◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆  2013/01/26(土)発行

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◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆
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T「今週の日本市場は先週同様結構荒い展開になった。」

M「ああ。今週は世界中が注目した日銀金融政策決定会合があったが、見かけ上は
事前報道通りに、2%のインフレターゲットを導入し、追加緩和を決めた。」

T「目標達成まで無期限に資産買入を行うと言うことだ。それだけに実質無制限と
いうことになる。」

M「ああ。オープンエンド方式ということだが、よくよく見ると物足りないことが
解る。まず早期にインフレ率2%達成を目指すとの事だが、新たな資産買入プログラ
ム発動は来年からで、今年に関しては現行の買入プログラムを継続すると言うこと
だ。」

T「早期なんて言っている割には来年からかよと突っ込みたくなるが、新たな買入
プログラムの月々の規模内訳も期待外れだ。」

M「そうだな。来年から毎月短期証券を10兆円程度、長期国債を2兆円程度買い続け
ると言うことだが、これを来年1年間実行しても日銀による資産買入残高は10兆円程
度しか増加しない。」

T「短期証券は次々と償還されて日銀に戻ってくるからな。単純に長期国債だけ毎
月2兆円買い続ければ、1年間で24兆円残高増加する事になり、かなりの緩和効果に
なるんだが・・・。」

M「ああ。今回の新たな買入プログラムでは、来年10兆円程度残高増加し、再来年
以降は同じように買入続けてもあまり残高は増えていかない事になる。その残高を
維持するという感じだ。」

T「確かにインフレターゲット導入し、目指すインフレ率を1%から2%に引き上げた
ことは評価できる。ただ内容的には上手い具合に誤魔化したように思えてならない
。」

M「まあ白川日銀総裁の意地なんだろうな。確かに政府は日銀の独立性に配慮し、
目標達成への手段は日銀に任せるとの事だったが、今回の新たな買入プログラムで
は、2%の目標達成は一体何時になるのかかなり不透明だ。」

T「というか、これで本当に目標達成出来るのかという疑問もある。」

M「基本的には目標達成には、やはり更なる緩和策や今回の買入プログラムの一部
訂正が必要になると思われる。それも白川さんは解っているとは思うのだが・・。」

T「白川さんは今年4月に任期を終えるが、あとは後任に任したという感じだ。」

M「だろうな。この会合結果をうけ、発表直後は好感される日本株買いも見られた
が、買いも続かずにその後は派手に売り込まれる動きとなった。」

T「為替も円買い戻しの動きが強まって円高へと進行し、翌日にも日経平均大きく
下落した。」

M「ああ。日経平均は10500円も再度割り込んでしまい、水曜日はその水準で引けて
いる。一部ヘッジファンドなどの海外勢の手仕舞いも見られていた。」

T「その流れから市場には暫く調整との見方も多くなったんだが、翌日つまり一昨
日から早くも反発する展開となった。」

M「まあ、前週まで何度か10500円割れ水準では下げ渋ったことから、その水準では
押し目買いも入りやすかったといえるが、やはりしっかりと反発してきたのは要人
発言が要因だろう。」

T「そうだな。中国経済指標良かったということもあるが、その日の午後には西村
内閣府副大臣が1ドル100円の円安は問題ないとの発言が伝わった。」

M「ああ。それが再び円売りの動きを強め、日本株押し目買いに繋がった。また
その日の夕方には、安倍首相がデフレ脱却のためには大胆な金融緩和を今後も続け
ていく必要があり、その為には日銀法改正も視野に入れていきたいと発言した。」

T「これは効いたな。火曜日に日銀会合結果を受け、安倍首相は好感する発言をし
ていたからな。」

M「ああ。恐らく、その時点では安倍首相は、日銀の新たな資産買入プログラムの
内容なんてろくに理解していなかったんだろう。」

T「確かに・・・。」

M「しかし木曜日の発言を聞く限り、これでは駄目だと言うことを安倍首相は理解
している感じだ。恐らくブレーンの浜田氏が助言したんだろう。浜田氏は安倍首相
と同じような事を、安倍さん発言する前に言っているからな。」

