東電、柏崎刈羽原発の一部廃炉検討、6・7号機の再稼働前提

東電、柏崎刈羽原発の一部廃炉検討、6・7号機の再稼働前提

環境エネ・素材
北関東・信越
2019/8/24 1:00 日本経済新聞 電子版
東京電力ホールディングス柏崎刈羽原子力発電所新潟県)の一部廃炉を検討していることが分かった。東電が目指す同原発6、7号機の再稼働の実現後に1~5号機の中から廃炉対象を選ぶ。再稼働の前提として地元の柏崎市廃炉計画の策定を求めていたことに対応する。ただ、新潟県も別途、原発を巡る検証作業を進めており再稼働は不透明な状況だ。
柏崎刈羽原発6、7号機の再稼働は地元同意が焦点となっている
東電の小早川智明社長が26日、柏崎市桜井雅浩市長に会い、1~5号機のすべての再稼働を目指すことはしない方針を伝える見通し。再稼働後に期限を区切って廃炉対象を決める考えも示すとみられる。将来の廃炉を示唆することで6、7号機の再稼働への理解を得たい構えだ。
東電は7月末に福島第2原発の全4基の廃炉を決めたばかりで、事故のあった福島第1原発廃炉作業も進めている。そのうえで柏崎刈羽原発廃炉をすぐに手がけるには必要な人手の確保や、財務基盤の点で問題が生じると判断した。現段階では明確な廃炉の方針は打ち出せないが、6、7号機の再稼働により収益が改善すれば廃炉を進める環境が整うとみている。
桜井市長は2017年6月に6、7号機の再稼働を認める条件として、1~5号機に関する廃炉計画を2年以内に提出するよう東電に要請した。19年6月末が期限だったが、回答が遅れていた。
柏崎刈羽原発は1カ所の発電能力が世界で最大規模の原発だ。うち6、7号機は17年12月に国の安全審査に合格したが、地元の理解が得られず再稼働できていない。
東電は福島第1原発廃炉・賠償費用を稼いだ利益から捻出する方針だ。足元では地盤の首都圏の顧客離れが止まらず経営環境が厳しい。柏崎刈羽原発は1基の稼働で年1千億円程度の収支改善が見込めるため、再稼働をテコにして経営改善を進めたい考えだ。
ただ、今回の廃炉意向などによって柏崎市から同意を取り付けても、再稼働には新潟県の意向も必要になる。同県は福島第1原発の避難方法などの検証が終わらなければ再稼働に向けた議論はしない姿勢を示している。現時点で検証作業が終わる見通しも立っておらず、再稼働への道筋は見えていない。