◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆  2012/05/19(土)発行

=================
◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆
=================
T「今週も酷い1週間になってしまった。日経平均連続陰線記録まで飛び出すし、週
末にはTOPIXが一時年初来安値更新する場面も見られた。」

M「ああ。買い方には散々と言った相場だったな。木曜日にリバウンドしたものの
、それに利息付けて昨日は派手に下げてしまった。日経平均は今年最大の下げ幅を
記録した。」

T「まさに世界同時株安であり、一昨年の5月相場もこんな感じだった。」

M「やはり5月は怖い月だ。米ウォール街では"Sell in May and go away"という格
言があるが、まさにそれを裏付ける動きとなったといえる。」

T「そうだな。何処かのアナリストが、今年は例外だなんていう米株強気のレポー
ト出していたが、トンでもなかったな。」

M「ああ。典型的な"Sell in May and go away"という展開となっているからな。」

T「今週は欧州懸念が一段と強まった。ギリシャの再選挙が決定した事や、ギリシ
ャの銀行から14日間で少なくとも7億ユーロの預金が引き出されたとの発表も懸念に
拍車をかけた。」

M「一昨晩には、ギリシャで起こっているような取り付け騒ぎが、スペインにも広
がっているとの懸念が浮上した。」

T「国有化されたスペイン大手銀行のバンキアから10億ユーロを超える預金が引き
出されたと報じられた。その後スペイン政府はこの報道を否定したものの、市場の
懸念は払拭されなかった。」

M「ああ。ギリシャからスペイン、更にはイタリア、ポルトガルと広がっていくの
ではと言う懸念に繋がった。こうなると幾ら否定しても懸念はそう簡単には払拭さ
れない。」

T「そうだな。恐らく今後も預金引き出す向きは増えるだろうな。実際にイタリア
などにも波及するかは解らないが、少なくともギリシャでは加速する。」

M「まあギリシャ国民にしてみれば、死活問題だからな。金融破綻して預金凍結な
んてされたら目も当てられない。ましてギリシャがユーロ離脱なんて話になれば、
ドラクマ復活で、強制的に両替されてしまう。」

T「そうなる前に、引き出しておこうと思うのは当然のことだ。」

M「ただ現実的にギリシャがユーロ離脱と言うことになる可能性は非常に低いよう
に思えるけどな。何だかんだ言ってもギリシャ国民だって、それを望んではいない
。」

T「7割以上のギリシャ国民がユーロ残留を望んでいるという話もあるからな。」

M「いずれにしろ、この問題はまだ暫く波乱要因になり得るだろうな。」

T「だよな。暫くは懸念後退しても、再び懸念強まり、又後退といった繰り返しだ
ろうな。」

M「恐らくな。昨晩には世界最大手の紙幣印刷企業がドラクマ紙幣の印刷計画を立
てているという報道もあったし、そう簡単には懸念も払拭しれないだろう。」

T「ユーロ圏の金融当局は早いところ、この懸念を払拭して欲しいモンだ。」

M「ただ欧州問題以外にも懸念が出て来ている。米国の景気減速懸念だ。先日発表
されたフィラデルフィア連銀製造業景気指数は市場予測を下回っただけでなく、景
気の分かれ目とされるゼロを下回りマイナスに転じた。」

T「ああ。これはショッキングだったな。一昨晩の米国市場が派手に下げたのは、
欧州懸念も影響しているが、このフィラデルフィア連銀製造業景気指数のマイ転を
嫌気した面も強いだろう。」

M「そうだな。ただ米国は景気悪化の懸念が強まれば、QE3という切り札もある。た
だ、問題はそれは円高に繋がると言うことだ。それだけにQE3期待が強まったとして
も、日本市場は言うほど恩恵は受けられない懸念はある。」

T「そうなれば日銀も追加緩和に踏み切るしかないだろうな。ただ市場は既に日銀
には期待していないだろうし、追加緩和したとしても、米国市場の緩和は望めない
。結果、円安転換にはなりにくい。」

M「ああ。そういうことだ。来週には日銀金融政策決定会合があるが、米国に先手
を打って新たな緩和策など打ち出してくれれば嬉しいのだが・・・。」

T「まあ無理だな。そんな期待する位なら、欧州懸念が和らぐ事を期待する方が可
能性としては高そうにも思えるが・・。」

M「そうだな。ところで昨晩の米国市場は続落してしまったな。朝方はダウなどプ
ラス圏での推移となっていたんだが値を保てなかった。」

T「欧州市場が売り一巡後は比較的に落ち着いていただけに期待したんだが・・・。」

M「昨晩の市場の関心は明らかに新規上場するフェイスブックに集まっていた。フ
ェイスブックの取引開始がやや遅れ混乱も見せたものの、初値は公募価格38ドルに
対して42.05ドルとなった。約11%上回る初値と上々の滑り出しになったんだが・・
・。」

T「ああ。初値形成直後には45ドルまで吹っ飛んだが、その後は急落している。公
募価格の38ドルでは下げ渋ったものの、その後も上値は限定的で終値は38.23ドルと
ほぼ安値圏で引けている。」

M「事前の期待では初値形成後もしっかりと値を伸ばして50ドル以上になるのでは
という見方もあったからな。まさに期待外れの動きになったと言えるだろう。」

T「だよな。この失望的な動きが昨晩の米国市場全体に悪影響を与えたとの見方が
大勢だ。」

M「ああ。ダウ、ナスダック共にプラス圏での推移だったが、フェイスブック初値
形成時にはマイナスに沈んでおり、その後はフェイスブックの動向に影響受ける展
開だったからな。」

T「何でも普段株取引なんてしたことない人達でもフェイスブック株に興味を示し
、買いに行った人もかなりいるようだ。」

M「ああ。つまり多くの人が公募や初値でフェイスブックを買ってしまったといえ
、買い一巡後は買い手が乏しかったと言えるのかもな。典型的な上場天井というパ
ターンだ。」

T「上場前に盛り上がり過ぎてしまい、上場でピークという感じか・・。」

M「今日は幹事証券などが公募価格38ドルを死守していたが、来週以降維持出来る
か注目される。あっさりと割り込んでしまうようだと市場心理に悪影響だ。」

T「ああ、注目しておきたい。」

M「欧州懸念も払拭されずとも来週は落ち着きを取り戻して欲しい。」

T「そうだな。期待したいモンだ。」