ロシア女性は、40歳すぎると反日になる???
ロシア女性は40歳すぎると「反日」になる? 世界が笑う働き方改革
以前掲載の「ロシアは隠れ『親日』国家。モスクワ在住26年の邦人が語る驚きの事実」で、実はロシア人には親日家が非常に多いという事実を明かした無料メルマガ『ロシア政治経済ジャーナル』の著者でモスクワ在住の北野幸伯さん。今回は「なぜ、ロシア人女性は40歳をすぎると反日になるのか?」というちょっと気になる話題について、「働き方改革」や世界のGDPなどを紹介しながらわかりやすく解説してくださっています。
ロシア女性は、40歳すぎると反日になる???
私は、「日本は世界一素晴らしい国だ」と確信しています。自分自身でもそう思いますし、いろいろな外国人からもそう言われます。しかし、「100%全部素晴らしい」とは言えません。一つのネガティブ要素をあげるとすれば、「労働環境が悪い」ことでしょう。要するに「長時間労働すぎる」ということです。このことは、日本社会全体に大きなマイナスになっていると思います。たとえば、
- 若者は、彼氏彼女を見つける時間がない
- 彼氏彼女がいても、デートする時間がなかなかない
- それで、なかなか結婚に至らない
- 結婚しても、子づくりしている時間がない
- 子供が生まれたら、ダンナが子育てに関われない
- それで、奥さんのストレスがたまり、家庭が不和になる
- 両親共働きの場合、小さい子供がほったらかしにされる
- 寝不足で、電車の中で寝ている人が異常に多い
- そもそも健康に悪い
どんなロシア女性が、40歳すぎると反日に???
私の親友の〇さんは、いってみれば「モスクワの主」です。コンサル業を営み、日本企業とロシア企業を結びつけ、両国の友好と発展に大いに貢献しています。ロシア人、特に「日本語を話すロシア人」と仕事でつきあうことが多い。そんな〇さんが、ある時言いました。
「北野さん、ロシアの女性は、40過ぎると反日になりますよ」
これ、誤解のないように書いておきます。すべてのロシア人女性が、40過ぎると反日になるわけではありません。日本人と全然つきあいのないロシア女性は、40になっても60になっても、たいてい親日です。というか、ロシア人は概して親日です。〇さんが言っているのは、
「日本企業で働いているロシア人女性」
「日本企業と仕事をしているロシア人通訳女性」
「日本企業と仕事をしているロシア人通訳女性」
などが、40過ぎると反日になることが多いと。
もちろん客観的な証拠があるわけではありません。しかし、〇さんは、15年間日ロ企業の間に立って仕事をしている。だから、「かなり信憑性がある」と言えるでしょう。
労働環境のひどさが反日の原因?
私は、反日ではないけれども、「日本人、日本企業とは働きたくない」という、女性の話を思い出しました。彼女は、日本語-ロシア語の通訳で、日本の芸能人がモスクワに来たときに通訳をするほど優秀な人でした。
20代だった彼女は、日本のマスコミとよく仕事をしていた。「1日なんぼ」という契約。そして、何時になっても家に帰してくれない。ある時など、夜の12時に、「じゃ、これからミーティング始めます!」と言われ、卒倒したといいます。それでも、20代で若かったので、笑い話で済んでいた。
彼女は、「多くの日本企業には、『労働時間』という概念は、存在していないようだった」と言います(あくまで日本からきた出張者を通訳した女性の体験談です。ロシアに事務所がある会社、現地法人をたちあげた日本企業の労働環境は、もっと緩いでしょう)。これ、若い頃は、問題ないし、それで反日になることもないでしょう。むしろ、「日本人は、死ぬほど働く」と尊敬もされます。「ロシア人も見倣わなきゃ」とも言っていました。
しかし、30代になって結婚し、子供が生まれたら、しばしば日本企業との仕事は苦痛に変わります。嫁、お母さんが、全然家に戻ってこない。夫は嫁の浮気を疑い、子供達はお母さんが家にいないので不幸でしょう。
〇さんは、「日本企業と関わりのあるロシア人女性が40過ぎると反日になる」件について、「理由は、よくわかりませんが」と言ってました。しかし、私がいろいろなロシア人女性から聞いた体験談によると、まさに「日本の労働環境を、そのまま外国にもっていくこと」が「40代反日」の理由なのかなと思いました。
長く働いても豊かになれない
日本人は、本当に勤勉です。これは、文句なしの美徳でしょう。そして、80年代までは、「働けば働くほど豊かになる」という現実も確かにありました。しかし、バブル崩壊後の28年間、「長く働いても、豊かになれない」時代になっています。
一つ証拠をあげておきましょう。日本の一人当たりGDPは、かつて世界2位でした。しかし2016年、世界22位まで下がっています。一方、年間労働時間は、1,746時間。長い方から15位。
他の国を見てみましょう。OECD2012年のデータによると、世界で9番目に労働時間が短い国は、スウェーデンです(年間平均1,621時間)。そのスウェーデンは、一人当たりGDP世界12位です(2016年)。世界で8番目に労働時間が短い国は、ルクセンブルグです(年間平均1,609時間)。ルクセンブルグ、一人当たりGDPは、世界1位(!)です。世界で7番目に労働時間が短い国は、ベルギーです(年間平均1,574時間)。ベルギー、一人当たりGDPは、世界20位です。世界で6番目に労働時間が短い国は、アイルランド(年間平均1,529時間)。アイルランド、一人当たりGDPは、世界5位です。世界で5番目に労働時間が短い国は、デンマーク(年間平均労働時間1,526時間)。デンマーク、一人当たりGDPは、世界9位です。世界で4番目に労働時間が短い国は、フランスです(年間平均労働時間1,479時間)。フランス、一人当たりGDPは、世界24位です(初めて日本より下が出ました)。世界で3番目に労働時間が短い国は、ノルウェーです(年間平均労働時間は1,420時間)。ノルウェー、一人当たりGDPは、世界3位(!)。世界で2番目に労働時間が短い国は、ドイツ(年間平均1,397時間)。ドイツ、一人当たりGDPは、世界19位です。世界で1番労働時間が短い国は、オランダです(年間平均1,381時間)オランダ、一人当たりGDPは、世界14位です。
こう見ると、「日本より、かなり労働時間が短く、日本より、一人あたりGDPがかなり上」の国が、たくさんあることがわかります。