◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆  2012/08/18(土)発行

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◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆
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T「今週はしっかりと上昇して1週間を終えた。」

M「ああ。週前半は上値の重い揉み合い相場だったが、週末にかけ上離れ日経平均
は7月の戻り高値水準を超えて引けている。」

T「日経平均は木曜日に200日線移動平均線を越えたら、そのまま強い動きが昨日ま
で続いた。200日線は越えそうで越えられない動きが続いていただけに、ショートポ
ジションもたまっていたんだろうな。」

M「確かに200日線付近は心理的節目である9000円が近いこともありショートポジシ
ョン取る向きも多かったと思われる。逆に短期的な買い手は手仕舞いポイントとし
てとらえていた向きも多い。」

T「それだけにブレイクすると上げ足も速めやすく、今度は200日線が下値抵抗ライ
ンとして意識されるようになる。」

M「ああ。200日線付近で売ってしまった買い方は、今度は200日線付近まで下げて
くれば押し目買いを入れるようになるし、売り方はひとまず買い戻す向きも増える
だろう。それらにより自然と200日線付近まあ9000円のラインは強固な抵抗線となっ
ていく。」

T「日経平均は7月の戻り高値を超えたことにより、6月の安値と7月の安値でダブル
ボトムを形成した格好と言える。」

M「そうだな。更に言えば過去1年の新値10本足が昨日の上昇で陽転した。3/27以来
の事だ。TOPIXに関しては6/28に既に陽転していた。」

T「新値10本足はなかなか陽転しないため、一度陽転すると続くことが多いんだよ
な。」

M「そうだな。」

T「また一目均衡表を見ると完全に雲抜けしているし、既に遅行線もその時の株価
を上回っており、転換線は基準線を上回っている状態だ。つまり三役好転している
格好となる。」

M「一目均衡表に関してはTOPIXも同じだな。今週雲抜けしており三役好転している
。」

T「こうやってみると、上昇基調に転換してきた可能性は高いことが色々な事で示
されているといえる。」

M「ああ。今週は色々な好条件が重なって一気に好転してきたと言えるかもな。」

T「確かにそうだな。水曜日まではファンドの45日ルールの売りらしき売りが出て
いたようで上値も抑えていた格好だ。その上値の重さからショートポジションもた
まりやすかった。」

M「また今週はお盆休みで薄商いだったことも功を奏した。」

T「それに何と言っても為替だな。膠着状態続けていたドル円が揉み合い上離れ的
な動きで円安へと大きく振れてきた。」

M「要因は米長期金利の上昇だ。それにより日米の金利差が拡大し、円売りドル買
いの流れとなった。」

T「米長期金利の上昇要因は意外と強かった米経済指標だな。それにより金融緩和
期待が後退して、長期金利の上昇要因となった。」

M「月初の米雇用統計が良かったことから徐々にその気は出ていたんだが、今週発
表された米小売売上高で長期金利の上昇に拍車をかけた。」

T「しかし米国は金融緩和期待で上げてきた面も強いだけに、その期待が後退した
以上、下げても不思議はないんだが・・・。」

M「ああ。でも米国株は堅調でダウやS&P500指数なんて年初来高値目前だ。上昇要
因は米景気回復期待だ。」

T「なんだよそれ。結局、いいとこ取りだ。それだけ投資家心理が良いと言うこと
なんだろうけど・・・。」

M「それに今週は欧州懸念が一段と後退したことも追い風となっている。夏休みを
終えたメルケル独首相がECBによるユーロ危機回避策に関して支持する方針を示して
おり安心感に繋がった。」

T「それによってユーロ円まで円安へと今週は進行したからな。まさに日本株には
追い風となった。」

M「あとは話題の野村の投信だな。日経先物などで運用する投信が週明け20日に設
定される。それは当然以前から解っていたことだが、ここに来て急に話題に出てき
たのは、その投信の募集にかなりの資金が集まっていると言うことが明らかになっ
たためだ。」

T「なんでも既に1000億円はとうに集まっているとの話だからな。」

M「ああ。これを全て日経先物で運用する場合、かなりの買い需要が発生すること
になる。それを睨んだ、短期資金が木曜日から先物を先回り的に買い向かった。」

T「なるほど。そりゃ木曜日から強くなるわけだ。」

M「ただこれらは短期資金が中心だ。週明けの20日には野村の投信による先物買い
に売りをぶつけて手仕舞う向きが多いと言われている。」

T「となれば問題は火曜日以降の動きとなるわけだな。単純に投信設定の思惑だけ
で買われてきたならば、設定日以降は買い手がいなくなるからな。」

M「ああ。でも今週の上昇要因は、投信期待だけじゃないのは明らかだ。」

T「確かに。円安であったり欧州懸念後退であったり・・・。つまり複数の好条件
が重なって、今週は日本株大きく上げたと言える。」

M「それだけに、その好条件の一つが来週無くなったとしても、大きく崩れること
にはなりにくいと言えるだろう。」

T「ただ来週末にはメルケル独首相とギリシャ首相の会談が予定されている。ギリ
シャは支援の条件となっている緊縮策の達成期間を延長して貰うよう要請すると言
われている。」

M「メルケル独首相が断固拒否なんて事になれば、再度波乱要因となりかねない。」

T「でも昨晩の一部報道では、メルケル独首相はギリシャ救済条件の緩和を検討中
との事だ。」

M「ああ。夏休み取ってメルケル独首相は丸くなったのか知らんが、ただドイツ政
府内には反対姿勢を示している向きは多い。そいつらをメルケル独首相が説得でき
るか疑問もある。」

T「それに何と言ってもドイツ国民だろう。ギリシャ支援には彼らの税金がかなり
使われているだけに、当然面白くはない。ドイツ与党はそういった民意の声を無視
するのは難しい。メルケル独首相だって同じだ。」

M「ああ。それだけにメルケル独首相は頭痛いだろうな。かといってメルケル独首
相がギリシャなど多債国支援に関し厳しい姿勢を示せば、ユーロ圏が混乱に陥り、
当然ドイツにも悪影響が出てくる恐れがある。」

T「ただユーロ危機を救う鍵を握っているのはドイツだからな。確かに難しいとこ
ろだ。」

M「まあ来週、メルケル独首相とギリシャ首相の会談でどういう事になるのか注目
だな。」

T「せっかく好転してきた市場ムードに水を差さなければ良いけどな。まあ期待し
たいモンだ。」