◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆ 2016/01/16(土)発行

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◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆
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T「今週も酷い1週間だった。日経平均は水曜日になって、ようやく反発したと思っ
たら、単発だもんな。」

M「ああ。今年、9営業日で上げて引けたのは、その水曜日の一日だけだ。しかも翌
日には上げた分を殆ど吐き出したからな。」

T「去年の年明けも酷い相場だったが、今年はそれ以上だな。」

M「そうだな。2015年も年明けから売られたが、下落幅はいうほど大きくはない。
今年の下げは異常だろう。」

T「だよな。去年は年初弱くても、1月中旬辺りから戻してきて、その後は上昇基調
となっている。ただ今年は無理だろうな。」

M「これほど下げると、去年のようにはいかんだろう。去年も1月第1週は海外勢が
大きく売り越していた。」

T「そうだな。去年の1月第1週は海外勢が現物、先物合わせ1兆2000億円超売り越した。第2週も海外勢売り越しており7600億円程度の売り越しだ。2週間で2兆円近くも売り越したことになる。」

M「今年は先週、海外勢が1兆円弱売り越した。今週も売り越しているのは明らかで
、やはり1兆円程度売り越している可能性もある。」

T「そうだな。今週はバークレイズのTOPIX先物売りが話題になった。連日大きく売
り越しており、今週だけでTOPIX先物を1万枚以上も売り越した。」

M「ああ。バークレイズは先週も毎日売り越しており、大量に買い持ち状態だけに
手仕舞いしてきている格好だ。今年に入ってさんざん売ったものの、依然として
28000枚程度保有していると思われる。」

T「もしかして、それも全部売ってくる気なのかね。」

M「どうだろうな。いずれにしろ、今週も海外勢大量に売り越しているのは間違い
ないだろう。」

T「年初から海外勢が大きく売ってくるというのは、去年と似たような状況だが、
株価の下落は今年の方が断然大きい。」

M「今年は裁定買い残がもともと多く残っていたこともあり、先週だけで7400億円
も減少した。それだけ裁定解消売りが出たということで、下げに拍車をかけている
。」

T「それに去年は個人投資家に加えて公的資金がしっかり買い越していたからな。
今年は公的資金先週は殆ど買っていない。公的資金が利用していると見られている
信託銀行は現物先物合わせれば売り越しだ。」

M「ああ。先週は個人投資家の一手買いだ。その辺が去年とは違うと言えるだろう
。それに今年は下値を叩くような売りも目立っている。」

T「つまり株価はいくらでも良いから、とにかく売りたいという動きだな。」

M「ああ。原油安によって財政悪化している産油国が、世界中から資金を回収して
きているようで、その動きが出ていたということもあるんだろう。」

T「いわゆるオイルマネーの売りだな。」

M「奴らは買うときはガンガン上値買うが、売るときも一緒だな。時間かけて出来
るだけ高く売るという姿勢ではなく、売ると決めたら幾らでも構わず、とにかく売
ってくる。」

T「決まった期間で予定数を売りたいということなんだろう。」

M「だろうな。それだけにある意味、短期間で売りたい分を売り切ってしまうとい
えるだろう。去年8月の時もそうだったが、今回も一緒じゃないのか。それだけに派
手に売り込まれるのも、そうそう続かない。」

T「そうだな。ただ相場が大きく崩れて需給が悪化してしまった以上、オイルマネ
ーの売りが例え一巡しても、立ち直りに時間が掛かるんだろうな。」

M「ああ。投資家心理はかなり悪化しているだけに、その回復にも日柄が必要とな
る。当然、上値には早すぎる押し目買いを入れた向きのシコリも多くあるわけだか
らな。」

T「去年は1月の第3週から海外勢は買い越しに転じてきている。今年も同じような
展開になればいいが、去年とは外部環境もだいぶ違うからな。」

M「そうだな。それだけに去年のようには行かないだろう。去年は公的年金資金を
運用するGPIFが株式運用比率見直しで、大きく比率を引き上げる過程だった。それ
だけに1月は公的資金の買いが継続的に入っていたからな。」

T「既に運用比率見直しもほぼ終わっていると見られているし、公的年金資金買い
に来るとしても、去年のような買い方はしてこないだろうな。」

M「ああ。株価が下げてくれば、その分、全体の運用資金に対しての株式運用比率
下がるため、買ってくる事になるが、上値を買い上がるような買い方はしないだろ
う。」

T「下支えになる期待はあるが、上値追いの要因にはなりにくい。」

M「しかもある程度、株価戻せば運用比率戻るため、それ以上は買ってこなくなる
。逆に更に上げれば、今度は株式の運用比率高まることになり、その分売ってくる
ことになるからな。」

T「その辺が去年とは大きく違うと言えるだろうな。」

M「やはり株価が本格的に戻して行くには、海外勢の買い転換が必要となる。」

T「だろうな。その為には、外部要因が落ち着く必要が出てくる。リスクオフの流
れからリスクオンの流れにならないと・・・。」

M「そうだな。現状、リスクオフの流れになっているのは、原油安や人民元安に中
国株安などの中国懸念だ。取りあえず、それが落ち着かないとな。」

T「それらは結局は中国景気の減速懸念が背景にあるといえる。来週には中国GDPが発表されるが、それにより減速懸念和らいでくれれば良いのだが・・。」

M「和らぐ期待は乏しいだろう。そもそも中国GDP自体が信用されていない。ただ既
に警戒感強い状況だけに、GDP発表でひとまずアク抜けとなる期待はあるかもな。」

T「そうなればいいのだが・・・。」

M「ただ、ここに来て米国経済への警戒も意識されてきている。中国経済減速懸念
はかなり前から警戒されていたが、米国経済がしっかりだったため、それが世界経
済の支えとなっていた。」

T「だよな。ただ最近発表された米経済指標は弱いモノが目立っている。雇用統計
は依然として強い状況だが・・。」

M「昨日発表された12月の米小売売上高は、自動車除くと前月比マイナスとなった
。想定外のマイナスだ。」

T「NY連銀製造業景気指数も酷い数字だった。鉱工業生産も弱かった。」

M「ああ。それらを嫌気し昨日の米国株は波乱的な下落となっている。」

T「米国経済減速が本格的に意識されてくると、かなり厳しいことになりそうだ。」

M「相場落ち着き取り戻しても、元の株価には戻しきれない恐れもあるだろうな。」

T「確かにそうだな。いずれにしろ、まずは相場が早く落ち着くことだな。来週に
も落ちつき取り戻して欲しいところだが・・・。」

M「来週は米国で企業決算発表が続々と出てくる。改めて売られるのか、アク抜け
的に買われるのかが鍵となりそうだ。」

T「既に決算への警戒もかなり織り込まれている面もあるだけに、アク抜けのきっ
かけになることを期待したいモンだ。」