◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆  2012/06/2(土)発行

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◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆
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T「今週も弱い相場展開になってしまった。週前半は粘っていたんだが、後半失速
してしまい日経平均は9週連続の下落となった。」

M「20年前とタイ記録だな。来週も下げてしまえば記録更新だ。今週も重しとなっ
たのは欧州懸念だった。」

T「ああ。欧州はますます懸念強まっている。スペインでは銀行預金引き出しが止
まらないようだし、実質国有化を決めたバンキア救済もママらなぬ様だし、スペイ
ンやばそう。」

M「スペインの財政もキッツいからな。それだけに自力でバンキア救済出来ない恐
れもあり、頼みの綱と言えるECBは支援に難色を示している。」

T「それだけにスペインの長期債利回りは今週かなり上昇してしまった。」

M「先日にはIMFがスペインへの緊急融資計画を検討なんて報道もあったが、あっさ
りと否定された。」

T「スペインは要請もしていないようだし、IMFもそんな計画はないと・・。ただ悠
長な事言っている場合でもなさそうだが。」

M「そうだな。早いところ市場を安心させるような行動を示さないと、本当にパニ
ックに陥るぞ。そうなってからでは歯止めが利かなくなる。」

T「欧州の債券市場では異常な状況が見られている。ドイツ債に買いが殺到してお
り、2年物利回りは一時初のマイナス金利となった。」

M「前日には、ほぼゼロ金利状態になっていたが、昨日はマイナス圏まで突っ込ん
だようだな。」

T「しかしマイナスって理屈的におかしいだろ。」

M「ああ。だから、ある意味それ以上、買い手は出てこない可能性があり、そうなれ
金利は下がらないし、国債価格も上昇しないと言うことになる。恐らく暫く今の水
準での推移が続くんじゃないのか。つまりドイツ債2年物利回りは、ゼロ金利に近い
状況での推移が続く。」

T「しかし、そんな金利でもドイツ債を買う価値があるのか?」

M「まあユーロ圏ではもっとも安全資産と言える状況だからな。現金で持っている
より安全だろう。現金だと少額なら別だが、高額となれば当然銀行に預ける必要が
あるが、銀行が破綻したら大変だ。」

T「確かに・・。銀行は破綻する恐れはあるが、ドイツ国債ならドイツが破綻しな
い限り大丈夫という訳か。」

M「ああ。金利なんていらないから、とりあえず資金を安全においておけるところ
としてドイツ債に集まっている。場合によってはマイナス金利だとしても、安全な
ら預けるという向きだっているだろう。」

T「何よりもドイツなどの流動性ある国債なら、いつでも換金出来るって言うのも
メリットだからな。」

M「ああ。ただ買われているのはドイツ債だけじゃない。オランダ、ベルギー、フ
ランス、オーストリアなど比較的に安全と言われる国の債権まで買われている。」

T「売られているのは多債国の債権だな。スペイン、イタリアなど・・・。」

M「まあ昨晩は売られた後は切り返していたけどな。ECBが国債購入に踏み切るので
はという思惑が浮上して・・・。」

T「来週にはECB理事会が開催される。そこで何か対策を打ち出さないとヤバイだろ
。」

M「ああ。市場では何かしら策を出してくると見られており、それがスペインやイ
タリア国債の下落に歯止めをかけるという期待はあるだろうな。」

T「ただ何もしないと・・。恐ろしいな。」

M「懸念は欧州だけでもない。昨晩発表された米雇用統計は酷い数字になってしま
った。これで3ヶ月連続で予測下回る雇用統計となった。」

T「雇用者数は15万人増との市場予測が6万9000人増にとどまった。民間部門が予測
の半分程度しか伸びなかった。失業率は11ヶ月ぶりに上昇し、不完全失業率も上昇
しており内容的にも良くない。」

M「ああ。思った以上に米国経済は減速してきている恐れがある。最近発表された
他の経済指標も弱いモノ目立っているしな。」

T「昨日の中国PMIも弱い数字だったし、世界的に再び景気減速感が出てきたといえ
、先行き懸念が強まっている。」

M「それをうけ昨晩の米国市場は派手に下落した。ダウは今年最大の下げ幅となり
、1月以来の年初来安値をついに更新した。」

T「金融緩和期待は出てきそうだが、欧州問題やら中国景気やら懸念材料多すぎて
、金融緩和期待だけで相場を支えることは難しそうだ。」

M「まあ、明確にQE3でもやるぞとバーナンキさんが示唆でもすれば好感されるんだ
ろうけどな。」

T「来週にはバーナンキFRB議長の議会証言もあるだけに、期待したいけどな。」

M「そうだな。ある意味、催促相場になっていくという可能性もある。米国だけじ
ゃなく欧州市場も・・・。」

T「となれば、まだ暫くは波乱含みという訳か・・・。」

M「日本の場合はそれに円高が絡んで来るからな。昨晩も結構円高進行してしまっ
ており、かなり厳しい水準だ。ドル円は77円台まで突っ込む場面見られたからな。」

T「でも78円割れでは覆面介入が入るとの観測もあるようだし、それ以上の円買い
はしにくくなっている。」

M「まあその思惑でこれ以上の円高進行は止まって欲しいモンだけどな。」

T「まずは市場心理が速やかに落ち着くかどうかが鍵だな。」

M「特に欧州だな。ただECB理事会も来週はあるだけに、色々な思惑も出やすい。そ
れだけに案外来週は売り一巡後は落ち着いた相場展開になるという期待もあるだろ
う。」

T「そうだな。出来れば週明けの下落でアク抜け感出てくれば良いのだが・・。ま
あ、どういう展開になるのか注目だな。期待したいモンだ。」