◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆ 2016/09/24(土)発行

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◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆
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T「今週は3営業日しかなかったが、日本株はしっかりと上昇した。」

M「まあ日経平均でいえば1勝2敗だが、その1勝が大きく上昇しており先週末比より
は高く今週の相場を終えた。」

T「今週は何と言っても日米の金融政策に注目が集まった。日銀金融政策決定会合
と米FOMCの同時開催だ。」

M「ああ。日銀はマイナス金利深堀りに動くとの懸念が先週から一気に高まり、警
戒感から日本株の重しとなっていた。」

T「そうだな。注目された日銀会合では、マイナス金利深堀りは見送り、金融政策
の枠組み変更を決めた。」

M「題して長短金利操作付き量的・質的金融緩和だそうだ。」

T「新たな枠組みとして、まず長短金利操作、いわゆるイールドカーブコントロー
ルを新たに導入することを決めている。」

M「ああ。これはマイナス金利によって全体的に金利低下となっており、長期債と
言われる10年物国債金利もマイナスに沈んでいた。イールドカーブが全体的に下
がっていたんだ。それにより年金や保険会社などが運用難となっていたんだ。」

T「イールドカーブとは縦軸を債券の利回り、横軸を債券の残存期間として短期と
長期債券の金利を結んだ曲線のことであり、マイナス金利導入によって残存期間が
長い債券の金利もかなり低下してきていた。」

M「短期金利はこれ以上、下がらないという水準となっており、長期金利が徐々に
低下してきていた。それにより、短期金利長期金利の差が小さくなってイールド
カーブがマイナス金利導入前と比較すれば、かなり寝てきている。つまりフラット
に近づいていくような格好だ。」

T「イールドカーブのフラット化は経済活動に悪影響と言われているだけに、今回
の枠組み変更でそれを修正に動くというわけだ。」

M「まあそういうことだな。」

T「具体的には、日銀が10年物国債利回りをゼロ%程度で推移するよう調整するとの
ことだ。」

M「つまり、これ以上長期金利を下げさせないということな。以前、黒田日銀総裁
短期金利は金融政策で操作できるが、長期金利は難しいとの認識を示していた。」

T「だよな。ただ今回の総括検証では、マイナス金利政策と国債買い入れを組みあ
わせると、短期だけでなく長期の金利もある程度、誘導出来る事が解ったと黒田日
銀総裁は言っている。」

M「ある意味、長期金利をこれ以上、下げさせないということは、金融引き締めじ
ゃんという見方もある。」

T「だよな。今回の枠組み変更で国債買い入れペースを年間80兆円としていたもの
を、80兆円を目処にと修正してきている。つまり80兆円から多少増えたり減ったり
するということだ。」

M「ああ。増える分には良いが、減るならそれは引き締めともいえる。まあ金利調
整するために、買入量が増減するのは避けられないんだろうけど。」

T「本当にコントロール出来るのか疑問もあるけどな。」

M「そうだな。日銀はこのイールドカーブコントロールに加えて、2%の物価安定目
標を越えるまでマネタリーベースの拡大方針を継続する事も新たに示した。」

T「これはある意味、物価目標2%越えるまでテーパリングはしないという意思表示
というわけだな。」

M「まあ市場に誤解されないよう、明確に示したんだろう。」

T「他にはETF買入れに関して、内訳をTOPIXETFの比重を高めることも決めた。」

M「結局、今回決めた新たな枠組みは、事前にある程度は報じられていたことだ。
それだけに目新しくない。やはり今回の会合での注目点は、マイナス金利深堀りす
るかどうかが大きかったように思える。」

T「そうだな。ただ今回は見送られた。それをうけ、その日の日本株は金融株中心
に派手に買われた。」

M「ああ。結局、金融緩和政策に関しては現状維持なんだが、それでも買われた。」

T「そうだな。今回の会合で日銀は追加緩和に動くと見ていた向きが多かった。そ
れだけに期待は高まっていたし、現状維持なら失望されるとの警戒も強かったとい
える。」

M「ところが事前になってマイナス金利深堀りの話が浮上したことで、一気に警戒
感が強まった。」

T「ああ。しかしマイナス金利深堀りせず、現状維持を決めた。事前に警戒感強ま
っていたために、マイナス金利深堀り見送りとなったことで好感されたんだ。」

M「現状維持でも好感されたという結果となり、ある意味市場を上手くコントロー
ルした印象もある。」

T「でも、どう考えても続く買いにはならないだろうな。結局は追加緩和していな
いんだし、枠組み変えただけで、先行きは不透明だ。」

M「そうだな。イールドカーブコントロールは金融機関にはプラスになるといえる
ものの、あくまでも過度な懸念が後退したという程度に過ぎない。」

T「ああ。長期金利をこれ以上、下げさせないと言うことからこれ以上の運用難は
避けられそうだが、依然として運用難には変わりないし、それが解消される期待も
ない。」

M「そうだな。長期金利上がりすぎれば日銀は押さえるんだからな。ゼロ%程度に
・・。」

T「しかも追加緩和の手段に関して今回示されているが、その方法としてマイナス
金利深堀りや、長期金利の誘導目標の引き下げという事も書かれている。」

M「ああ。つまり現状、ゼロ%程度に誘導するとしているが、追加緩和によってそれ
を-0.1%とかに引き下げる事もあると言うことだ。」

T「結局、そういう追加緩和されれば、金融機関は更に運用難となる。」

M「それだけに今回の決定で、金融株買いが続く期待は乏しいと言うことだ。」

T「実際、昨日は金融株売られていた銘柄目立っていた。」

M「それに為替も先行きが不透明になってきている。米国は想定通り現状維持とし
FOMCメンバーによる金利見通しが下方修正された。これにより米国株は好感されたが、為替市場ではドル売り要因となっている。」

T「ああ。その影響もあってドル円は1ドル100円近くまで円高が進行する場面もあ
ったからな。」

M「今回の日銀による決定は円安要因ではない。マイナス金利深堀りは見送ってい
るわけだし、長期金利はこれ以上の下落を阻止するという構えだ。それだけに円売
り要因とはならない。」

T「米国は年内利上げありそうだが、利上げ後は当面追加利上げはできないとの見
方が今回のFOMCで強まった。」

M「ああ。それだけにドルも買いにくく、結局円が買われやすい状況になっている
。」

T「まあ1ドル100円近くまで円高突っ込んだ22日には、牽制的に政府日銀が緊急会
合を行ったが、そういったポーズもいつまで牽制になるのか解らない。」

M「ああ。介入警戒なんだろうけど、ポーズだけで実際には動かないと投機筋に見
破られれば、円買い仕掛けて来る恐れは否めない。」

T「何か他に円買いもしくはドル売りの材料でも出てくれば、それを機に一気に仕
掛けてくる恐れもあるかもな。」

M「いずにしろ警戒はしておくべきだろう。日米の金融政策会合が無事通過した安
心感はあるものの、強気になれる状況にはなっていないからな。」

T「そうだな。まあ米国株が強さ取り戻してきたのは好感できるが、昨日は反落し
てしまった。為替はひとまず落ち着いてはいるが、円安へ振れていく感じでもない
し、来週は結構不安定な相場になるかもな。」

M「ああ。9月最終週は最近下落することが非常に多いこともあるからな。まあ来週
どういう展開になるのか注目したい。」

T「そうだな。意外としっかりとしてくれれば良いのだが・・。期待したいモンだ。」