◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆2017.12.02

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◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆
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T「今週も日本株はしっかりと上昇した。」

M「ああ。日経平均は徐々に下値を切り上げてきており、昨日は23000円に迫る場面も見られた。」

T「米クリスマス商戦が好調スタートとなったことや、米金融規制、それに米税制改革への期待が強まり、米国株が今週はえらい強かったからな。」

M「そうだな。ダウは週間ベースで今年最大の上昇を記録した。それだけに、日本株にも追い風になったと言える。」

T「それに税制改革案への期待が高まったことでドルが買われ、円安へ振れてきたことも追い風になった。」

M「ドル円は投機筋による円売りの買い戻しが一巡した感もあるかもな。先週の米感謝祭へ向け、彼らのポジション調整の動き続いていたからな。その動きが今週は止まった可能性もある。」

T「ただ今週はもっと足の長い資金のポジション調整的な動きが見られている。」

M「半導体株か・・。」

T「ああ。今週は日経平均など指数はしっかり上昇したものの、今まで相場を牽引してきたといえる半導体株には派手に売られるもの目立っていた。」

M「きっかけは、韓国サムスン株のモルガンスタンレーによる格下げだ。その理由が半導体の需要がピークを向かえる可能性があるとの見解だ。」

T「それによりサムスン株が派手に下落したことを機に、日本や米国株にもその動きが波及した。」

M「随分と上昇してきた半導体関連株が多いだけに、中長期資金の手仕舞い売りのきっかけとなったんだろう。」

T「だろうな。構わず下値を叩くような売られ方が見られていただけに、やはり随分と安く買っている長期資金による手仕舞いの可能性が高い。」

M「その流れは、半導体株だけに限らず、米国ではネット関連などのハイテク株にも波及した。アップルやアマゾン、それにエヌビディアなど、今年大きく上昇した銘柄に手仕舞い売りが波及した。」

T「日本市場ではFA関連株にも売りが見られており、高値圏にある業績好調銘柄に手仕舞い売りが目立っていた印象だ。」

M「ただそれでも指数がしっかりしていたのは、代わりに買われた銘柄があると言うことだ。」

T「ああ。今週は金融に鉄鋼株などがえらい強く買われていた。米国でも金融株の上昇がダウを押し上げた面が強い。」

M「まあ米国では金融規制期待が税制改革案による減税期待から金融株には追い風になったからな。」

T「しかも米長期金利上昇も追い風になっている。」

M「税制改革案による法人減税で銀行は恩恵を受けやすいとの見方があるようだ。エネルギー企業も恩恵を大きく受けるようであり、今週はエネルギー株も買われていた。」

T「まあエネルギー株はOPEC総会で協調減産延長が決まったと言うことあるが・・。」

M「確かにそれもある。」

T「逆にハイテク企業には法人減税引き下げの恩恵は乏しいとの見方だ。今週はそれが、改めて意識されたようであり、ハイテク株売り、金融株買いに繋がったのかも知れない。」

M「そうだな。ネット関連などハイテク企業にはタックスヘイブンで税制対策している企業が多く、実効税率は実際かなり低いとの見方だ。」

T「ああ。今回の税制改革で法人減税を取りあえず20%に引き下げられることになるが、既にハイテク企業の実効税率は20%以下となっているとの見方もある。」

M「それだけに、20%まで法人減税が引き下げられても、恩恵は無いとの見方だ。」

T「ただ米国全体で考えれば、やはり税制改革は追い風だろう。」

M「まあ法人減税引き下げによる恩恵は、企業ごとに差があるとしても全体的にはプラスと言えるし、個人の所得税引き下げもあるしな。」

T「ああ。」

M「ただ、問題は財政だろう。それにより米財政が悪化してしまえば米経済に悪影響に繋がる恐れがある。」

T「減税による景気拡大で、財政悪化を穴埋めできるとの見方もあるが・・。」

M「もちろんそうだが、穴埋めできるかは不透明であり、着実に赤字拡大していくとの試算もある。」

T「それだけに減税による歳入減を穴埋めする代替財源が議論されているわけだな。」

M「当初はオバマケア廃止により浮いた財源を使う予定が、オバマケア代替法案は頓挫している状況だしな。」

T「しかもメキシコに壁作るんだろ。大規模なインフラ投資も予定している。」

M「それだけに、この税制改革、すんなり決まらないんだろうな。」

T「結局、昨晩の米国市場終わるまで採決はされていない。現状でもまだ上院本会議での採決行われていないようだ。」

M「来週にずれ込む恐れもあるかもな。ずれ込んでも無事可決されれば良いが、例え可決されても、それで決定でもないからな。」

T「今度は下院案との一本化という作業が待っている。本当に今年中に決められるのかは、依然として不透明だ。」

M「しかも昨晩の米国では、トランプ大統領ロシア疑惑が再燃している。」

T「ああ。フリン前大統領補佐官がロシア高官との接触について虚偽供述を認め、トランプ氏が大統領就任前にロシア側との接触を直接指示したと証言する可能性があると報じられた。」

M「それによりダウは一時350ドル安に急落するなど波乱となる場面もあった。」

T「結局、税制改革期待から下げ渋って、ダウは40ドル程度の下落で引けているが、このロシア問題、引きずるようだと税制改革を打ち消す恐れも否めない。」

M「そうだな。来週は、税制改革やロシア問題で良くも悪くも大きく相場は荒れそうだ。」

T「一体どうなっていくのか、しっかりと見極めたい。」