独自の回収カプセルで実験成果拡大狙う こうのとり打ち上げ成功

独自の回収カプセルで実験成果拡大狙う こうのとり打ち上げ成功


 こうのとりに搭載された回収用の小型カプセルは、宇宙実験の試料を迅速に持ち帰ることで、日本実験棟「きぼう」の成果を拡大させる狙いがある。
 回収した試料は海外経由で日本に運んでいたため時間がかかり、鮮度の維持に課題があった。カプセルに収納できるのは約20キロで、米国の宇宙船の約1・5トンと比べごくわずかだが、日本はようやく独自の回収手段を得ることになる。
 今回のカプセルはタンパク質の結晶などを収納し、こうのとりの外側に取り付けてISSを離脱。帰還時の高熱に耐え、パラシュートを開いて南鳥島の周辺海域に着水し船で回収する。収納から最短4日で研究者に試料を届ける計画だ。
 カプセルは将来、月や火星の岩石を持ち帰る際や、有人宇宙船を開発するための基礎技術にもつながるという。
 JAXAは過去に帰還型こうのとりの開発を検討したが、費用がかさむ上、構造変更により往路の輸送能力が減少することなどを理由に実現しなかった。ISSの運用が6年後にも打ち切られる可能性がある中、帰還型のミニチュア版ともいえるカプセルは、実験成果を少しでも拡大させるための苦肉の策といえそうだ。