朝鮮戦争での「あること」が原因 韓国軍が在韓米軍の指揮下にある理由

朝鮮戦争での「あること」が原因 韓国軍が在韓米軍の指揮下にある理由 

朝鮮戦争で英軍が使用したセンチュリオン戦車。北朝鮮のT-34などの戦車に対し互角以上の性能を誇った(2011年11月、英ボービントン、岡田敏彦撮影) 朝鮮戦争で英軍が使用したセンチュリオン戦車。北朝鮮のT-34などの戦車に対し互角以上の性能を誇った(2011年11月、英ボービントン、岡田敏彦撮影)
 自衛隊の艦艇に火器管制レーダーを照射した不可解さに注目の集まる韓国軍。実は一国の軍隊でありながら、有事には米軍の指揮下に組み込まれることになっている。「戦時作戦統制権」を在韓米軍が持っているためだ。(秘蔵の写真も多数、クリックし閲覧
 1950年6月に始まった朝鮮戦争で、北朝鮮軍の多数のT-34/85戦車(ソ連製)の奇襲を受けた韓国軍は崩壊寸前となった。李承晩(イ・スンマン)大統領(当時)は軍の敗走を止められず、開戦から20日後の7月15日には米軍に指揮権を委譲する書簡を出した。

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 当初、移譲は緊急措置的なもので、米軍の仁川上陸作戦(9月)による反攻もあり、実質的に韓国陸軍の軍団や師団の指揮権は韓国軍にあった。ところが翌51年の5月、現在の韓国北東部での「懸里の戦い」と呼ばれる戦闘で、韓国第3軍団が中国第12軍などに後背地の退路を断たれ、軍団長は飛行機で戦場を離脱。残された上級指揮官も一般の兵士らも敵を前にして逃げ出した。
 戦線に穴を空け、米国供与の砲やトラックなどの重装備を捨ててきたことも問題となり、国連軍(米軍)は韓国陸軍本部の作戦権を剥奪。他の部隊も米軍の指揮下に組み込まれた。

 戦時作戦統制権について韓国では2006年、盧武鉉ノ・ムヒョン)大統領時代に、2009年に返還することで合意したが、その後の李明博(イ・ミョンバク)、朴槿恵(パク・クネ)の保守派の大統領が延期したが、現在の文在寅ムン・ジェイン)大統領は返還を選挙公約に掲げて当選。今年から返還に向けて米韓で返還に向けての検証作業を進めている。