◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆  2012/09/08(土)発行

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◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆
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T「今週は荒い展開だった。というか前半までは軟調推移といえ、日経平均は先週
途中から5日続落していた。」

M「ああ。非常に弱い展開といえ、年初来安値更新銘柄が続出した。木曜日は日経
平均小幅に反発したものの、安値更新銘柄数は200を越えた。」

T「でも結果的にはそこがピークとなったな。翌日、つまり昨日は大幅に反発した
。」

M「ECBの英断が悪い流れを断ち切ったといえる。」

T「ああ。ECB理事会では事前にドラギECB総裁の案として報じられた内容がそのま
ま合意された。報道通りだったとはいえ、まさか本当にあの内容で合意され決定す
るとは思っていなかった向き多かったようだ。」

M「そうだな。ドイツ連銀総裁はずっと反対姿勢貫いており、ドイツの顔を立てて
妥協策にとどまるのではという見方が多かったな。例えば買入規模に関して無制限
というのは、さすがに止めるのではと見る向き多かった。」

T「でも無制限と決めた。これらの買取計画案に1人だけ反対した向きがいたようだ
が、それがドイツ連銀総裁だろうな。誰が反対したかは公表されていないが・・。」

M「ドイツ連銀の意見を完全に振り切って決めたことになる。ある意味、ドラギや
るなという感じだろう。」

T「それだけに事前に報じられた内容だったものの、素直に好感され株高に繋がっ
たんだろうな。」

M「ああ。欧州株はもちろん、米国株、それに週末の日本などのアジア株も総じて
買われた。まさにドラギマジックという感じだ。」

T「ただ、これで欧州懸念が消えたと言うわけでもないからな。」

M「ああ。結局、ECBに自国の国債を買って貰い金利押さえつけるには、ESMに支援
要請する必要がある。支援要請するには、その見返りに厳しい債務削減策を打ち出
し実行しなければならない。」

T「当然、支援を受ける国の国民は厳しい状況になるわけだし、下手すればそうい
った緊縮策が景気を一段と悪化させる恐れもある。」

M「ああ。約束した債務削減策が実行できないと、支援打ち切りとなり国債買入も
ストップされる。そうなりゃ今まで以上に厳しい状況に陥ることになる。」

T「かといって確実に達成可能な緩い債務削減策で支援OKにしてしまうと、安易に
支援を要請してしまう国が増えるし、一向に欧州の債務削減が進まず、懸念は長期
化が避けられない。」

M「ああ。それだけに、実現できるギリギリの厳しい削減策が必要となる。ただギ
リシャのように、いずれ削減策を緩めてくれという話になる恐れも出てくる。」

T「それだけにECBによる国債買入計画は長期的には効果あるかは不透明だな。あく
までも短期的な時間稼ぎに過ぎないとの見方も多い。」

M「その通りだ。その間に、ユーロ圏は安全網を構築する必要がある。」

T「ただ今回ECBが決定した国債買入計画は、ESMが稼働することが必要になる。そ
れが絶対条件だ。」

M「ああ。来週12日にはドイツ憲法裁判所がESMの合憲性を判断し発表する予定だ。
それで合憲と認められれば問題が、認められないと波乱は避けられない。」

T「そうだな。他にも来週は重要なイベントがある。FOMCだ。それで追加緩和に踏
み切るかが注目されている。その判断要因として非常に重要な雇用統計は昨晩発表
された。」

M「ああ。ADP雇用統計良かっただけに強い数字も期待されたんだが、結果は予測を
下回る数字となった。失業率は改善したが、労働参加率の低下をみると、これは職
探しを諦めた人が増えた事による低下であり喜ばしい事じゃない。」

T「ただこれで来週のFOMCでの追加緩和期待が出てきたといえる。」

M「その期待が昨晩の米国市場を下差さえした面もあるだろうな。ただ日本市場に
してみれば、決して喜ばしいことでもない。米国の追加緩和はドル売りに繋がり円
高へと進行するからな。」

T「昨晩ドル円は結構円高へと進行してしまった。実際に緩和に踏み切るとなれば
、もっと円高進む懸念がある。」

M「そうなりゃ、ますます日本株は米国株に引き離されるだろうな。」

T「ただ昨日中国で大規模なインフラ投資再開が承認された事は日本株にも追い風
だ。」

M「ああ。これにより中国景気の減速懸念が和らぐ期待があるからな。昨日後場
は既に中国関連株などが買われていたが、これは単発的な材料でもなく、継続的に
関連株に追い風となる期待はある。」

T「ああ。それだけに、それが全体相場を支えれば良いのだが・・・。」

M「ただ懸念もある。昨晩の米国ではインテルが下方修正を発表し売られている。
裾野が広い企業だけに、同社の下方修正は、週明けの日本市場にも影響を与えるだ
ろう。それが相場の重しにならなきゃ良いのだが・・・。」

T「そうだな。いずれにしろ、来週はドイツの憲法裁判所によるESMの合憲判断と
FOMCでの追加緩和の有無が最重要だな。」

M「それらの結果で、その後の相場展開は大きく変わることもあるからな。要注目
だ。」

T「良い方向に進んで行く結果になれば良いけどな。まあ期待したいモンだ。」