爆音の中ふわり上昇、翼変形 オスプレイ搭乗ルポ 米海兵隊、安全性強調「ベストな機体」

爆音の中ふわり上昇、翼変形 オスプレイ搭乗ルポ
海兵隊、安全性強調「ベストな機体」


 滑走路に機体がスタンバイしたかと思うと、何の前触れもなくふわっと体が浮いた感覚を抱いた。後方の空いたハッチからの風景で、上昇したことに気付いた。機内は隣と話すこともできないほどのすさまじい爆音。「パタパタ」「キーン」。プロペラの回転音と機械音が混じり合うなか、輸送機オスプレイは急激に上昇、記者らを乗せた飛行が始まった。
在沖縄米軍のオスプレイ 記者が搭乗
 在沖縄米海兵隊は7日、米軍普天間基地沖縄県宜野湾市)に配備する輸送機オスプレイを報道陣に公開した。体験搭乗の様子を日経新聞の担当記者がリポートする。
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搭載する人員や物資は後部ハッチから出入りする(7日、沖縄県伊江村)
搭載する人員や物資は後部ハッチから出入りする(7日、沖縄県伊江村
 7日、在沖縄の米海兵隊普天間基地沖縄県宜野湾市)で実施した報道機関向けのオスプレイ体験搭乗。米軍の運用状況を直接取材できる機会は少なく、約20人の報道関係者が参加した。
 搭乗前、米軍は約1時間にわたってオスプレイの性能を紹介した。スライドを駆使して「海兵隊にとってベストな機体だ」と強調。普天間基地から朝鮮半島シンガポールへの展開を想定した地図も出てきた。
 説明後、酸素ボンベがついた救命胴衣とヘッドホン付きヘルメットが配られた。指示は「海に落ちたらボンベを口に入れ、通常のように息をしろ」。参加者は免責同意書にもサインした。
 ルートは県北部の伊江島との片道15分の往復だ。2機に分かれて搭乗する。プロペラを回転させて待機している機体に向かうと、突風で吹き飛ばされそうになる。配線がむき出しの機内に入り、向かい合って座る。25人が搭乗可能だという。機内の汗臭さは強烈だ。
オスプレイの性能や安全性を訴える米海兵隊(7日)
オスプレイの性能や安全性を訴える米海兵隊(7日)
 民間旅客機なら「間もなく離陸します」とアナウンスが入るところだが、離陸時に特に合図はない。爆音のなか、回転翼を上に向けた「垂直離着陸モード」で通常のヘリコプターのように上昇を始めた。しばらくすると「ガチャ」という機械音が聞こえ、回転翼を斜めにした「転換モード」に。さらに上昇すると「固定翼モード」に切り替わり、通常の飛行機のような水平飛行に移った。
 この3つのモードを使いわけるのがオスプレイの特徴だ。長い滑走路がなくても離着陸でき、固定翼機並みの速度も出せる。鉄の塊のような機体を変形させる作業の割にはスムーズに感じた。
 離陸後、いったん太平洋側に出ると、眼下に青い海が広がった。その後、沖縄本島を横切るように名護市上空を西進、伊江島に向かった。いつも訓練で使うルートだという。旋回時などは多少揺れた。
 伊江島の海岸沿いに着陸する。草むらに簡単に整備されただけの場所だ。「サッカー場の広さであれば、どこでも着陸できる」との搭乗前の説明を思い出す。再び離陸して同じルートをたどり、普天間に戻った。
 オスプレイは従前運用していたCH46ヘリに比べ速度が2倍。搭載量も3倍、行動半径は4倍と、性能が飛躍的に伸びた。今回のルートならCH46では片道40分程度かかっていたという。敵地への上陸、侵攻を基本任務とする海兵隊にとって移動の迅速性は不可欠だ。
 一連の日程で目立ったのが、オスプレイの安全性を強調する姿勢だ。「安全のため機体の点検には真剣に取り組んでいる」「2つのうち1つのエンジンが止まっても問題ない」。パイロットらはこう強調。2016年12月に名護市沖の沿岸部で不時着・大破した事故をはじめ、相次ぐ事故やトラブルで高まっている県民の懸念を払拭したい狙いがうかがえる。
 住民感情への配慮を欠く行動で批判も浴びる海兵隊だが、今回は事前に参加者にアンケートを配布。「海兵隊の航空機をどの程度信頼するか」「読者や視聴者は航空機のどの点の説明をより必要としているか」などと11項目を質問した。回答をもとにプログラムを練ったとみられる。
飛行中のオスプレイの機内(7日)
飛行中のオスプレイの機内(7日)
 離陸直後、金具の不備から記者の席が突然崩れ、冷や汗をかく場面もあったが、今回の搭乗で見る限りでは飛行はおおむね安定していた。
 ただオスプレイは、空中でエンジン停止した際、気流でプロペラの回転を維持し軟着陸する「オートローテーション」という機能に問題があると指摘されている。名護市沖の大破事故は、空中給油の訓練中の接触が原因だった。
 これらの課題が払拭できているのかは、今回の公開では明確には分からなかった。米軍予算の削減のしわ寄せが現場にいっているのでは、との質問にも、海兵隊側は「問題はない」と否定した。