対北制裁破り:米国の制裁指定に戦々恐々の韓国企業

対北制裁破り:米国の制裁指定に戦々恐々の韓国企業

 北朝鮮産石炭を輸入したとされる韓国企業が戦々恐々としている。米国政府による独自制裁に違反した疑いで調査が行われる可能性が高まっているためだ。米国が最終的にいかなる判断を下すかとは別に、制裁に違反した容疑が浮上しただけでもその企業は国際社会における信頼が一気に低下する。対北朝鮮制裁に詳しいある外交筋は5日「通常知られている以上に米国は石炭問題を深刻に受け止めている」とコメントした。
 まず足下に火が付いたのは韓国電力だ。韓国電力の子会社・南東(ナムドン)発電は昨年11月と今年3月、ロシア産を偽った北朝鮮産の石炭9700トンを輸入したとして関税庁から捜査を受けた。韓国電力が先日、この問題についてひそかに外部機関を通じて今後の見通しについて調べたところ、米国の制裁システム上、南東発電株を100%保有する韓国電力も米国の調査対象になる可能性が高いことが分かった。
 韓国最大の公企業である韓国電力の容疑が浮上すれば、国としての信頼や経済全般に及ぼす影響も非常に大きい。そのため上記の外部機関は韓国電力に対し「事前に徹底した備えが必要」とアドバイスし、韓国電力の関係者も「米国政府による制裁の種類やその影響について調べている」と伝えた。韓電と南東発電はロシア政府が発行した原産地証明書などを根拠に「ロシア産と確信して石炭を輸入した」と主張しているようだ。
 南東発電と共に北朝鮮産石炭の輸入に関与した別の韓国企業と2行の銀行も米国の動きに神経をとがらせているという。
 疑惑のレベルを超え実際に制裁違反と判断され、米国のブラックリストに記載された場合、今後海外での取引が制限される可能性が高まる。最悪の場合、米国政府が第三国の企業に対してドル建ての取引を禁じる「セカンダリーボイコット」の適用も考えられ、そうなれば国際金融取引から完全に排除される。
 つい先日も中国の通信設備メーカー・中興通訊(ZTE)が北朝鮮やイランとの取引を理由に米国から制裁を受け、企業は存立の危機に追い込まれた。上記の外交筋は「最近になって韓国政府の関係者が相次いでワシントンに向かったのは、この問題が拡散しないよう事前に対応するためと聞いている」と伝えた。
イム・ミンヒョク記者 , 崔賢默(チェ・ヒョンムク)記者