◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆  2013/05/25(土)発行

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◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆
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T「今週はアベノミクス相場始まって以来といえる波乱相場となった。」

M「ああ。週前半は強い相場継続しており先週15000円に乗せたばかりなのに、
16000円に迫る場面もみられた。」

T「ただその後は波乱となり、真っ逆さまに急落してしまった。」

M「今週の日経平均の値幅は2000円近くにも及び、まさにジェットコースター相場
だ。」

T「まるで膨らみすぎた風船が破裂した感じで崩れてしまったな。まあここまでの
強さが異常だったといえるだけに、反動の下落も異常な動きとなってしまったよう
だ。」

M「まさに記録、記憶に残る1週間だった。日経平均と25日線の乖離率は10%越えま
で上昇したと思えば、それが一気に解消され、場中には乖離率がマイナスになった
からな。」

T「先週までの強さも急ピッチで凄かったが、今週前半は更に上昇ピッチを早めて
きたからな。日経平均と25日線の乖離率が10%越えるなんて、過去20年みても数える
くらいしかない。」

M「ああ。買いに勢いが付いてしまった感じで、まさにバイイング・クライマック
ス的な感じになった格好だ。」

T「でも最後の方なんてかなり違和感ある上昇だった。日経平均はどんどん上げる
も、現物株がついて行けなくなっており、一部の値がさ株が買われて指数を押し上
げていった感じだ。」

M「そうだな。日経平均派手に上昇していても値下がり銘柄数が圧倒的に多かった
りした時も見られていた。」

T「ああ。指数的にはTOPIX日経平均について行けなくなり、22日には日経平均
TOPIXで割ったNT倍率は12.24倍となり2000年4月以来の高水準となった。」

M「しかも上げている理由というのも明確なモノは無かったからな。まさに最後の
方は勢いだけで上げてしまったという感じだ。というより仕掛けっぽいけどな。」

T「だな。特に急落した23日の朝方の上昇は明らかに不自然だったといえる。」

M「そうだな。前日にはバーナンキFRB議長の議会証言での質疑応答での発言や、
FOMC議事録をうけ、米国では量的緩和縮小懸念が強まった。米長期金利は急上昇し
大台の2%台に乗せていた。米国株も下げて返ってきていた。」

T「それをうけ23日の日本市場では朝方に債券先物が急落し長期債の利回りは大台
の1%を付けてきたからな。」

M「ただ、それでも日経平均は上昇して始まっている。後付的な理由としては為替
が円安へ振れていたと言うことなんだろうけど・・・。」

T「まあ寄り付き高く始まるのは、百歩譲って良しとしても、寄ってからどんどん
上げ幅拡大し16000円に迫るってどうなのよ・・。」

M「不自然だよな。ショートカバーの動きを誘発するような先物主導での上昇であ
り、売り方も踏まされた向き多いようだ。」

T「でもその後は反動的に売られる展開となってしまった。前場の内から上げ幅を
全て飛ばす動きとなっており、後場には波乱的な下落となった。」

M「きっかけは色々と言われているけどな。日銀が実施した資金供給オペが札割れ
になったとかな。それが11時過ぎに伝わり、相場が崩れていったからな。」

T「ただきっかけはなんだろうと、風船は既に破裂寸前まで膨らんでいたんだ。破
裂するのは時間の問題だったと言うことだろう。」

M「ああ。その通りだ。急ピッチに上げすぎた反動だ。せめて節目の15000円辺りで
もたついていれば、こんな事にはならずに済んだかもな。」

T「でも、何もこんなに一気に下げなくてもって感じだが・・・。」

M「確かに。まあ急速に上げすぎた反動と言うこともあるが、急激に下げた事によ
り、ストップロスも次々発動するし、CTAなどヘッジファンドアルゴリズムを用い
た超高速取引によって下げ足を速めた格好だ。」

T「2010年5月の米国市場でのフラッシュクラッシュを思い出した市場関係者も多い
ようだな。」

M「ああ、まさにそんな感じだろう。あの時は米ダウが僅か数分で1000ドル程度も
下落した。詳細は未だに不明なんだが、大口売り注文を機に、アルゴ取引が暴走し
たと言われている。」

