数十秒で死亡…いちエフ毎時500シーベルト超えの衝撃
数十秒で死亡…いちエフ毎時500シーベルト超えの衝撃 東電
http://www.sankei.com/images/news/170219/lif1702190007-n1.jpg 東京電力福島第1原発(略称1F=いちエフ)2号機で16日まで行われた格納容器内調査では、毎時500シーベルトを超える高い放射線量が推計される場所が相次いで見つかった。人が近づけば数十秒で死亡するという極めて高い値で、ニュースは海外にも配信されたが、一部メディアが誤った形で伝えるなど、衝撃的な数値が独り歩きし始めており、東電などは火消しに追われている。
「改めて申し上げますが、もともと燃料が持っている線量は数万シーベルトある。いまはそれを閉じ込めている状況で、530シーベルトや650シーベルトというのは、格納容器の中で確認したもの。新たに発生したわけではなく、外部に影響があるわけでもない」
東電の岡村祐一原子力・立地本部長代理は9日の定例会見でこう訴えた。誤解に基づく情報が拡散しているためで、その後の会見でも東電は同様の説明を繰り返している。
きっかけは東電が2日と9日に発表した放射線量だ。格納容器内調査で撮影した画像のノイズを東電が解析したところ、毎時530シーベルトと毎時650シーベルトが推計されたのだ。これまで福島第1原発で確認されている最大値が毎時73シーベルトだったことを考えると、桁違いの値で、記者会見でも驚きの声が上がった。
これまでも個人が過剰反応してネット上に憶測や誤った情報を書き込むケースは見受けられたが、東電が今回、特に困惑しているのはメディアが誤った情報を流している点だ。個人の書き込みレベルではなく、メディアが流しているため、こうした情報が“真実”と誤解され、ソーシャル・ネットワーキング・サービス(SNS)などを通じて次々と拡散しているのだという。
明らかな事実誤認の記事で、高い放射線量は格納容器の中を調査した結果、初めて推計された値だ。決して上昇しているわけではない。福島第1原発では90カ所以上で放射線量を測定しているが、上昇した形跡はないという。
記事では6日に行われた中国外交部の定例記者会見の中で、「日本への渡航に注意するよう呼びかけた」としているが、日本の外務省に確認すると、「新たに注意を呼びかけてはいない」という。
外務省の担当者によると、定例会見では確かに「中国国民に適切な旅行計画を立てるよう提案する」と述べているが、福島県内に避難指示地域が残っていることから従来の発言を繰り返したもので、今回の高い放射線量が見つかったことを受けたものではないのだという。