米国の戦略専門家、韓国を「無責任国家」と酷評
米国の戦略専門家、韓国を「無責任国家」と酷評
軍事手段に訴えてでも阻止すべき「異常な国」北朝鮮の核武装
厳しい経済制裁か、先制攻撃が必要
激しい韓国非難の言葉を述べたのは、米国の歴代政権の国防長官顧問などを務め、現在はワシントンの大手研究機関「戦略国際問題研究所」(CSIS)の上級研究員として活動するエドワード・ルトワック氏である。ルトワック氏は共和党保守系の国際安全保障・軍事戦略の専門家で、アジア情勢にも詳しい。トランプ政権に近いことでも知られる。
私は昨年(2017年)12月中旬、ルトワック氏にインタビューし、主に北朝鮮情勢についての見解を尋ねた。
同氏はまず北朝鮮がここ数カ月、長くても1年ほどの間に米国本土に届く大陸間弾道ミサイル(ICBM)に核弾頭を装着して、実際に発射する能力を確保する見通しを強調した。そして、その前にこれまでとは異なる厳しい経済制裁、あるいは予防先制攻撃により、北朝鮮の本格的な核武装を防がなければならないことを提唱した。トランプ政権には、これまでよりも強い対応策をとることを期待するという。
この「韓国の無責任」という点についてのルトワック氏との一問一答を以下に紹介する。米国のトランプ政権の周辺が韓国の文在寅政権をどうみるかは、日本の対韓政策を考えるうえでもきわめて重要な指針となるはずだ。
韓国はあまりにも無責任
韓国の5000万人という人口は北朝鮮の2倍以上です。GDP(国内総生産)も北朝鮮の推定GDPの47倍です。軍事的にも韓国は北朝鮮の核兵器施設の破壊をも含めて圧倒する能力を有しています。それにもかかわらず、韓国は北の核武装を阻止するための真剣な行動をなにもとろうとしていない。むしろそれを許容するような態度をとっています。この点は国家の無責任さと呼ぶほかありません。
ルトワック はい、韓国軍は北朝鮮に予防的な先制攻撃をかけて、北の核兵器や核施設を破壊する能力を確実に保持しています。だが、その決定を下さないし、真剣にその実行を検討することもしません。これは無責任です。
繰り返しますが、北朝鮮の核問題への対処は韓国に第一の責任があるのです。米国よりもまず韓国にとっての死活的な問題なのです。
核武装は軍事手段に訴えてでも阻止すべき
朝鮮民主主義人民共和国というのは、異常な国、無法の国です。日本国民の拉致事件がその一例です。政府が工作員を日本国内に潜入させ、罪のない日本人男女を冷酷に拉致して、そのまま長い年月の間むごたらしく拘束するという非人道的な行為を他のどの国家がするでしょうか。
核兵器についても、金正恩委員長は核を使用するという脅しを平然と語ります。国際社会の要請に逆らって核兵器を開発した国は北朝鮮だけではありません。しかし、たとえばインド、パキスタン、さらにはイスラエルなど、あるいは好戦的な対外姿勢をとる中国でさえも、国家首脳が核兵器の威力を外部に向けて宣伝して、威嚇の手段にするようなことはしていません。北朝鮮は異常なのです。異様な危険国家、犯罪国家ともいえる。だからその核武装は軍事手段に訴えてでも阻止すべきなのです。
――特定の国の核兵器の開発を、他国が軍事力を使ってでも予防先制的に阻止するという実例は、中東などではすでにありましたね。
――韓国が無責任な国家だとすれば、その原因はなんなのでしょうか。
ルトワック 国内の結束がないことでしょう。軍事でも経済でも韓国は強い力を持っています。だがその力を使って、目前に迫った北朝鮮の核武装という重大危機を除去しようという国家的な意思がまとまらないのです。それは韓国内で、自国の基本的なあり方をめぐって意見の分裂があり、国としての結束が決定的に欠けるからです。
「宥和」が悲劇を招く?
以上のルトワック氏の見解には強硬な部分も多い。だが韓国の文在寅政権に対しては、トランプ大統領自身も「appeasement」(宥和)という言葉を使い、軟弱すぎると非難したこともあった。「宥和」とは、第2次世界大戦前にイギリスのチェンバレン首相がドイツのヒトラーに対して必要以上の譲歩をしたときによく使われる表現である。その際のイギリスの過剰な譲歩がナチス・ドイツを増長させ、侵略へと駆り立てたとされている。
そんな歴史の先例を現在の韓国に当てはめるのは酷にすぎるかもしれない。だが、ルトワック氏の語る「国家としての結束の欠落」というのは、韓国が日本に対してみせる態度の特徴であるようにもみえるのである。