◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆  2012/07/21(土)発行

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◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆
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T「今週は軟調な展開となった。まあ日経平均自体は先週末比でそれほど下げた訳
ではないが・・・。」

M「そうだな。日経平均は25日線を超えそうで超えられない動きが続いていた。そ
れに何よりも今週はTOPIXの弱さが目立っている。」

T「ああ。TOPIXは水曜日の18日まで3年ぶりとなる9日続落となっていたしな。木曜
日の19日には反発したものの、小幅高にとどまっており、昨日にはそれ以上の下落
となっている。」

M「やはり今週は電力株の下落が影響しているといえる。先週末に発送電分離報道
があり、今週電力株が総じて売り込まれる展開となった。」

T「そうだな。それに一部の原発には活断層問題も浮上し、電力株売りに拍車をか
けた。」

M「それに鉄鋼株の下落も影響している。今週鉄鋼株は総じて売られていた。やは
り中国筆頭に世界景気への先行き懸念が強い。」

T「あと昨日の金融株の下落もTOPIXを結構押し下げている。昨日は銀行だけでなく
証券、保険と言った金融株が総じて売り込まれた。」

M「前日のモルガンSの決算が良くなく米国市場で金融株全体的に売られたことが要
因しているといえるが、LIBOR問題が影響しているとの見方も多い。」

T「ロンドン銀行間取引金利の不正操作問題か・・・。バークレイズの不正で発覚
した。」

M「ああ。その問題が拡がり始めている。バークレイズだけでなく、他の大手銀行
も関与していると見られており、当局が本格的に調査を始めるようだ。」

T「そもそも銀行間取引金利はバークレイズだけで操作出来る問題じゃないからな。
他の銀行も関与していて初めて出来る。」

M「それだけに当然、他の銀行も複数関与しているのは間違いないだろう。」

T「それにLIBORだけでなく、ユーロ圏のEURIBORでも不正操作が行われているとの
疑惑が強まっているようだな。」

M「ああ。ドイツやフランスの大手銀行が関与している可能性があり、不正な利益
をあげていた可能性があるようだ。もちろん、実際にそうだったとして、金融市場
にどのような影響が出るかは不透明だけどな。」

T「でも不透明なだけに、金融株は買いにくいという動きは当然出てくる。」

M「ああ。それが日本の金融株売りにも繋がっているとの見方もあるようだ。LIBOR
問題はかなり根深いだけに、今日明日に明らかになることでもない。このまま大事
にならず、消え去る問題かも知れない。でも、もしかすると問題大きくなって世界
的な金融不安に繋がるかも知れない。」

T「現状ではこの問題がどうなっていくのは誰も読めないという状況なんだろう。」

M「ああ。短期的に明らかになることでもなく、これは中長期的な問題になる恐れ
がある。それだけに今から意識しても仕方ないとは言えるのだが、取りあえず昨日
は週末ということもあって、金融株を一旦外す動きが目立ったと言えそうだ。」

T「来週、この問題が更に懸念視されてくるのか、意識されなくなってくるのか注
目だな。」

M「しかしまあ、次々と懸念が新たに出てくるモンだな。それでなくても世界的な
景気減速懸念や、欧州債務懸念なども、まだまだ消えていないというのに・・・。」

T「だよな。昨晩の欧州では欧州債務懸念が再び意識されている。スペイン国債
回りは更に上昇しており、ユーロ安が一段と進行した。」

M「ああ。昨晩ユーロ圏財務相の電話会合ではスペイン銀行救済支援を正式承認し
た。しかし、スペインのバレンシア州が政府へ支援要請した事から、スペイン財政
懸念が改めて意識されてしまった。」

T「スペインの銀行救済のための支援をしても、それ以外にスペインはいずれ金融
支援をEUなどに要請するとの見方が強まっているようだ。」

M「ああ。更にドイツの要人が、ギリシャは合意した財政削減計画を履行出来なけ
れば、ユーロから離脱するべきとの見解を示したことも嫌気された。」

T「またタイミング悪いことにECBはギリシャ債を担保として認めない不適格にする
と発表した。」

M「それらを嫌気しユーロ円は95円台前半まで円高進行する場面も見られた。この
水準は2000年以来の円高水準だ。」

T「まるで、金曜日の日本市場は、欧州懸念がこのように強まることが解っていた
ような下落だったといえるかもな。」

M「そうだな。米株上昇して返ってきたにも関わらず、昨日の日本株は大幅安で引
けたからな。しかも先物には仕掛け的な売りも入って・・・。」

T「日本株は昨日先回り的に売られていたものの、シカゴ日経先物は結構下落して
返ってきている。来週も日本市場は厳しい状況になりそうだ。」

M「為替がやはり重しになるだろうな。それに来週から日本企業の決算発表も始ま
る。決算への警戒感も強い状況だし、決算発表前に積極的に買おうなんて向きはい
そうもない。」

T「せめて決算発表後にアク抜け的に買われるかということだろうな。」

M「米国でも企業決算発表は来週も続く。アップルやキャタピラー、フェイスブッ
クなど市場に影響与えそうな企業決算もまだまだ多い。」

T「来週末からロンドンオリンピックが始まるため、そろそろ盛り上がってきても
良いんだが、どうも世界的にマーケットはそれどころじゃないらしい・・・。」

M「逆に不透明なマーケットからとっとと資金を引き揚げて、オリンピックを楽し
もうという向きは増えるかもな。」

T「とりあえず欧州問題だな。昨晩の欧州では、スペイン10年債利回りが、ユーロ
導入以来最高水準に達している。」

M「来週更に利回り上昇していくと大変な事になる。欧州安定メカニズム、いわゆ
るESMは未だに発足されておらず、ドイツのせいで9月以降になる見込みだし、果た
してESMの規模で本当に欧州危機回避できるかという疑問すら出てきている。」

T「更なる規模拡大を協議するにしても、発足出来るかどうかすら解らない状況で
は協議も進められないだろう。」

M「最大の出資国であるドイツ国内で揉めており発足が遅れているんだからな。更
に出資額増やすなんて話は到底進むはずもない。」

T「来週、欧州問題が落ち着いてくるのか、更に悪化してくるのかで、日本株も大
きく影響を受けそうだ。あっさりと落ち着けば良いのだが・・・。」

M「まあ期待は乏しいが、どうなるのか注目だな。要人発言などに振り回される展
開になるかもな。とにかく良い方向に向かうよう期待したいモンだ。」