自由な討論 優しく制す 「そこまで言って委員会NP」副議長 渡辺真理

自由な討論 優しく制す 「そこまで言って委員会NP」副議長 渡辺真理

 「こんなに面白い現場に参加させていただけるなんて」と熱く語る。読売テレビの人気番組「そこまで言って委員会NP」(日曜午後1時30分)のことだ。

 社会問題から政治経済、芸能、スポーツまであらゆるジャンルをテーマに、出演者が討論する番組で、ニュースキャスターの辛坊治郎が「議長」という肩書で番組を仕切る。自身は「副議長」として議長をサポートする。
 前身の「たかじんのそこまで言って委員会」時代は、やしきたかじんが「委員長」、辛坊は「副委員長」だった。平成27年4月より「NP」としてスタート。今月でちょうど丸3年となる。自分へのオファーに、「なぜ? 私でいいのでしょうか? と思いました」。
 「ニュースステーション」(テレビ朝日系)や「筑紫哲也 NEWS23」(TBS系)の出演経験を持つ。番組プロデューサーは「久米宏さんや筑紫哲也さんと組み、ニュース経験が豊富な渡辺さんに、トークのバランスを取り、パネリストの意見をチェックする『委員会の風紀委員長』的な役割を期待した」という。
 初めての収録は「口から心臓が飛び出すほど」緊張したが、同時に「なんて刺激的な!」と興奮もした。「そうそうたるパネリストの方々が毎回、ここまで侃々諤々(かんかんがくがく)、喧々囂々(けんけんごうごう)という番組は他にないのでは」と感嘆する。

 「みなさん、知識や弁論はもちろん、臨機応変に対応される能力が高いから、ほぼ生放送のような収録になります」。これほど予定調和がない番組はなかなかないという。
 本番前の打ち合わせは、30分もない。「半分以上は冗談を言ってますから、打ち合わせといえるかどうか…」と笑う。「パネリストとゲストの方々、辛坊議長。面白い化学反応が起こらないわけがない。私は、なるほどなぁ、面白いなぁと、その景色を楽しんでいます」
 討論が白熱したり、議長が火に油を注いだり、議題から脱線したり…。そんな時も「“消火”する必要もないし、軌道修正もよほどの場合だけ」。
 起用は制作サイドの期待通りに。番組の売りである「そこまで言うか」といった自由な発言の応酬が展開する中、優しい目線での発言、ゲストへの心配り、時に過激な発言を訂正したり優しくいさめるなど、番組の「良心」として多彩な役割を果たす。
 自身の性格は「おおざっぱ」で、ストレスを感じることもあまりないそうだ。「そこが周りにストレスを及ぼしているといわれます」と笑う。
 収録時の楽しみの一つはスタッフが差し入れてくれる熱々のたこ焼き。「その心遣いがうれしい」と感謝する。「出演者、スタッフ、視聴者の方々、みんなで作り上げているんだと毎回実感しています」


わたなべ・まり 昭和42年6月27日、神奈川県出身。平成2年、TBS入社。「筑紫哲也 NEWS23」第2部のキャスターなどを務め、10年、TBSを退社しフリーアナウンサーに転向した。「ニュースステーション」(テレビ朝日系)の2代目サブキャスターや、ビートたけし司会の「最終警告!たけしの本当は怖い家庭の医学」(ABC系)のアシスタントなどを務めた。