◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆  2013/12/14(土)発行

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◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆
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T「今週は不安定な1週間だった。週頭はしっかり上昇したが、その後は週末へかけ
手仕舞い売りに押された格好だ。」

M「そうだな。先週末、強い米雇用統計をうけ米国株が派手に戻したことから、週
明けの日本株も大幅上昇となったが続かなかった。」

T「やはり米雇用統計で米国株が上げたのは、出尽くし的な反発だったと言うこと
だな。雇用統計へ向け売られていただけに・・・。」

M「そういうことだろうな。でも量的緩和縮小、いわゆるテーパリングへの懸念は
消えた訳じゃ無いだけに、買いも続かず今週も売られたという感じだ。」

T「それに今週は更に早期テーパリングの可能性を高める新たな要因も浮上してき
た。米財政問題の進展だ。」

M「ああ。米国時間10日の夕方に、米議会の与野党幹部が財政協議で暫定合意した
と発表した。10月に合意した暫定予算は年明け1月中旬までだけに、それまでに新た
な予算案を打ち出す必要があった。」

T「打ち出せないと1月中旬以降には再び政府機関閉鎖と言う懸念があった。でも、
今回はなぜかあっさりと合意に至った。」

M「これは基本的に好感出来る事なんだが、FRBがテーパリングに踏み切る事が出来
ずにいる一つの要因として政局不安と言うことがあっただけに、その懸念がかなり
後退したことになる。」

T「今年の9月にはテーパリングに踏み切るとの見方が強まっていたにも関わらず見
送られたのも、そういった政局不安があったためだと言われているからな。」

M「ああ。実際、10月には政府機関閉鎖に追い込まれたし、最悪デフォルトかとい
う状況にまで陥った。もし9月にテーパリングに踏み切っていたら、10月はもっと波
乱相場になっていた恐れもある。」

T「あれだけ、揉めていた与野党が今回あっさり合意に言ったのは正直驚きだが、
市場には逆にテーパリングへの警戒を高める結果になってしまった。」

M「なぜ今回はあっさり歩み寄れたのか・・。何か裏があるのではという見方も少
なくない。」

T「今までの与野党の対立を見ると、確かにそう思うよな。」

M「ああ。共和党量的緩和政策に批判的だ。それだけに、テーパリングへ導くた
めに、歩み寄ったのではという背景があるのではと、見る向きもいるようだ。」

T「なるほど。そういう背景があるなら、尚更テーパリングへの可能性高まったと
も言えるかもな。」

M「それだけに市場は警戒しているんだろう。来週のFOMCでテーパリングへ踏み切
るのではと・・・。」

T「確かに予算問題は大きく前進したといえる。昨日は下院で採決されたが、賛成
多数で可決した。恐らく上院でも可決され、正式に予算案が決まることになる。」

M「ああ。」

T「ただ、まだ政府債務上限問題が控えている。2月の上旬まで先送りされているが
、その頃になれば再び揉めるんじゃないのか。」

M「そうだな。ただ実際に揉めるとしても、結構先だ。確かに2月上旬以降には債務
上限を引き上げることが出来ないが、資金繰りはその後も暫くは問題ない。税収な
どによっては4月以降までやりくり出来ると言う見方だ。」

T「なるほど。流石にそこまでテーパリングしないって事も考えにくい。そうなれ
ば、確かに来週のFOMCでテーパリングに踏み切る可能性もありそうだ。」

M「ああ。来週のFOMCでテーパリングに踏み切る可能性はフィフティ・フィフティ
だと見る向きが多い。先週までは、もっと低いと見ていた向き多かったけどな。」

T「半々か・・・。」

M「ただ幸いなのは、市場の警戒が事前に高まっていると言うことだ。多くの人が
、テーパリングしないと思っている状況で、もしテーパリングに踏み切れば、かな
りの波乱が想定される。」

T「でも、事前に警戒されていればいるほど、悪影響も限定的になるという訳か・
・。」

M「ああ。そう言う期待はあるだろう。もともと9月にはテーパリングへ踏み切ると
市場は見ていたんだ。それが後ずれした状況だが、今回見送られたとしても、遅く
ても3月までにはやると言う見方が大半だ。」

T「そうだな。それだけに今回テーパリングへ踏み切っても、どうせ数ヶ月後には
踏み切る可能性高かったんだし、さほど大きな問題ではないと言う見方も出来るわ
けだな。」

M「ああ。あとは縮小の度合いだろうな。どの程度の縮小になるかにもよるだろう
。ただ、大胆に削るような事はしないと思うけどな。」

T「だよな。あくまでも緩やかにという事になるんだろう。」

M「それならば、さほど嫌気されない可能性もある。逆に言えば、テーパリングは
、米景気が良くなっているということなんだからな。」

T「あとは、それをうけての長期金利の動向だな。」

M「そうだな。米長期金利が大きく上昇するようだと、確かにやっかいだ。それが
景気拡大の重しになると言う見方に繋がってしまうからな。」

T「いずれにしろ来週の相場は結構荒い展開になりそうだな。前半はテーパリング
を巡る思惑で乱高下しそうだし、FOMC後はどちらかに大きく動き見せそうだ。」

M「ああ。ただ、大きく動きを見せたとしても、良くも悪くも一時的になるかもな
FOMC通過後は欧米は本格的にクリスマス休暇入りとなるからな。」

T「そうだな。まあ、閑散に売り無し相場になっていけば、まだ良いのだが・・・
。」

M「今年も残すところ、あと10営業日だけだ。どうせなら良い形で大納会を迎えた
い。」

T「ああ。日経平均は年初来高値射程圏と言える水準なんだし、大納会に年初来高
値更新して今年の相場を終えるっていうのも良いよな。気分良く正月を迎えられる
。」

M「去年がそうだったな。2年連続で大納会で年初来高値更新となれば、凄いことだ
。」

T「そうだな。大納会の年初来高値は、イヤな見方をする市場関係者も結構多く、
翌年は下げるという懸念抱く少なくなかった。」

M「ああ。去年の前に、年初来高値で大納会を迎えたのは1999年だ。翌年の2000年
にはITバブル崩壊で、日本株は派手に下げている。その前は1989年だ。」

T「1989年の大納会といえば、日経平均が史上最高値を付けた日だな。それは未だ
に更新したことがない。」

M「ああ。38915.87円だ。ザラバ高値は38957.44円であり、現状の2倍以上だ。」

T「その翌年の1990年はバブル崩壊で、やはり大きく下げている。」

M「ああ。それだけに大納会の年初来高値は、逆に懸念だと見る市場関係者が多か
った。ただ、去年大納会を年初来高値で終えたが、今年は大きく上昇した。それだ
けに、もはや大納会を年初来高値を懸念視する向きはいないだろうけどな。」

T「でも、1989年も1999年もその年は大きく上げて、大納会を年初来高値だろ。去
年とは結構違う。」

M「確かにそれは言える。そう考えれば、今年大納会を年初来高値で迎えると、
1989年、1999年に近い状況といえ、来年は警戒かもな。」

T「まあ、来年の話はまだ良いとして、取りあえず来週、どういう展開になるのか
注目してきたい。」

M「そうだな。期待したいモンだ。」