熱いEV合戦、自動車業界の再編も

熱いEV合戦、自動車業界の再編も


発表された電気自動車「リーフ」の新型モデルと並び、ポーズをとる日産自動車の西川広人社長(左から2人目)ら=6日、千葉市幕張メッセ

 日産が自動運転や自動駐車といった最先端の技術を全て網羅した新型「リーフ」を投入するなどEVの開発競争が一段と激しくなってきた。世界各国で、EVなどの一定販売をメーカーに義務づける規制が強まる中、対応に後れを取れば致命傷となりかねず、専門部署を立ち上げたり、提携で弱点を補ったりする動きも活発だ。
 「各社のEV投入の動きを歓迎する」。日産のダニエレ・スキラッチ副社長は6日の発表会で、EV市場への参入が相次ぐ現状にこう余裕を見せた。今回、新型リーフに搭載した最新の技術は「どのメーカーもしのぐ」と絶対的な自信を持ち、新規参入が増え市場が広がるほど、シェアが高まるとみているからだ。
 EVをめぐっては新型車投入の動きが世界で広がっている。米EVメーカーのテスラは現行車より価格を抑えた「モデル3」の納車を7月から開始。ホンダも8月に新型EVを米国で発売し、2018年には中国でも新型を投入する。ドイツ自動車大手フォルクスワーゲン(VW)は25年までに30車種以上のEV、ダイムラーも10車種超の電動車両を投じ販売を強化する。

 EV対応が急なのは電池性能の向上により1回の充電で走れる距離が長くなった上、各国で環境規制が厳しくなるためだ。米カリフォルニア州ではEVなどの一定割合の販売をメーカーに義務づける規制が18年モデルから始まり、中国でも同様の規制が早ければ18年に適用される。欧州ではフランスと英国が40年までにガソリン、ディーゼル車の販売を禁止しEVの普及拡大にかじを切ると決めた。
 こうした世界的な規制強化の中で、各国政府が普及に期待するEVでの出遅れはメーカーの今後の競争力を左右しかねない。水素で走る燃料電池車を次世代車の本命に位置づけるトヨタ自動車も昨年12月にEV開発を担う社長直轄の組織を発足。8月にはマツダ資本提携しEVの共同開発に乗り出すことを発表した。EV競争の勝ち残りに向け、合従連衡の動きが広がってもおかしくない状況にある。(今井裕治)