◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆  2014/03/15(土)発行

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◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆
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T「今週は先週とは一転して非常に弱い相場展開となった。」

M「ああ。先週上昇した分を全て吐き出し、更に下落してしまった。」

T「ウクライナ情勢が再び緊迫化して来て、米国株が連日下げるなど外部要因で地
合悪化に繋がったといえるが、欧州株や米国株以上に弱い動き見ると、どうもそれ
だけでもなさそうだな。」

M「そうだな。ウクライナ情勢悪化で悪影響をもっとも受ける恐れがある欧州株よ
り売られているんだからな。」

T「中国経済の先行き懸念も依然として重しとなっているようだが、中国や他のア
ジア株の中でも日本株がもっとも売られた。」

M「それだけに、やはり日本特有の要因もあると見るのが妥当だろう。」

T「そうだな。先週の上昇要因はGPIF絡みの報道が好感された面もあるが、やはり
日銀への追加緩和への期待が強まったことが影響している。」

M「それが今週剥落した。もちろん今回の会合で追加金融緩和に踏み切るという可
能性は非常に乏しく、海外勢もそれに期待していたと言うわけではないだろうけど
・・・。」

T「問題は会合後に行われた黒田日銀総裁の会見だな。」

M「ああ。一部の海外勢には早ければ4月の会合で追加金融緩和に踏み切るという期
待も出ていた。まあ遅くても6月までにはという期待が強かったといえる。」

T「それに2月の会見で黒田日銀総裁がしたようなリップサービスに期待した向きも
多かったと言えるだろう。」

M「そうだな。しかし今回の会見では、それらを全て裏切るような発言が出てきた
。正直驚いたけどな。」

T「だよな。年度末近い状況で、まさか株価の重しとなるような発言をするとは
・・・。」

M「黒田日銀総裁は11日の会見で現時点で金融政策の調整の必要があるとは思って
いないと発言した。」

T「つまり追加緩和は必要ないという認識を示したことになる。」

M「もちろん2%の物価安定目標が達成困難になれば、躊躇せず調整するとは言って
いるが・・・。」

T「でも、それが達成困難になるかどうかは、まだ暫くは結論でないだろう。とい
うことは、まだ暫く政策調整はしないと言っているようなモンだ。」

M「まるで高まっている市場の期待に釘を刺すような発言だった。」

T「今回の発言を聞く限り、4月会合での追加金融緩和の可能性がほぼ無くなったよ
うな印象を受ける。」

M「そうだな。その会見の翌日以降、日本株の下落に拍車がかかったといえ、少な
からず黒田日銀総裁の発言を嫌気して売ってきた海外勢が居ると言えるかもな。」

T「それに加えてウクライナ情勢が一段と緊迫化しただけに、週末へかけ大きく売
り込まれた格好だ。」

M「ただ一度期待を剥落しておいて、追加金融緩和に踏み切ればマーケットインパ
クトは大きい。そこまで考えての発言なら良いのだが・・・。」

T「まあ確かに追加金融緩和が高まっている状況で、追加金融緩和に踏み切っても
影響は知れているからな。」

M「でも期待剥落させて株価が大きく下がってしまえば、あまり意味はない。市場
を混乱させるだけだ。そう考えれば先日の黒田日銀総裁の発言は彼の本心だと言え
るだろうな。」

T「ただ外部要因が悪化し、株価も大きく下げて居るんだ。状況はある意味、変わ
ってきたともいえ、今後更にそれらが悪化してくれば、日銀だって考えも変わる可
能性はあるだろ。」

M「そうだな。それに政府がチャチ入れてくる可能性があるだろう。政府はやはり
株安は望まない。それだけに日銀をあおる可能性は考えられる。」

T「そうなれば、黒田日銀総裁も追加金融緩和せずとも、もっとリップサービス
りする期待はあるのかもな。」

M「来週には黒田日銀総裁が講演を行う予定がある。そこでフォロー的な発言が出
てくるのか注目される。」

T「あとはウクライナ問題か。明後日にはクリミアのロシア編入の是非を問う住民
投票が行われる。欧米は住民投票実施すれば重大な措置をとると警告している。」

M「ああ。ただ予定通り住民投票は行われるとプーチン大統領は述べており、国際
法に違反するモノではないと改めて強調した。」

T「恐らく住民投票は行われるだろうな。問題は、それでロシア編入が賛成多数と
なったとき、ロシアがそれを受け入れるかどうかだ。」

M「受け入れれば、欧米は経済制裁を強めるだろうな。そうなったとき、ロシアが
どういう行動をとるのか・・。それがかなり不透明だ。」

T「まさか軍事行動に出るとは思えないが・・。」

M「いずれにしろ揉めれば揉めるほど、欧州経済にはマイナスだ。それが長引けば
間接的に中国や米国、そして日本経済にもマイナスになってくる。」

T「まあロシアにとっても、長引けばマイナス要素が大きいだけに、無茶なことは
しないとは思うのだが・・・。」

M「落としどころが見つかれば良いんだけどな。」

T「落としどころか・・。難しいな。」

M「ああ。住民投票でロシア編入が決まれば、ロシア議会がクリミアのロシア編入
を認めるか議論することになるだろう。まずは、それでどうなるかだな。」

T「それに住民投票結果が出た後、プーチン大統領が何をいうか、どういう行動を
とるのか注目される。」

M「まずはそれに注目だな。いずれにしろ、すぐに結論は出ないだろうけど、懸念
がどんどん強まっていくと言うことにはならないとは思うけどな。」

T「そうだな。一時的に落ち着くという期待は確かにありそうだ。ただ懸念が払拭
されないと、どうせまた波乱要因となってしまう。」

M「ああ。一時的に落ちつき、相場がある程度戻しても上値は限定されてしまう恐
れはある。」

T「昨晩の米国市場は続落したが小幅にとどまった。せめて米国市場が落ち着いて
くれれば、日本株も支えになるだけに、来週の米国市場注目したい。」

M「来週はFOMCがある。そこで市場に好影響与えられれば良いのだが・・。」

T「そうだな。期待したいモンだ。」