ZAKZAK 政治・経済より

なぜ本当のこと言わないのか…米政府「菅隠蔽体質」に怒!!

2011.03.19

http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110319/plt1103191509001-n1.htm

http://www.zakzak.co.jp/society/politics/news/20110318/plt1103181529003-n1.htm

米政府が、菅直人政権の「隠蔽体質」に激怒している。東京電力福島第1原発事故のデータを明かさず、放射性物質漏れの重要情報を共有しようとしない、というのが理由だ。空母や在日米軍を出動させ、東日本大震災の救援活動に全面協力している同盟国を軽視するような姿勢にいらだつ一方、米軍無人偵察機が検出した数値から、放射能専門家部隊の派遣準備も始めた。外交専門家の中には「日米関係が悪化しかねない」との声も噴出している。

「なぜ、菅政権は本当のことを言わないのか。こちらは全面協力する姿勢なのに。正確な情報を出さないのは間違いだ」

ホワイトハウス関係者は、こういらだちを隠さない。米政府は原発事故直後の13日深夜、米原子力行政を統括するエネルギー省や原子力規制委員会(NRC)の専門家らを来日させて、緊急支援に乗り出した。

ところが、米専門家らが、経産省原子力安全・保安院、東電に出向いても、新聞に出ているような情報しか出さない。情報共有を求めても、担当者に「待っていてくれ」と言われて、放置される始末。米専門家らは本国に「菅政権は情報を隠蔽している」「まったく狂っている」と通報した。

米政府は、菅政権に対し、「一体どうなっているのか」「こちらは空母まで派遣して協力している」「同盟国ではないのか?」と抗議したが、菅政権は事務方を通じて、「心配はいらない」「きちんと対応している」などと突き放したような態度だったという。

これで米政府の不信感は決定的になった。軍事衛星の情報に加え、北朝鮮が核実験をしたときなどに運用する無人偵察機を飛ばして、詳細なデータを収集。菅政権が発表している数字とは異なる数値を入手した。これは藤崎一郎駐米大使を通じて、菅首相に伝えられているという。前出のホワイトハウス関係者はいう。

「われわれは駐米大使館などを通じて、『こういうデータがある』『事実を話してくれ』『事態収拾に協力する』と何度も伝えたが、やはり菅政権はまともな対応をしなかった。どうも、官邸中枢の数人がおかしいようだ。わが国は単独で決断を下した」

米政府は16日(日本時間17日未明)、在日大使館を通じ、第1原発の半径80キロ以内の米国民に避難勧告し、大使館職員の家族らの自主的な国外退避を認めた。在日米軍の家族らも退避に動き出している。日本政府は、第1原発から半径20キロ以内には避難を、20キロから30キロは屋内退避を指示している。NRCのヤツコ委員長は16日、米CNNテレビでこの違いについて聞かれ、「米国の基準ならそうする」と答えた。

菅首相は18日、IAEA国際原子力機関)の天野之弥事務局長と官邸で会談した際、「これまでもそうしてきたが、情報は最大限、透明性を持って伝える」と語ったが、米国をはじめ、世界各国はそうは見ていない。

現に、ヒラリー米国務長官は「日本の情報は混乱していて信用できない」とテレビのインタビューで答え、ドイツのメルケル首相も「日本からの(原発)情報は矛盾している」と記者会見で語っている。

国際政治学者の藤井厳喜氏は「米国は『ともだち作戦』と称して、大震災の救援活動に全面協力してくれている。そんな同盟国を軽視していたとすれば、両国の関係悪化が心配される。背景には、民主党の一部にある反米的性格と、東京電力と役所の官僚主義、秘密主義があるのでは。危機管理の基本は『事実を明らかにして、最悪のケースに備える』ことだが、菅政権には期待できそうにない」と語る。

大震災と原発危機に加え、日本は同盟危機まで背負い込むのか。

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東京電力福島第1原発の事故を受け、米国内で「反日感情」が高まりつつある。東日本大震災直後は同情も多かったが、菅直人政権の原発危機への対応のひどさに、ヒラリー国務長官までが「日本は信用できない」と激怒。米メディアが「今週末にも、太平洋を超えて放射性物質が到達する」と報じたこともあり、西海岸はパニック状態になりつつある。

「日本の指導者の欠陥が危機感を深める」

ニューヨーク・タイムズ紙は16日、こんな強烈な見出しで、菅首相臨機応変の対応力や官僚機構と円滑な協力関係に欠けるため、国家的危機への対処を大幅に弱くしている、と指摘した。

今週に入り、米政府やメディアは総じて日本に厳しい。悲惨な大震災への同情はどこかに吹き飛んでしまった。

米国在住のジャーナリストは「ホワイトハウスや議会で連日、日本の原発危機に関する会議や公聴会が開かれているが、『日本政府や東電は情報を隠蔽している』『混乱して無政府状態』といった反応ばかり。かなり緊迫している。これを放置すると、反日感情がさらに高まる」と警告する。

事故発生直後、米政府は原子炉冷却に関する技術的支援を申し入れた。ところが、原子炉の廃炉を前提とした提案だったため、日本政府は「時期尚早だ」と受け入れなかったという。

その後も、米政府は外交ルートを通じて、「第1原発は大丈夫なのか?」「本当のことを教えてくれ」と打診したが、日本外務省は首相官邸の指示もあり、「適時適切に対応している」とお役所答弁。ところが、第1原発の危機は日に日に深刻化し、水素爆発や放射性物質漏れが発覚した。

このためか、ヒラリー国務長官は「日本の情報が混乱していて信用できない」「米国独自の調査で判断する」とテレビのインタビューで強い不快感を強調。在日米大使館は第1原発の半径80キロ以内に住む米国民に避難勧告し、東京の米大使館などに勤務する職員の家族約600人に、自主的な国外退避や日本国内の安全な地域への避難を認めると発表した。

米メディアも17日朝から「金曜日にも太平洋を超えて米国に放射性物質が到達するから危険」と派手に報じ、欧州やアジアのメディアも「天災が人災に発展」「事実を隠蔽した」などと報道。

米西海岸はパニック状態で、抗放射能薬が飛ぶように売れて、品不足状態だという。

現在、ワシントンに滞在している国際関係学研究所の天川由記子所長は「米政府は菅政権に対し『大量の放射能漏れを隠している』との懸念を持っている。菅政権の対応の遅さと甘さは、米国民に『日本人は放射能漏れを起こした厄介者』と思わせかねない」と語る。

菅政権は、日本を世界の孤児にする気なのか。