◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆  2012/10/27(土)発行

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◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆
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T「今週の日本株も引き続き強かったと言って良いだろう。」

M「まあそうだな。週間ベースでは日経平均TOPIXも下落となったが、小幅にとど
まっているし、何より今週は米国市場が酷かった。」

T「ああ。それを考えれば今週の日本株は上出来だ。」

M「先週末、米ダウは200ドル超の下落となったが、それを受けた週明けの日経平均
は小幅ながらプラス引け。更に23日の米ダウは240ドル以上も下げた。しかし翌24日
日経平均は60円程度の下落で引けている。」

T「共にほぼ寄安だったからな。寄り付きは米株安を嫌気し大きく売られて始まっ
たが、寄り後は買われ下げ縮小の動きとなっている。24日だってマイナス引けだが
、一時プラスに転じる場面もあったし・・・。」

M「これらの動き見ても、普段の日本株とは違うなという印象だよな。やはり誰か
がしっかりと買っていると見るべきだろう。現物株でも先物でも、とにかく日本株
買いの向きがいると・・・。」

T「ああ。まあ買い戻しって話もあるけど、いずれにしろ海外勢だ。海外勢の一部
には明らかに今までとは違う動きをしてきた向きがいると言うことだ。」

M「果たして今週、米国市場がこれほど軟調じゃなければ、日経平均更に上値追っ
ていったんだろうか・・・。それともやはり9000円以上では買い意欲も衰えていた
んだろうか・・・。」

T「どうだろうな。でも、先物ナイトセッションでは9100円越える場面もあったし
、やっぱり関係なく上げていったんじゃないのか・・。」

M「だろうな。まあ値頃感で買ってきたというよりは、やはりいついつまでに買い
たいとか、買い戻したいとかそういう動きなのかも知れない。」

T「先物主導的な動きが目立っていただけに、確かにそうなのかも知れない。」

M「先物手口見ると、日本株が先週から上昇してきた過程でゴールドマンの買いが
非常に目立っていた。これは市場でも噂になっていることで、ゴールドマンは現在
大量の日経先物買いポジションを抱えている。」

T「オプション見るとゴールドマンは9250円コールを大量に保有しているな。」

M「これらの組み合わせだけ見ると、ゴールドマンの意図は日経平均をもっと押し
上げたいという感じだ。」

T「でも過去にもこんな事よくあったよな。あるオプションをゴールドマンが大量
に抱えているから、SQまでその辺まで相場が行くとの思惑も出たが、結局行かずと
言うことが多い。」

M「ああ。ゴールドマンだって何もSQまで大事に抱えている訳でもないし、途中で
手仕舞うことも多い。いずれにしろ大口の米系ヘッジファンド辺りが動いてきてい
るのは間違いなさそうだ。」

T「それが日本株の強さを演出している訳か・・・。」

M「いずれにしろ短期資金と見た方が良いかもな。先物主導で動いている限り・・
。まあ中長期資金も短時間で日本株買い付けたいときは、とりあえず先物買い集め
、後でそれを現物株に変えていくという手法もとるときあるが、今それほど慌てて
買い付ける理由なんてあるか?」

T「どうだろう。米国市場は軟調気味となっているだけに外部要因では考えにくい
。やはり日銀の追加緩和期待なんじゃないのか・・・。追加緩和発表するまでに買
っておきたいと・・。」

M「そうだろうか。それって基本的に短期資金の考え方だろう。実際に日銀が追加
緩和するかは決まっていない。」

T「なるほど。中長期資金が憶測報道だけで大胆に買い付ける理由にはならないか
・・。」

M「やはり中長期資金が、追加緩和を理由に買うならば実際に大規模な緩和に踏み
切って、為替が円安トレンドになってきてから本格的に買ってくるんじゃないだろ
うか。」

T「確かに。いずれにしろ来週の日銀の追加緩和の有無が重要になりそうだな。」

M「いや、市場の関心は有無というより既に追加緩和の規模に変わっている。観測
報道から資産買入基金増額10兆円プラスETF&JREIT増額は既定路線だ。それだけでは
基本的に為替だって円安基調にはなりにくく、逆に出尽くしで円高という恐れすら
ある。」

T「そうだろうな。となればやはりそれ以上の緩和に踏み切ることが必要か・・。」

M「もちろんそうだが、もっとも大事なのは姿勢じゃないのか。日銀がデフレ脱却
するんだという強い姿勢を今まで以上に示す事が大切だ。それが示され市場に伝わ
れば、今回の緩和が10兆円増額だけでも、強い日本株になっていく期待はある。」

T「でもそれをどう伝えるか・・・。」

M「例えば今はメドとしている物価上昇率1%を、メドから目標に変えて明確にイン
フレターゲットを導入するとか、その1%を2%に変えるとか・・・。」

T「なるほど。」

M「もしくは、増額の金額などを決めずに、FRBのように無期限でとかECBのように
無制限にするとかな・・・。それくらいの姿勢を見せれば、日本株の流れが本格的
に変わる期待がある。」

T「確かに、それだけの姿勢を見せられればサプライズとなる。」

M「ああ。現状の日本株の強さが、単に追加緩和への思惑が理由なら、日銀金融政
策決定会合後は出尽くしで売られてしまう。しかし日銀金融政策決定会合で強い姿
勢が示され、日本がデフレ脱却へ向かうと期待されれば、海外勢の日本株を見る目
が変わり、そこから本格的に強い日本株に変わっていく。」

T「是非とも期待したいモンだな。」

M「ああ。可能性としては低いだろうけど、日銀はそれが出来る立場なんだから、
その特権を利用して欲しいモンだ。」

T「そうだな。注目しておきたい。」