバーナンキFRB議長講演前にはダウは100ドル超上げ
ていたからな。」

T「そう考えると、昨晩の米国市場の上昇は、バーナンキFRB議長講演を好感した上
昇というより、欧州懸念後退への期待感が要因だったように思える。」

M「確かにそうだな。バーナンキFRB議長講演は日本時間23時に始まったが、23時に
は講演内容が書かれた原稿が発表された。それが出されると、米株が急速に売られ
、ドルが買われた。」

T「ああ。つまり講演内容に失望した動きだな。」

M「市場ではやはり追加緩和に関して踏み込んだ発言を期待していた。具体的な計
画などだ。しかしそういったことはなく、今までの姿勢を継続しているという感じ
だ。必要となれば追加緩和を行う用意があると・・・。」

T「先日のFOMC議事録で示された内容と、そう大差ないといえるかもな。」

M「ああ。それだけに原稿が出された後はとりあえず失望的な動きになったと言え
るだろう。ただ売り一巡後は切り返す動きになっている。」

T「垂れた分を全て取り返し、一時的に更に上昇する動きになった。」

M「そうだな。結局、講演では追加緩和期待が後退した訳ではなく、QE3への期待は
残された格好ということだからな。」

T「というか、逆に講演をうけ、追加緩和期待強まったんじゃないのか。だからド
ルが結局売られ、金や原油相場が上昇し引けている。」

M「そうだな。講演でバーナンキFRB議長は、雇用に関して今まで以上に強く懸念を
示している。そういう点も見れば、今までよりは緩和する姿勢が強まっていると受
け止められる。」

T「こうなると、来週の米雇用統計はえらい重要となるな。それによって追加緩和
期待更に強まるのか、一気に後退するのか・・・。」

M「ああ。少なくとも市場ではそう考えているだろう。来週末の雇用統計が弱い数
字になれば、次回のFOMCでQE3に踏み切るという見方が一気に高まる事になる。ただ
強い数字になれば、次回のFOMCでは見送られると・・・。」

T「なるほど。結局、次回のFOMCで追加緩和あるかないかは来週の雇用統計に委ね
られたということだな。」

M「ただ雇用統計弱い数字になっても過度な期待は禁物だ。追加緩和期待も強まっ
たということもあり、原油相場が上場してきている。気がつけば1バレル100ドルの
大台が近くなっている。こんな状況で、QE3に踏み切れば、原油高が一段と進み、
逆に米景気の重しとなるからな。」

T「確かにそうだな。となれば実際にQE3やるにしても、原油高を押さえ込む何らか
の措置も必要になるといえるかもな。」

M「それに日本市場で言えば、QE3に踏み切られれば円高へと進行しやすくなる。
それが日本株を押さえ込む事になるだけに、手放しで喜べることでもない。」

T「そうだな。一昨年のジャクソンホールでの講演ではQE2が示唆されて、その後米
国株は上昇基調となっていった。でも日本市場だけは数ヶ月上げていけず揉み合い
相場が続いていたからな。」

M「実際に米国がQE3に踏み切るならば、日銀は大胆な追加緩和策で対抗しないと
円高が止まらなくなる。」

T「でも日銀がそこまでやるとも思えない・・・。」

M「とにかく昨晩のバーナンキFRB議長講演は無事通過したといえる。次は来週の
ECB理事会と米雇用統計だ。」

T「まだまだ油断できないイベントも多く、それら次第では相場はどっちへ転んで
も不思議ないからな。そんな状況じゃ、まだまだ積極的に株を買って来る向きも乏
しいか・・・。」

M「まあ、来週から夏休み明けで戻ってくる市場関係者も少なくない。それだけに
米国や日本市場での薄商い状態も、来週からは多少は改善していくだろうけど、重
要イベント多いだけに来週も手控えると言う向きは多いかもな。」

T「そうだな。とにかく来週は良い方向に向かうよう期待したいモンだ。」