ボーイング「737MAX」、知っておくべき6項目

ボーイング「737MAX」、知っておくべき6項目

ボーイングの最新鋭小型旅客機「737MAX」について知っておくべき点をまとめた
ボーイングの最新鋭小型旅客機「737MAX」について知っておくべき点をまとめた Photo: Zuma Press
――筆者のスコット・マッカートニーはWSJミドルシート担当コラムニスト
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 ボーイングの最新鋭小型旅客機「737MAX(マックス)」は、燃費が良いうえに航続距離が長い(多くの旅客にとって残念なのは座席が詰まっていることだ)。2017年5月に旅客便として初就航して以来、これまでに2機が墜落して乗員乗客が全員死亡している。
 2回の墜落(18年10月のライオンエア610便と10日のエチオピア航空302便)は気味が悪いほど状況が似ている。いずれも離陸直後に急降下した。
 エチオピア航空機の墜落に関する調査は始まったばかりであり、ライオンエアのケースで疑われているのと同じシステムが絡んでいるのかどうかはまだ不明だ。米航空会社は状況を注視しているとしており、737MAXに寄せる全幅の信頼は変わっていないと話している。
 だが一部の旅行者は違うかもしれない。中国、エチオピアインドネシアが当面の飛行停止を命じた後は特にそうだ。同型機への搭乗が不安な読者に役立つ情報を集めた。
疑われている問題は具体的に何か
 ライオンエア機墜落に関する予備的調査の報告書では、ボーイングが737MAXに投入した新システムが疑われている。この「MCAS」は、パイロットが手動で操縦している時に機体が上昇しすぎると、センサーが作動して自動的に機首を押し下げるシステムだ。
 同機はこれまでの「737」シリーズに比べてエンジンが大きく、位置も少し異なる。その結果、機首が上を向く傾向がある(自動操縦機能の使用時にはない要素だ)。MCASは操縦中のパイロットの注意がそれた時に機体が制御不能になるのを防ぐため、機首が高すぎだとセンサーが判断すると自動的に機首を下げる。
 ライオンエア機墜落の調査では、センサーの不具合で誤って機首が下げられたことが原因だと疑われている。
 この墜落後、米連邦航空局(FAA)とボーイングは各航空会社にMCASについての追加情報を送った。航空会社側はその情報をパイロットに伝えたとしている。
737MAXはどの航空会社で何機飛んでいるのか
 サウスウエスト航空アメリカン航空ユナイテッド航空を含む世界30社超が運航する737MAXは計350機。サウスウエストが一番多く、「737MAX8」は34機だ(737シリーズ全体では約750機)。
 アメリカンは737MAX8を24機保有。いずれもマイアミを発着している。ニューヨークのラガーディア空港とマイアミを結ぶ路線はMAXが頻繁に行き来している。1日12便のうち、8便は737MAXだ。ユナイテッドは、やや機体が長く座席が多い「737MAX9」を14機運航している。ヒューストン、ロサンゼルス、ハワイ、フロリダ州オーランドの発着便が多い。 
搭乗便の機種はどうすれば分かるか
 簡単にはいかない。航空会社はしょっちゅう機体を交換しているからだ。サウスウエスト、アメリカン、ユナイテッドのウェブサイトでは、フライトを検索すると機種が表示される。サウスウエストでは、便名をクリックしなくてはならない。アメリカンは提供している各便の機種を表示する。ユナイテッドでは「details(詳細)」をクリックする。
 航空会社以外のウェブサイトは状況がばらばらだ。例えばエクスペディアでは、737MAXはまだ表示されない。
 とことん調べたければ、「FlightAware」「FlightStats」「FlightView」「Flightradar24」といったサイトがある。
737MAXに乗るのが分かったらどうすべきか
 まだ予約段階なら、スケジュール変更による混乱を避けるため737MAXを使わない便を選ぶべきだろう。エチオピア航空機墜落の原因がMCASの誤作動だと判明すれば、ソフトウェア修正の計画・試験・実施まで世界中で同型機の運航が停止しかねない。選択の余地があるなら、欠航の確率が高い便は選ばないことだ。
 既に737MAXの便を予約しているなら、気持ちの問題だ。米国などの航空会社はMCAS誤作動に備えた訓練を実施しており、米航空会社は同型機の不具合を経験していないと話している。
 パイロットも客室乗務員も、737MAXが安全でないと思えば乗務しないはずだ。だが同型機に乗るのがストレスなら、別便への振り替えを航空会社に頼むのが良いだろう。春の休暇シーズンはそれも難しいかもしれないが。
 とはいえ、事故が起きた後は航空会社も振り替え手数料は取らないことが多い。通常は認めないケースでも、不安な旅客の予約変更には協力するだろう。予約済みの737MAXのフライトを変更したいなら、手数料を免除するよう訴えることだ。
ボーイングは何と言っているか
 ほとんど何も言っていない。10日に発表した短い文書では、墜落について悲しんでおり、「エチオピア事故調査局と米国家運輸安全委員会(NTSB)の指示の下で技術的支援を提供するため」墜落現場にチームを派遣したと述べている。
考えられる解決策は何か
 ボーイングはソフトウエアの修正で安全当局と協力している。修正は1月に発表予定だったが、ウォール・ストリート・ジャーナル(WSJ)は2月、変更の度合いを巡って意見が分かれているため少なくとも4月まで延期されたと伝えた。FAAは11日、ボーイングによる修正は4月末までに発表されると述べた。修正によって機首が下を向くのは制限されるという。エチオピア航空機の墜落により、ソフトウェア修正の計画は複雑になる可能性がある。