◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆  2014/01/25(土)発行

=================
◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆
=================
T「今週は週末にかけ波乱となった。それまでは底堅さも見せており揉み合い相場
だったんだが・・・。」

M「そうだな。つい一昨日の前場には日経平均16000円に迫る場面もあったんだが
・・・。」

T「ああ。安倍首相がダボス会議での基調講演で法人税改革を国際公約したことが
好感された。しかしその日発表された中国HSBC製造業PMIを機に流れが変わった格好
だ。」

M「中国HSBC製造業PMIは市場予測を下回っただけでなく、景気の分かれ目とされる
50を6ヶ月ぶりに下回ったのがネックとなっている。」

T「月曜日に発表された中国10-12月期GDPは悪くなかっただけに、想定以上の弱い
数字で一気に先行き懸念が強まったようだ。」

M「まあ、ブレの大きな指標だし、それだけでここまで売られる理由にはならない
が、それが引き金になったのは確かだな。つまり手仕舞いをするきっかけにさせら
れたと言えるだろう。」

T「確かに中国株が暴落しているわけでもないし・・。」

M「ああ。日本株も米国株も昨年末へ向け、かなり強く上げていただけに、利益が
乗っている投資家も非常に多い。それだけに手仕舞いに動くきっかけになったんだ
ろう。」

T「利益が乗っている投資家が多いだけに、一度崩れてくると手仕舞い売りに拍車
がかかりやすかったのかもな。」

M「更にタイミング悪いことに23日にはアルゼンチンペソが急落した。中国HSBC
造業PMIが弱かった事を機に、投機筋にリスクオフの動きが強まり、為替市場でも
脆弱な通貨を手仕舞いする動きが強まった。」

T「アルゼンチンは外貨準備高が減少してきており、今までのように自国通貨を買
い支える事が難しい状況だという見方が強まった事も影響しているようだな。」

M「ああ。アルゼンチンペソは今年に入ってから下げ基調を続けており、23日に突
如下げてきたわけではない。弱い中国経済指標を機に投機筋のリスクオフの動きが
強まった為、アルゼンチンペソなど新興国通貨から資金を引き揚げる動きが加速し
たと言える。」

T「トルコリラ南アフリカランドなども今年は下落基調を続けている。」

M「その新興国通貨安が更に先進国経済へも悪影響を及ぼすのではという警戒にも
繋がり、日本や欧米の株式市場の下落に更に拍車をかけている。」

T「つまり悪循環に陥ってしまったという感じか・・・。」

M「ああ。昨晩の米国市場も派手に下落しており、日経先物は夜間取引で15000円も
割り込んだ。シカゴ日経先物終値は円建てで14945円となっている。週明けは日経
平均400円以上の下落で始まる計算だ。」

T「こう急落すると、手仕舞いするつもりがなかった向きも手仕舞いに動かざるを
得ない。」

M「ああ。リスクオフの動きが次々波及する格好となるからな。まさに悪循環に売
られていくという状況だ。」

T「来週あっさりと落ち着きを取り戻せれば良いのだが・・。」

M「ただ新興国通貨安が止まるかは不透明と言わざるを得ない。急落している通貨
の国は自国通貨を買い支える余力も乏しい。」

T「だよな。」

M「新興国通貨安の根本的にあるのは、米国のテーパリングにある。今後もテーパ
リング続けていく見込みであり、一部の新興国から資金を引き揚げる動きが、年明
け以降続いている。」

T「となれば、新興国通貨安の流れはまだ続く恐れもあるわけだな。」

M「その恐れはあるだろう。来週にはFOMCがあり、追加で100億ドル資産買入額を
縮小する事が決定されると見られている。それだけに先回り的に新興国から資金引
き揚げに動いている向きも多いのかも知れない。」

T「でも、こういう波乱的な状況になった以上、果たして本当に追加縮小するのか
?」

M「どうだろうな。確かに今回は見送られるという可能性も出てきたといえるかも
な。ただ今年中に量的緩和政策を終えると言う見方は変わりそうもない。」

T「となれば、今回のFOMCで追加縮小見送られても、今後のFOMCで帳尻合わせで、
縮小額増やしたりすることもあるかもな。」

M「ああ。それだけに今回見送られても新興国から資金引き揚げの動きが止まるの
かは不透明だ。」

T「結局のところ、新興国から資金引き揚げの動きにより、先進国経済にどの程度
の悪影響が出てくる買って事だからな。言うほど悪影響がないとなれば、日本や米
国株は落ち着きを取り戻す。」

M「ああ。逆に売られ過ぎたと見られれば、見直し買いが強まるだろう。」

T「通貨安となっているアルゼンチンやトルコ、それに南アフリカなどの通貨安が
、それほど日本や米国経済に悪影響を及ぼすとは考えにくいんだが・・・。」

M「そうだな。ただ波及するという恐れもあるからな。例えばスペインなどは欧州
諸国の中でトルコやアルゼンチン絡みの金融資産比率がもっとも高い。それだけに
新興国通貨安でスペインの財政に悪影響が出てくれば欧州不安復活だ。」

T「そうなれば、日本や米国経済にも悪影響が出てくる恐れも確かにあるわけだな
。」

M「まあ大袈裟な話だといえ、可能性は結構低いと言えるけどな。現状ではインド
インドネシアなどは、まだ比較的にしっかりしているし・・。」

T「ただ、今後それらの新興国へも資金引き揚げの動きが強まる恐れもあるだろう
。」

M「その辺は来週しっかり注目しておきたい。あとは中国だな。中国はシャドーバ
ンキング問題があり、来週末に満期を迎える理財商品償還が出来ない恐れが言われ
ている。つまりデフォルトだ。」

T「そうなると、中国経済に悪影響を及ぼす恐れもある訳だな。」

M「ああ。中国経済が本当に悪化してくると、さすがに日本や米国経済にも悪影響
が避けられない。まあ、今回も無事通過できるとは思うのだが、来週は警戒される
恐れはあるかもな。」

T「ここに来て色々な懸念が浮上してきたが、過剰反応だという見方が強まるなら
ば、ある意味絶好のチャンスとなる期待もある。まずは、来週市場に落ち着きが戻
るのか注目したい。」

M「そうだな。FOMCも注目だ。それに日本では企業決算発表が本格的に始まる。好
業績発表する企業も多いといえ、それらがしっかり買われるかも注目だな。」

T「企業の好決算が市場を落ち着かせるという可能性もあるかもな。期待したいモ
ンだ。」