ハイ・ロー・ロジック・インデックス

 【チャペルヒル(米ノースカロライナ州)】この数十年間の市場の大天井と大底のほとんどを正確に予測してきた市場指標に興味があるだろうか。

 もちろん、あるはずだ。

 それだけではない。この素晴らしい指標は現在、強気相場を示唆している。

 その指標とは、かつてインスティテュート・フォー・エコノメトリック・リサーチの社長を務め、現在は投資助言サービス「フォスバック・ファンド・フォーキャスター」の編集者であるノーマン・フォスバック氏が1970年代に考案したハイ・ロー・ロジック・インデックス(the High Low Logic Index)のことだ。この指標は、52週高値更新銘柄数と52週安値更新銘柄数の双方を取引があった株式総数に対する比率で示し、そのうちの小さい方の値を採用する。

 フォスバック氏によると、ハイ・ロー・ロジック・インデックスが高い水準にあれば、弱気を意味する。高い数値は、市場が極度に分散した期間にあることを示しているという。同氏は「市場の分散は通常、将来の株価高騰につながりにくい。というのも、健全な市場には内的な均一性が必要だからだ」と説明する。

 興味深いのは、その均一性の方向は問題ではないことをフォスバック氏が研究で発見したことだ。高値更新銘柄が多く、安値更新銘柄がほとんどなければ、強気相場に決まっているが、安値更新銘柄が多く、高値更新銘柄がほとんどない場合でも同じ予測となる。

 1970年代にフォスバック氏は、その指標の10週指数移動平均を推奨し、調査会社ネッド・デービス・リサーチもこのアプローチを採用している。同社は毎週末、米国内で取引されているすべての公開株に基づいた指標を更新している。直近の値1.7%は確実に強気相場圏内であることを示している。

 それどころか、ネッド・デービス・リサーチ版のハイ・ロー・ロジック・インデックスが4.05%以上の弱気相場圏から現在のような低い値に移動したのは、過去25年間でも他に4回しかなく、そのすべては市場の大底の近くで起きた。具体的には1987年の終わり、1990年の終わり、2003年の初め、2008年の終わりの4回である。

 指標の強気相場予想が最も早かったのが4回目のときだが、そのときでさえ3‐4カ月早かっただけだった。

 ネッド・デービス・リサーチが過去のデータによる検証試験で強気相場を示す値として使ったしきい値は2.5%である。

 同社によると、ハイ・ロー・ロジック・インデックスの10週指数移動平均がこのレベルよりも低いときはS&P500指数が年率で17.9%上昇したという。その反対にその値が4.05%を上回っていると、S&P500指数は年率で12.5%下落している。

 この指標は今年の8月と9月の株式市場の低迷を予測していたのだろうか。残念ながら、予測できていなかったが、裏を返せば、ここのところの低迷は大きな弱気相場の始まりではないというメッセージとも取れる。ネッド・デービス・リサーチによると、最高値は3.2%で、これは過去のデータによる検証試験では中立的な値となっている。

 最後にこの指標の値が4.05%を上回ったのは2007年の終わりで、景気後退とそれに関連した信用収縮が始まる直前のことだった。

 強気筋の投資家としては、この指標の予測がこれまでのように的中することを願うしかない。

(執筆者のマーク・ハルバート氏は、バージニア州のハルバート・ファイナンシャル・ダイジェストの創設者。1980年以降、160以上の金融ニューズレターの助言の追跡調査を実施している)