今週の東京株式市場

[東京 5日 ロイター] 今週の東京株式市場は値固めが見込まれている。過熱感が解消されておらず国内勢の売りが重しになるとみられているが、海外勢の買いや堅調な米経済指標、円安などが下支えする見通し。一方、週末のメジャーSQ(特別清算指数)算出をにらみながら、先物主導で値動きが大きくなる可能性もあるという。

日経平均の予想レンジは9500円─1万円。

日本株は上値の重さが意識されている。2011年3月の日経平均の月中平均が9852円、同月末終値が9755円となっており、「同水準を上回る局面では含み損が消えた国内法人などからの戻り売りや利益確定売りが出やすい」(国内証券)という。また、日本株の上昇を受けて株式の組み入れ比率が上昇した年金筋などからの売りも指摘されている。日経平均は直近3営業日連続で日中に9800円台に乗せながらも、終値では維持できない状態が続いており、上値を抑えられている格好だ。
 
テクニカル面でも東証1部の騰落レシオ(25日移動平均)は依然120%を超えたままだ。東証1部の売買代金が3月2日に8営業日ぶりに1兆4000億円を割り込むなど、商いがやや細ってきていることも懸念されるという。
 
半面、「海外勢のロングオンリーなど長期資金の買いは続いており、大きな押しは想定しづらい」(いちよし投資顧問・運用部長の秋野充成氏)との声が多い。急ピッチな上昇過程で買い遅れた投資家による押し目買い意欲も根強いという。「先行して上昇してきた金融株は一服感が出始めたが、鉄道や陸運、小売りなど内需出遅れ銘柄に物色が回っており、日本株の底堅さにつながっている」(松井証券・マーケットアナリストの窪田朋一郎氏)との見方もある。
足元の堅調な米経済指標も株価の押し上げ要因となっており、週末9日の米雇用統計に対する期待感などが高まれば、「米国株上昇とともに日経平均1万円回復もあり得る」(秋野氏)という。

また、円安水準で推移する為替市場も日本株の下支え要因だ。岡三証券日本株情報グループ長の石黒英之氏は、シカゴIMM投機筋の円ロングポジションが徐々に減少する傾向にあるものの、まだ積み上がっている状態にあると指摘。「引き続き円ロングポジションの巻き戻しが期待され、円安含みで推移することは日本株にとってプラス要因」とみている。
 
一方、3月9日には日経平均先物・オプションのメジャーSQを控える。先物市場では日経平均1万円以上に売り物が控えるとされる一方、オプション市場で権利行使価格1万円以上のコールで建玉が積み上がっており、「SQ値を上値で決定させるための思惑的な動きがあってもおかしくはない」(準大手証券)との声も出ている。直近では先物主導でボラタイルな展開が続いており、引き続き権利行使価格9750円を挟んだ値動きが見込まれている。
 
注目されるイベントでは、2月米ISM非製造業景気指数(5日)、2月ADP全米雇用報告(7日)、2月米雇用統計(9日)などの経済指標が発表されるほか、6日は米大統領選のスーパーチューズデーとなる。欧州では、8日に欧州中央銀行(ECB)の理事会が予定されている。アジアでは5日に中国全国人民代表大会全人代)が開幕する。
 
(ロイターニュース 杉山容俊)