◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆  2014/11/01(土)発行

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◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆
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T「今週の日本市場は大幅な上昇となった。」

M「ああ。日経平均は節目の15500円でもたつくなんて言われていたが、今週終わっ
てみれば16500円超える場面もあったからな。」

T「まさに記憶に残る一週間になったと言える。つい最近まで日経平均15000円割れ
水準で推移していたなんて今の株価からは想像も付かない。」

M「もはや遠い過去のことのようだな。」

T「しかし今月は荒い動きだった。中旬まで下落基調で派手に売られたと思えば、
その後はそれ以上、上昇して来る動きだからな。」

M「半値戻しは全戻しというが、本当に全戻しとなり、それじゃ物足りないと言わ
んばかりに今度は倍返しって感じだ。」

T「ほんと、そんな感じになりそうだな。シカゴ日経先物は17000円台で引けている
。昨日の日中終値日経平均16400円台だから、このまま月曜日変わらなければ週明
けは600円程度も上昇することになる。」

M「昨晩の米国市場でも日銀の追加緩和と、GPIF運用見直しを好感して大幅高とな
り、年初来高値を超えてきた。」

T「一昨日辺りまでは日本株は米国株の戻りの強さに引っ張られる格好だったが、
昨日からは日本が米国株を引っ張る格好になった感じだ。」

M「ああ。世界同時株安から一転して世界同時株高と言った展開になって来そうな
状況だな。」

T「それだけ昨日の日銀の追加緩和はサプライズになったと言うことだな。まさに
世界中に電撃が走った感じだ。」

M「そうだな。黒田日銀総裁が提案した、いわゆる議長提案だった。黒田日銀総裁
はつい先日、国会の参院財政金融委員会に出席し今まで通り強気姿勢を示していた
だけに、裏で追加緩和を考えていたなんて誰も思わなかっただろうな。」

T「ああ。とんだ食わせモンだ。岩田日銀副総裁だって、国会で追加緩和の可能性
なんてこれっぽっちも見せなかった。」

M「そうだな。逆に岩田日銀副総裁の発言が嫌気される場面も市場では見られたか
らな。」

T「でも、今回の議長提案もし反対多数で否決となっていたら、結構やばかったか
もな。黒田総裁の信任問題になる恐れもあったと言えるし、日銀内のまとまりのな
さを嫌気された可能性もある。」

M「異例の僅差で決まったからな。まあ当然、賛成多数になるよう事前の調整はあ
ったと思うが・・・。」

T「今回の追加緩和は資金供給量を年80兆円に増やし、長期債買入額を年30兆円増
やして80兆円にし、購入する国債の残存期間を最大3年拡大し、ETFJ-REITの年間
買入額を3倍にして、それぞれ3兆円、900億円とすることを決めた。」

M「今回は3という数字にこだわったのが明らかだな。別に前回同様2でも十分イン
パクトはあったといえるが、前回の更に上をいく3にするところ辺り、黒田総裁は演
出好きって感じだな。」

T「やるなら出し惜しみせず、とことんやるって感じだな。前回の総裁とはえらい
違いだ。」

M「そうだな。市場に促されて渋々政策打ち出しても、市場へのインパクトは限定
的になる。好感されても一時的に終わるって事になりやすい。でも市場の期待の大
きく上を行けば、市場へのインパクトは絶大で、その効果も長続きしやすい。」

T「今回なんて市場の期待すら全くなかった状態だ。その状況で追加緩和に踏み切
り、更にその内容も誰も文句言わせないような想像すら難しい緩和策を打ち出した
。」

M「それにより日本株は希に見るような派手な上昇になった。為替も円安へ吹っ飛
んでいる。」

T「今回はGPIFとの合わせ技になったと言うことも大きい。」

M「そうだな。GPIFは日本株の運用比率を従来の12%から25%に引き上げることを決
定した。これにより今後、GPIFが日本株を買い増してくるとの思惑に繋がっている
。」

T「ただ、市場では既にGPIFはある程度は買い増しているとの見方が多いようだな
。」

M「そうだろうな。今回、ノイズを今までの±6%から9%に引き上げられている。つ
まり日本株の比率の許容範囲は16~34%ということになる。6月末の時点で16%以上は
持っていたんだ。それだけに別に新たに買う必要は無い状況とも言える。」

T「株価が上がれば、自然とGPIFの運用資金に対する日本株の比率は増加すること
になり、尚更買う必要が無くなるわけだ。」

M「ああ。しかし株価が下がれば、比率は低下することになり、日本株を買い増す
必要性が出てくることになるからな。強力な下支え要因になり得ると言うことには
間違いない。」

T「それに何らかの事業で株価を上げたいなら、別に上値をガンガン買いに来るっ
て事もあり得るわけだよな。34%までは許容されているんだから。」

M「まあ、実際そんなことするかは別として、そう言うことを絶対にやらないとは
言い切れないのは確かだろうな。」

T「これじゃ投機筋などは下手にショートポジションなんて組めないだろうな。組
むとしても超短期的な狙いにとどめるだろう。」

M「だろうな。ただこれにより12月にも首相が決断すると言われている消費増税
ほぼ確定的になったと言えそうだ。」

T「だろうな。今回の日銀の決定もGPIFの比率見直しも、結局背景にあるのは消費
増税だという見方も少なくない。株価対策で景気浮揚につなげ、消費増税の下地を
作るってことだ。」

M「ああ。恐らく裏で動いているのは財務省だろうな。ここに来て首相が消費増税
見送る可能性も示唆してきたことで、財務省が日銀などにも裏で働きかけた可能性
もある。」

T「これで消費増税見送れば、更なるサプライズになるんだが・・・。」

M「まあ考えにくいけどな。それに消費増税見送りで更に好感されるかは不透明さ
もある。」

T「まあ、出来るときにやってしまった方が良いということは確かにあるけどな。」

M「取りあえず今回の日銀効果がいつまで続くのか見物だな。」

T「ああ。このまま年末年始まで待ったなしで強い相場続いていくと良いけどな。
年末日経平均18000円なんて強気な見方もあったが、その可能性すら感じるような状
況になってきたからな。」

M「確かに・・・。取りあえず来週の動向に注目したい。」

T「そうだな。期待したいモンだ。」