T「でも、その時は当日のうちに結構戻して引けている。」

M「今回の日本市場の場合は23日は戻せなかったからな。日経平均安値引けとなっ
ている。この安値引けはかなり大きな意味を持つと思うぞ。」

T「というと・・。」

M「つまり、ここまで下げたのは、単純にアルゴ取引が暴走し行き過ぎて下げてし
まったと言うことではない可能性がある。もちろんアルゴ取引が暴走したことも下
げに拍車をかけているのは事実で、下げのスピードを速めた要因なのは間違いない。」

T「でもアルゴ取引が暴走してなくても、この水準までは下げた可能性があるとい
うことか・・。」

M「ああ。そんな短時間では下げていなかっただろうけどな。通常、アルゴ取引が
暴走だけが要因で下げ過ぎてしまえばある程度は戻せるモンだ。戻せなかったとい
うことは、その水準まで売られても不思議はないと思っている向きも多かったと言
うことだ。」

T「なるほど。」

M「23日あれだけ下げても日経平均は25日線までも売られていない。個別株には
未だに25日線から結構上方乖離している銘柄も少なくない。つまり強い押し目買い
入れる水準まで到達していないと言えるだろう。」

T「だから下げ止まらなかった訳か。」

M「それに、今回の下落は単純にアルゴ取引が暴走しただけが要因ではなく、実際
手仕舞いに動いてきたヘッジファンドがいたことが大きな要因だ。」

T「確かに手仕舞いに動いてきたヘッジファンドは結構いる感じだ。先物手口みて
もそうだし、為替が一緒に円高へと進行していることからも、円売り株買いしてい
た向きがクローズしてきた動きだといえる。」

M「ああ。手仕舞いのきっかけは、米国の量的緩和縮小が意識されたことかも知れ
ないし、長期金利が節目の1%に到達したことがきっかけになったのかも知れない。
もしくは単純に時期的なモノかも知れない。」

T「昨日の相場も荒い展開となっていた。派手に戻して始まったと思えば、後場
は再び急落で14000円割れとなる場面もみられた。ただ昨日は大引けにかけては戻し
日経平均プラスで引けた。」

M「日経平均は一時25日線も割り込んできたからな。ただその水準では押し目買い
入れてきた向きも出てきたようだ。だから昨日は戻せた。」

T「でも昨晩のナイトセッションでは先物結構売られており、まだ売り圧力も消え
ていない。」

M「そうだな。手仕舞い売りも続いている可能性はあるだろう。それに超ハイボラ
ティリティ相場になってきているだけに、先物取引の参加者も減っているようで、
一部の投機筋が弄っている可能性もある。」

T「先物の板、かなり薄くなっているからな。」

M「ただ来週はかなり押し目買いも入ってくることが想定される。ようやく押し目
らしい押し目を作ってきたんだ。中長期資金はここぞとばかりに買いを入れてくる
だろう。」

T「となれば、今回の調整はスピード調整となる可能性もあるわけだな。」

M「来週はまだ乱高下は避けられないが、突っ込みどころでは買い手は多くなるだ
ろう。それだけに下値は限定的となる期待はある。」

T「そうだな。」

M「ただ今までのように上値をどんどん追っていく展開にはならないだろうな。
基本的に上値をガンガン買い上がるのはヘッジファンドのような短期資金だ。」

T「でもヘッジファンドには手仕舞いに動いてきた向きが出てきているとなれば、
上値をどんどん買い上がる向きは乏しくなるって訳か・・・。」

M「ああ。まだ手仕舞い売りも出てくるだろうし、上値に取り残された短期資金の
戻り売りも上値を抑える要因になる。」

T「まあ、ある意味、健全な相場に戻っていくという感じなのかもな。」

M「アベノミクス相場が始まって半年が経過しており良い時期なんじゃないのか。
ここまで急ぎすぎたから、ここいらで一休みするのも・・・。」

T「そうだな。幸いにも米国株は底堅さ見せており、日本株急落の悪影響は限定的
となっている。それだけに来週は日本株も落ち着きを取り戻せれば良いけどな。」

M「ああ。今後の懸念はやはり米国だ。米国が本格的に調整してくるようだと、日
本株の調整も長引く恐れが出てくるからな。」

T「そう考えると来週の相場は重要だな。期待したいモンだ。」