ダボス会議、中国経済の悲観論が「的外れ」な訳

ダボス会議中国経済の悲観論が「的外れ」な訳


ダボス 25日 ロイター BREAKINGVIEWS] - 今年の世界経済フォーラム年次総会(ダボス会議)では、昨年の手放しの楽観ムードとは打って変わって、経済の先行きを悲観する発言が相次いでいる。
特に、予想以上に深刻な中国の景気減速を懸念する参加者は多いが、これは少々的外れだ。現在のところ、中国経済の減速ペースは妥当なものであり、当局には政策の発動余地も残されている。
昨年のダボス会議は、近年でもまれに見る陽気なムードに包まれていた。超金融緩和政策を背景に世界経済が同時に成長し、マーケットも好調、資金も潤沢だった。
今年は一転してムードが悪化。自説を主張できたはずの多くの首脳が参加を見送り、出席者の間では、主に中国経済への懸念が広がっている。
ムードを決定づけたのは、国際通貨基金IMF)だ。IMFは世界経済の成長予測を下方修正。財政出動、大型インフラ投資、流動性供給といった中国の景気対策が不十分なのではないかと警鐘を鳴らした。
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貿易戦争も、ダボス会議に暗い影を落としている。著名投資家のジョーシ・ソロス氏は、中国経済が「幅広い分野で下降」していると指摘。冷戦が「熱い」戦争になる恐れがあるとの見方を示した。
確かに不安には根拠がある。中国の昨年第4・四半期の経済成長率は、通年の水準を下回る6.4%に鈍化した。貿易摩擦の弊害も出始めており、消費も低迷傾向にある。
ただ、心強い材料も少なくない。中国で建設がストップすれば真っ先に影響を受ける銅は、生産者からおう盛な需要が報告されている。現物の在庫も記録的な低水準にあり、高品位の鉄鋼原料も引き合いが強い。
中国の電子商取引大手、京東商城(JDドットコム)(JD.O)と提携するユニリーバ(UNc.AS)(ULVR.L)は、中国が最も頼りになる成長源の1つだと指摘。企業経営者や政治家の大半は、貿易戦争がいずれは解決するとの見方で一致している。

ダボス会議に出席した中国の王岐山国家副主席は、2020年までには「まずまずの繁栄」を実現できると表明した。少なくとも、いくらか心強い発言ではある。中国はすでに減税を実施し、銀行の預金準備率も引き下げている。また、デレバレッジ(負債圧縮)に向けた対策もまだ続けており、景気刺激のための政策を出し尽したわけでもない。

できることはまだ残されている。
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