「スター・ウォーズ」ランド、ディズニーの覚醒

スター・ウォーズ」ランド、ディズニーの覚醒

米ディズニーランドの新アトラクション「スター・ウォーズ:ギャラクシーズ・エッジ」にはミレニアム・ファルコン号も停泊している
米ディズニーランドの新アトラクション「スター・ウォーズ:ギャラクシーズ・エッジ」にはミレニアム・ファルコン号も停泊している Photo: Patrick T. Fallon/Bloomberg News
 「はるかかなたの銀河系」がウォルト・ディズニーのテーマパークを次々と植民地にしている。
 米娯楽・メディア大手ウォルト・ディズニーは今年、夏休みシーズンに合わせてカリフォルニア州アナハイムのディズニーランドとフロリダ州オーランドのウォルト・ディズニー・ワールドに「スター・ウォーズ」のテーマランドをオープンする。それぞれ14エーカー(約5万6700平方メートル)の広大な敷地にライドアトラクションやレストランが設置され、いずれのパークでも単独テーマとしては過去最大のエリア拡張となる。
ディズニーの売上高に占めるテーマパーク事業収入の推移Sources: Themed Entertainment Association(attendance); S&P Capital IQ (revenue)
(単位:10億ドル)テーマパークその他
2010 ’12 ’14 ’16 ’18 0 10 20 30 40 50 $60
 両パークに10億ドル(約1100億円)ずつ投じたこの新アトラクションは、ディズニーがルーカスフィルムを買収した際、最初に話し合われた野心的なアイデアが結実したものだ。スカイウォーカー・サーガの最終章が今年12月に公開されて新三部作が完結した後も、シリーズの集客力はまだまだ続くだろうといった思惑もある。
 ディズニーのロバート・アイガー会長兼最高経営責任者(CEO)は、ルーカスフィルムを買収して間もなくテーマパーク事業部のチームを集め、「これまでなかったほど野心的になれ」とハッパを掛けた。
 ディズニーは結局、スター・ウォーズにこれまで投じた以上の資金をつぎ込むこととなった。ディズニーランドでは必要なスペースを確保するため鉄道や川も他に移した。
 新アトラクション「スター・ウォーズ:ギャラクシーズ・エッジ」は銀河の辺境にある惑星「バトゥー」を舞台とし、あらゆるものが盛り込まれている。ハン・ソロ船長が操縦した「銀河系最速のガラクタ」のミレニアム・ファルコンも停泊中だ。スター・ウォーズのオリジナルテーマソングの作曲者ジョン・ウィリアムズ氏が新たに作曲したオーケストラの楽曲で、アトラクション外の人々やローラーコースターの騒音はかき消される。
 アイガーCEOは29日、宇宙人オーガ・ガラが経営する酒場を再現した「オーガのカンティーナ」でインタビューに応じ、「われわれは没入感が高いほど、体験度も高くなると気づいた」と語った。アイガー氏はこの日のインタビュー後、スター・ウォーズの生みの親であるジョージ・ルーカス監督に初めてカンティーナ酒場を披露することになっていた。
宇宙人オーガ・ガラが経営する酒場を再現した「オーガのカンティーナ」
宇宙人オーガ・ガラが経営する酒場を再現した「オーガのカンティーナ」 Photo: Patrick T. Fallon/Bloomberg News
 ルーカスフィルムはディズニーが2012年に40億ドルで買収して以来、同社の戦略の要となっている。映画の続編やテーマパーク、おもちゃなどでの事業開拓に注力する戦略だ。ディズニー自身もアナリストも、ケーブルチャンネルなど他部門の見通しが不透明な中、ギャラクシーズ・エッジがテーマパーク事業の収入を大きく押し上げると見込んでいる。

 ギャラクシーズ・エッジのオープンはスター・ウォーズ映画シリーズの転換期に重なる。新三部作が12月公開の最終章で完結すると言われているうえ、新作映画は確実にヒットするとも限らない。スター・ウォーズの実写ドラマ「ザ・マンダロリアン」は11月、ディズニーの新ストリーミングサービスで配信が開始される予定だが、その他の映画シリーズ公開は「ハン・ソロ スター・ウォーズ・ストーリー」が期待外れな興行成績となったことで先送りされている。

 ギャラクシーズ・エッジはディズニーランドで5月31日、オーランドでは8月下旬にオープンする。
ギャラクシーズ・エッジの操縦アトラクション「ミレニアム・ファルコン:スマグラーズ・ラン」
ギャラクシーズ・エッジの操縦アトラクション「ミレニアム・ファルコン:スマグラーズ・ラン」 Photo: Patrick T. Fallon/Bloomberg News