◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆  2013/04/06(土)発行

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◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆
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T「名実共に新年度入りした日本市場は随分と荒い展開となった。」

M「ああ。ある意味、波乱の幕開けだな。今週、日経平均は12000円割れあったと
思えば、13000円超えもあった。実にザラバ中の動きも含めて、日経平均はこの1週
間で1400円以上も動いたことになる。」

T「そうだな。週前半は海外勢がイースター休暇で乏しい中、日銀短観が失望され
国内勢の売りで派手に下げてしまった。」

M「まあ先物に短期資金による仕掛け的な売りも出ていたようだが、日銀会合への
出尽くし警戒感が強まった感もあるようだ。」

T「だろうな。一部報道では、今回の会合では全て決められず、幾つかの緩和策が
次回の会合まで協議が持ち越される可能性が報じられていた。それだけに警戒感も
強まっていたんだろう。」

M「日経平均TOPIXも25日線を割り込んでしまったからな。25日線を割り込んだの
アベノミクス相場が始まってから始めてのことだ。」

T「でも水曜日にはイースター休暇明けとなった海外勢の買いが入って日経平均
大きく戻した。というか、その日はファーストリテイリングの上昇が大きかったけ
どな。」

M「ああ。日経平均はその日、360円近くも上昇したが、そのうちの174円はファー
ストリテイリングの上昇による分だ。TOPIXの上昇は大したこと無かった。」

T「それで木曜日の日銀会合だ。良い意味で市場の期待を大きく裏切ったと言える
だろう。」

M「まさにサプライズ緩和となった。昨年のバレンタイン緩和どころじゃない。ま
さに異次元の金融緩和政策だと言えるだろう。」

T「しかも市場へのインパクト強める演出も込めている。やたらと2倍にこだわって
いるし、解りやすく大胆さを示したといえる。」

M「マネタリーベースを2年で約2倍にし、その為に長期国債買い入れ額を現行の4兆
円弱から約2倍となる7兆円強に引き上げ、買入対象国債は超長期債も含めて全ての
国債を対象とし、その残存期間は現行の3年以下から7年程度にした。」

T「んで、リスク資産であるETFJ-REITの買入枠も大幅に増額した。」

M「他にも細かいものはあるが、想定されていた緩和策を全て打ち出したと言える
だろう。しかも市場が予測していた以上の規模でだ。」

T「一部の緩和策は次回会合に持ち越しなんて、小出しにしなかったことも好感で
きる。出し惜しみせず、期待以上の規模で、考えられる緩和策を全て打ち出した感
じだな。」

M「ああ。マネタリーベースが2倍って・・・。世の中に流通している円の総量を
2倍にするってことで、ある意味、円の価値が半分になるようなモンだ。」

T「つまりそれだけ円安に進むことになるし、株高に繋がることになる。」

M「バーナンキFRB議長もドラギECB総裁もビックリだろう。」

T「とにかく市場インパクトは絶大だ。これが発表されると、日経平均は大幅安
水準から大幅高水準に駆け上がったからな。」

M「ああ。しかも、日中取引だけでは買いもこなせず、その日のナイトセッション
では先物が更に暴騰した。ヘッジ的な先物買いや、とりあえず現物株買う前に乗り
遅れまいと先物買いに動いた海外勢も多いようだ。」

T「そして昨日の日本市場は、日経平均が一時600円近くも上昇する場面が見られた
。」

M「ただ勢いで上げ加速してしまった面もあるだろう。売り方がパニック的に買い
戻してきただろうし、大衆心理でとにかく上値を買いに行ったと言う向きも多そう
だ。」

T「大手不動産株にはストップ高まで買われる銘柄も出てくるとか、ある意味、普
通じゃない動きだ。」

M「まあ普通じゃない金融緩和を打ち出したんだ。普通じゃない動きになっても不
思議はない。」

T「でも昨日は後場に波乱的な動きとなり、上げ幅を大きく縮小して引けている。
債券市場でまとまった手仕舞い売りが出たことがきっかけとなり、為替市場や株式
市場で手仕舞い売りが相次いだようだ。」

M「そうだな。まあ外部要因も悪かったというのも短期投資家などの手仕舞い売り
を急がせた面あるだろう。中国市場は休場だったが、鳥インフルエンザ問題が拡大
しており、その影響で香港市場が爆下げしていた。」

T「韓国市場も大幅安となっていたし、北朝鮮問題も依然として緊迫化したままだ。」

M「ああ。しかも晩には米雇用統計を控えていた。今回は悪くなりそうだという見
方が、先日のADP雇用統計で強まっており、その警戒もあったんだろう。」

T「その雇用統計は想定以上に悪かったと言える。雇用者数は市場予測の19万人増
を遙かに下回る8万8000人増にとどまった。民間部門も予測下回っており、何よりも
節目の10万人を割り込んだのには驚いた。」

M「それをうけ米国市場は波乱的な下落で始まっていたからな。ダウは170ドル超の
下落となる場面も見られた。」

T「ああ。ただ驚いたのは日経先物のナイトセッションでの動きだ。雇用統計発表
をうけ、下げる場面もあったが、すぐに戻す動きとなっており、殆どプラス圏での
推移となっている。」

M「そうだな。為替も同様だ。発表直後はドル売り円買いの動きになったんだが、
すぐに切り返して、ドル買い円売りの流れとなった。ドルは対ユーロでは売られて
いるが、対円では買われる動きとなっている。」

T「どういう事だ。結局、米国時間では更に円安に進行しているし、ナイトセッシ
ョンでの日経先物も上げ幅拡大して大幅高で引けている。それにつられたのか、米
国株は下げ幅縮小し引けている。」

M「ああ。すべて日銀による異次元の金融緩和政策が効いていると言うことだろう。
恐らく雇用統計発表後に円売りを狙っていた向きが多いと思われる。雇用統計前は
乱高下する恐れもあるだけに円売りにくさもあったんだろう。」

T「日経先物も同じような感じだな。雇用統計発表を待ってから買いに動いた向き
もいるようだ。雇用統計の結果に関わらず買う予定だったという感じだな。」

M「結局、円の先安感、日本株の先高感が強いと言うことだろう。日銀の異次元の
金融緩和政策によって・・・。」

T「しかし今回の日銀会合でもしサプライズ無ければ、日本株も波乱的な下落にな
っていた恐れもあるかもな。」

M「そうだな。中国の鳥インフルエンザ問題や北朝鮮問題、それに米雇用統計の悪
化で、今頃日経平均は12000円を大きく割り込んでいたに違いない。為替もかなり
円高へと戻していただろうな。」

T「ああ。とにかく来週もこの強い展開が続いて行けば良いけどな。期待したいモ
ンだ。」