韓国も被害に。北朝鮮「白頭山」に噴火の兆候、日本にも影響か

韓国も被害に。北朝鮮白頭山」に噴火の兆候、日本にも影響か

2019.04.24

kp20190423

北朝鮮と中国の国境付近に存在する「白頭山」のマグマ層に近年「爆発の兆候」が現れ話題となっています。仮に爆発した場合、周辺諸国に被害が及ぶそうです。これを受け、今回の無料メルマガ『キムチパワー』では韓国在住歴30年の日本人著者が、過去の歴史書や、昨今の白頭山周辺環境に関する研究報告をまとめ紹介するとともに、爆発予測で重要視される公式観測が実施されていないことを不安視しています。

白頭山で爆発の兆候

今回は白頭山爆発に関する内容だ。
白頭山946年に爆発したとされるが、それは「紀元後地球上で最も強力な爆発」として記録されている。韓国も気流の方向如何によっては全域に火山灰が落ちる可能性がある。
浦項工科大学のある教授(環境工学)は、「白頭山の天池の下のマグマ層はアクティブ状態になっているという点では専門家の間で意見の相違がない」とし、「946年の爆発の100分の1程度の爆発でも300万人の北朝鮮住民が直接被害を受けるだろう」と語る。
特に咸鏡北道全体と両江道のほとんど、それに咸鏡南道の一部地域が致命的な被害予想区域にはいる。さらに大きい問題としては、韓国も安全圏ではないという点。白頭山の天池(チョンジ)には20億トンを超える水が存在する。鍋に急に水を注げば水滴が四方に飛びちって爆発的に湯気が湧き上がるように、1,000度以上のマグマが天地にいっぱい溜まっている水と出会えば、最悪の結果が起こりうるということだ。水は瞬間的に気化して水蒸気に変わり、マグマは急冷してバラバラの溶岩の塊に変わる。とてつもない爆発現象が生じるというわけだ。
数値シミュレーションモデルの結果、最も大きな被害を蒙る地域は北朝鮮と日本の北部地域となりそうだ。気流によっては韓国も灰で覆われる可能性はいくらでもある。釜山大教授(地球科学教育)などの研究者が、過去10年間のデータをもとにシミュレーションを行った結果、ソウルの一部と、江原道、慶尚北道の北部地域にも被害が予想されるという。北風が強く吹くと、火山噴火後9時間ほどで韓国全域に灰が落ちることにもなると予想されている。
実際、『朝鮮王朝実録』という本には、1654年に白頭山が爆発したときには、京畿道の坡州(パジュ)というところで「黒い大気により目の前にいる牛や馬も見分けがつかないほどであった」という記録がある。『朝鮮王朝実録』という本は、1代の太祖・李成桂から25代の哲宗王にいたる472年間の歴史を編年体で記録した書物である。
ソウル大のまた別の教授(地球環境科学)は、火山灰に劣らず二酸化炭素も危険なレベルに達するだろうと強調する。この教授は
「火山ガスの最も主要な成分は二酸化炭素であり、1986年8月21日、カメルーンニオス湖が湖水爆発を起こし大規模な二酸化炭素の雲が発生。放出された二酸化炭素の量は10万~30万トンともいわれる。これが一瞬にして出たため、周辺300平方キロメートルに住む1,746人と3,500匹の家畜が大量死する出来事があった」
と語った。ちなみにニオス湖は周囲が6キロほどの火山湖。白頭山の天地は周囲14キロとケタがちがう。最深約400メートル。海のようなカルデラ湖である。
中国の学者たちの研究によると、2002~2006年白頭山は天地の火山ガスの中の二酸化炭素の濃度が99%にまで達し、マントル由来のヘリウム濃度が高い値を示していたということだ。
最近は二酸化炭素とヘリウムの指標は多少安定したレベルを保っているが、周囲の温泉の温度は着実に上がっており、あるところは80度にもなっていることが分かっている。地震の回数もここ最近急増傾向にある

このように、白頭山の尋常でない現象を示す資料は多いが最も重要な観測はほとんど行われていないのが実情。北朝鮮は機器が不足しており、韓国の研究者は北朝鮮訪問が難しい状況だ。
中国は1999年に長白山(=白頭山)火山観測を設立し、継続的に火山活動を監視中であるが韓国には資料を公開していない。北朝鮮の専門家の要求により、民間レベルでの国際共同研究のモメンタム(動き)があったが、南北関係などの影響を受け安定した研究は行われていない
2011年に結成された白頭山地球科学グループ(MPGG)に参加しているジェームズハモンド英国ロンドン大学教授は、「白頭山は非常に特異な火山である」とし、「火山爆発の危険を少しでも最小化するためには、早急な白頭山の研究が是が非でも必要だ」と強調する。