◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆  2013/05/11(土)発行

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◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆
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T「ゴールデンウィーク明けとなった今週の日本市場は強い展開となった。」

M「ああ。先週の連休の谷間には手控え感も強く日経平均TOPIXは上値の重さみら
れていたが、今週は再び息を吹き返した格好だ。」

T「やはり先週末の米雇用統計が良かったことが、きっかけとなったといえる。そ
れにより日本が連休中の米国市場が派手に上昇したからな。」

M「それに為替だな。先月は節目の100円に届きそうで届かない展開続けており、再
び1ドル95円まで戻すのではという見方も強まっていた。しかし米雇用統計が強かっ
たことから再び円安水準へと方向転換して来ている。」

T「そして一昨日木曜日の米国時間では一気に節目の100円を突破してきた。」

M「いずれは100円突破もしてくるとみられていたが、タイミング的にサプライズだ
ったといえるだろう。」

T「だろうな。米雇用の改善をうけ円安へと戻してきたものの、どうせまた100円
手前ではもたつくとの見方が大勢だった。実際に一昨日には99円台でドルの上値の
重さみられており、98円台まで戻していたからな。」

M「その状況からの巻き返しだ。きっかけは一昨日米国で発表された新規失業保険
申請件数だが、一気に1円以上も円安へと振れるほどの材料ではない。」

T「だよな。しかも為替が大きく動いたのは発表から30分程度も経ってからだ。発
表直後も円安へ振れたが、すぐに頭打ちとなっている。」

M「それだけに新規失業保険申請件数はあくまでもきっかけにされたと言うことな
んだろ。」

T「だろうな。」

M「その日は商いも低調で、注文自体もかなり乏しく薄商いだった。週末のG7を控
えて参加者も乏しい状況だったようで、そのタイミングで意図的に仕掛けた可能性
が高いだろう。」

T「だろうな。為替の動き自体がそんな感じだ。1ドル99円30銭辺りにはまとまった
ストップロス注文が入っており、更に100円超え水準にもまとまったストップロス注
文が入っていた。」

M「それを意図的に発動させようと、強引にドル買い円売りを仕掛けた向きがいる
ようだ。」

T「100円を突破した時間は日本時間で深夜3時前だ。国内勢は機関投資家はもちろ
ん個人すらあまりいないような時間帯であり、まさに薄商いだったに違いない。」

M「次々とストップロス注文を発動させ、踏み上げ的にドルが買われていった。節
目の100円突破してくると、更にまとまったストップロス注文が発動し、ドル円
一気に100円80銭辺りまで円安が進行した。」

T「仕掛けた向きにしてみれば、まさに大成功といった展開だといえる。」

M「まあ新規失業保険申請件数が良かったと言うこと以外でも、ドル買い円売りの
理由に挙げられた事は幾つかあるけどな。米30年債入札に日本の機関投資家が応札
してきたとか、10日のバーナンキFRB議長講演で、出口戦略に振れるとの報道が流れ
るといったような噂も浮上している。」

T「なんか、きな臭い噂だな。」

M「結局そんなモンは後付け的な理由だろう。大袈裟に言えば新規失業保険申請件
数ですら、後付け理由に過ぎないともいえる。つまり新規失業保険申請件数の結果
など関係なく、あの日は100円突破していた可能性もあるということだ。」

T「まあ理由なんて後で幾らでも付けれるからな。」

M「ただ、日本時間に入ってドル買い円売りに追い打ちをかけるような材料が出て
きた。昨日の朝に発表された対外証券投資だ。これによれば日本の生保など機関投
資家が外国の中長期債を買い越していたことが明らかになっている。」

T「先月は日本の金融機関などが外債購入を増やしてくると言うことが円売り材料
になっていたこともあったが、その財務省発表による対外証券投資で外債売り越し
が続いていて、そういった期待は後退していた。」

M「ああ。ところが昨日の朝に発表されたデータによれば、この日はGWの影響もあ
り2週間分が発表されたんだが、4月4週と5月1週は共に買い越していたことが解った
。7週ぶりの買い越しだ。」

T「それにより再び国内勢による外債購入の思惑が復活したという事だな。」

M「その通りだ。国内の金融機関が外債購入強めれば、円売り要因になるだけに、
この発表を受け昨日の日本時間でも円売りが強まり円安が更に進行した。」

T「木曜日に米国時間で仕掛けた向きも、それを睨んでの仕掛けだったんじゃ無い
のか。」

M「それは考えにくいだろう。このデータが事前に漏れることは無いだろうし、買
い越しに転じたという確信なんて持てるはずもない。たまたま追い風要因が出てき
たと言うことだろうな。」

T「だよな。」

M「いずれにしろ、ドルの100円突破は仕掛けだが、その後の円安は国内勢による
外債購入期待が高まったことが大きく影響している。昨日発表された対外証券投資
のデータはきな臭い噂でもなければ思惑でもない。事実要因だ。」

T「それにより昨晩の米国時間では円安が更に進み、ドル円は1ドル102円に迫る場
面もみられた。」

M「その影響もありシカゴ日経先物は大幅高で引けている。今日まで行われている
G7で円安批判出てこなければ、週明けの日本株も大きく上げて始まりそうだ。」

T「そうだな。来週も更なる上昇が期待できるかもな・・・。」

M「そうなればいいのだが、円安に株価がついて行けなくなる可能性は考慮してお
くべきだろう。そうなると円安進行にも重しとなる。それに米国市場だ。ここに来
て超金融緩和政策の出口論が再び意識されて来ている。米金融緩和縮小の思惑強ま
れば、更なる円安要因になるとはいえ、米国株には売り材料になり得るからな。」

T「ああ。とにかく来週はどういう展開になるのか注目だな。期待したいモンだ。」