最悪のシナリオは核保有した統一朝鮮の出現 日本列島は「ダモクレスの剣」を突きつけられるのか?
最悪のシナリオは核保有した統一朝鮮の出現 日本列島は「ダモクレスの剣」を突きつけられるのか?
http://www.sankei.com/images/news/171013/plt1710130007-n1.jpg ダモクレスの剣とは、シラクサ王のディオニシオス1世が、廷臣のダモクレスを天井から細い糸で剣をつるした王座に座らせたという古代ギリシャの説話にちなむ。冷戦下の1961年9月、米大統領(当時)のジョン・F・ケネディは、国連総会の演説で核戦争の脅威をダモクレスの剣に例えた。
政府がもっとも恐れる「最悪のシナリオ」とは何か。それは核保有した統一朝鮮(韓国)の出現だ。
日本は、安全保障上の脅威となる国から財政面でも圧迫されることになる。
平成14(2002)年9月、首相(当時)の小泉純一郎が訪朝し、北朝鮮・朝鮮労働党総書記の金正日と合意した日朝平壌宣言では、国交正常化後に日本が経済協力を実施することが明文化された。その額は1兆円とされる。
統一朝鮮が、北朝鮮に対する戦後賠償として、これを上回る金額を要求する可能性がある。核を喉元に突きつけられ、領海・領土を脅かされながら、日本はそれに応じるのか-。
中国は米国の同盟国と陸続きの国境線で接することを極度に嫌っており、米国も統一朝鮮の行方に懸念を示しているからだ。米中両国とも、北朝鮮という緩衝材となる国家があった方がありがたいのだ。
ロシアも北朝鮮の行方に強い関心を持っている。
北朝鮮はもともと、旧ソ連が傀儡国家として打ち立てたというプライドもある。中朝関係が冷める中、水面下で北朝鮮を支援し続けるのも、プーチンが朝鮮労働党委員長の金正恩による独裁体制の存続を願っているからにほかならない。
「ポスト金正恩体制」の統治形態について、米中露はそれぞれの思惑で激しい綱引きを始めるだろう。日本が蚊帳の外に置かれたまま、米中露の首脳会談で新たな統治形態が決められてしまったらどうなるか。第二次大戦後の世界の枠組みを英米ソの首脳が密約してしまったヤルタ会談の再来ともいえ、日本にとって朝鮮半島はやはりダモクレスの剣となりかねない。
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「最悪のシナリオ」はもう一つある。
米国がギリギリの段階で軍事攻撃を取りやめ、米朝で対話することだ。
1993年の核危機では、94年6月に米元大統領のジミー・カーターが電撃訪朝して北朝鮮主席の金日成と会談し、これがその後の米朝枠組み合意につながった。日本は蚊帳の外に置かれたまま、資金援助だけを求められた。
米大統領のドナルド・トランプは過去の対話路線を全く評価しておらず、批判を続けているが、土壇場で対話路線に転じる可能性はなお捨て切れない。根っこに自国の利益を最優先させる「米国ファースト」があるからだ。