T「その発言が好感され、アベノミクス相場はまだ続くと市場は確信したかのよう
に、再び円安、株高という流れになっている。」

M「昨日なんて日経平均300円超の上昇で高値引けだからな。TOPIXも大幅高で高値
引けだ。いずれも昨年来高値を更新しており、あっさりと戻してしまった。」

T「米アップルの決算が悪く、米国市場でアップル株は派手に売られたが、それで
日本株は強かった。」

M「為替が一気に90円突破し更に円安へと進行したことが大きい。更にユーロもか
なり買われてユーロ円も大きく円安進行した。」

T「円安が再度大きく進行したのは、安倍首相などの発言からアベノミクス相場継
続との期待感が強まったことに加え、著名投資家のソロス氏の発言も援護射撃にな
っている。」

M「ああ。ソロス氏はユーロ崩壊を警告しており、自分でもユーロを大量の売って
いるとの見方も強かった。それが先日にはユーロは上昇すると言い出したんだ。」

T「まあ、確かにユーロ圏の頑張りでユーロ危機は逃れた格好だ。それだけに見解
変わるのは不思議じゃないが、今までユーロ崩壊を警告していたルイス氏が、一転
してユーロが上昇すると発言したのはやはりインパクトは大きい。」

M「ああ。更に円は下落するとも発言している。これにより円安進行が加速した格
好だ。」

T「昨晩の海外市場でも円安が更に進行している。ユーロ円は122円50銭超まで円安
が一時進み、ドル円は一時91円台まで円安が進行した。」

M「昨晩は欧州で好材料が幾つかありそれも追い風になっている。ドイツの経済指
標が良かったことや、以前ECBが欧州圏の金融機関向けに実施したLTRO、つまり3年
物資金供給オペの繰り上げ返済が想定以上に多くなることが明らかになった。」

T「それだけ欧州の金融機関も余裕が出てきたと言うことだな。」

M「ああ。市場に流れるユーロも早期返済される分、減ることになるだけに、ユー
ロが買われるのは必然だ。」

T「それをうけナイトセッションで日経先物は11070円まで付ける場面も見られてい
た。」

M「米国市場も強かったな。アップルは引き続き下落してしまったが、ナスダック
指数は反発し、ダウは6日続伸、S&P500指数は8日続伸だ。」

T「日本も強いが、何だかんだ言って米国市場は非常に強い。あのアップルがあれ
だけ派手に下落しても、市場全体の影響は限定的だったもんな。」

M「それだけ投資意欲も強まっているんだろう。米国市場強いことは日本市場にと
っても良いことだ。それだけ海外勢の心理が向上するし、何よりも日本株の出遅れ
感が米国株が上げれば上げるほど意識されやすいからな。」

T「だよな。ダウもS&P500指数も史上最高値が射程圏だ。」

M「来週更に円安が進行すれば、日本株の出遅れ修正の動きは更に活発になる期待
もある。日経平均TOPIXは11週連続上昇だが、今年に入ってから結構もたつく場面
もあっただけに、テクニカル的な過熱感は大夫和らいでいる。」

T「それだけに再び上値追いの展開を期待したいモンだ。」

M「ただ問題は更に円安が進行するかどうかだろう。ここに来て外部から批判の声
が相次いでいる。日本は現状はそんな声を突っぱねるような姿勢を示しているが、
果たして、更に外部からの圧力かかっても突っぱ続けられるかどうかだな。」

T「まだ米国が静観姿勢を示しているだけに問題ないとの見方も多いが、米国だっ
ていつまでも黙っていられないだろう。現状でも米自動車企業などから結構批判の
声も上がっているからな。」

M「まあ、日本が言うように円安誘導政策をしているわけじゃなく、あくまでもデ
フレ脱却政策をしているわけで、今の急ピッチな円安進行は行きすぎた円高の是正
相場の動きだ。それだけに批判されるいわれはないが、これだけ政府要人が為替水
準に言及しているからな。」

T「確かに・・・。円安誘導していると言われても仕方ない面もあるかもな。」

M「来週から日本でも企業決算が続々と出てくる。それが重しとならなければ良い
けどな。とりあえず来週為替がどういう展開示すのか注目しておきたい。」

T「ああ。期待したいモンだ。」