◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆ 2016/06/04(土)発行

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◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆
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T「今週は荒い展開だった。日経平均は今年初となる5連騰を記録し、久々に17000
円台に乗せて17200円台まで上昇したんだが、その後はあっさりと下落してしまった
。」

M「ああ。5連騰で上げた分をほぼ吐き出した格好だな。月末の上昇はやはり月末要因もあったんだろう。MSCIリバランスの影響も強かったと言える。」

T「だろうな。MSCIリバランスでは日本株全体には500億円程度の資金流入と見られ
ていたからな。その分は押し上げられていることになる。」

M「それに加えて、その期待による先回り買いも当然入っていただろうからな。」

T「そういった特需により上げた面もあるだけに、6/1以降は反動的に売りが出てき
た面もありそうだ。」

M「それに仕掛け的な動きも6/1以降見られている。先物というより為替だな。仕掛
け的に円を買う動きが強まっており、それによる円高進行が日本株売りにも繋がっ
た。」

T「ドル円は5月末には1ドル111円台まで円安が進行していたが、6月に入ってあっ
さりと節目の1ドル110円も割り込んできている。」

M「投機筋は5月末まで円買いポジションを減らしてきていた。米商品先物取引委員
会が毎週発表しているシカゴ投機筋の円買い越しポジションによれば、5月末時点で
1万4837枚まで減っていた。」

T「4月には投機筋の円買い越しポジションが7万枚越える場面もあったからな。」

M「ああ。ただその後は徐々に減らして、5月に中旬以降には大きく減らしてきてい
る。つまり円先物を買っていた投機筋が手仕舞いに動いていると言うことだ。」

T「それによりドル円相場は5月末へ向け円安が進行していた。」

M「5月はヘッジファンドの決算期も多いだけに、決算期に絡んで益出ししてきた投
機筋も多かったのかも知れない。」

T「それに加えて米国の早期利上げへの懸念だろう。5月は早期利上げ懸念が徐々に強まってきていたからな。」

M「そうだな。ただ今月に入ってから、投機筋による円買いの手仕舞い売りは止ま
った印象であり、逆に再び円買いポジション積み上げてきたような動きとなってい
る。」

T「ああ。ここに来て再び米国の早期利上げ懸念が後退してきていることもあるだ
ろう。」

M「そうだな。その利上げ時期を占う上で注目される重要な経済指標が昨晩発表さ
れた。」

T「米雇用統計だな。」

M「ああ。前回も弱い数字となったが、今回はそれ以上に弱い数字となった。」

T「びっくりだよな。非農業部門雇用者数が3万8000人増にとどまった。市場予測は
16万人程度だった。」

M「ああ。しかも前回と前々回分は下方修正されている。」

T「ほぼ6年ぶりと言える低水準であり、とても利上げできる数字じゃない。」

M「まあ一部大企業のストライキの影響があるんだが、それを考慮しても弱すぎる
。そもそも市場予測自体もストライキの影響は考慮しているんだからな。」

T「だよな。どう見ても弱い数字だ。失業率は大きく低下したが、これは労働参加
率の低下も影響しているんだろう。」

M「今回発表された3万8000人増という数字が今後上方修正されるにしても、それが
解るのは来月だからな。とても6月FOMCでの利上げなど出来ないだろう。」

T「6月の利上げが無くなったのは確定だろう。これで利上げしたら、イエレンさん
はめっちゃ叩かれるだろうし・・。」

M「7月の利上げもないかもな。」

T「いずれにしろ早期利上げ懸念が大きく後退したのは間違いないだろう。」

M「ああ。昨日はISM非製造業景況感指数も発表されたが、これもかなり弱い数字だったしな。」

T「早期利上げ懸念が大きく後退したことで、ドルが激しく売られた。おかげでド
ル円は大きく円高進行してしまっている。」

M「やっかいだな。それによりシカゴ日経先物は大きく下落しており、週明けは波
乱スタートは避けられそうもない。」

T「そうだな。ただ米国株は売り一巡後は下げ渋っているし、日本株だって売り一
巡後は下げ渋る期待はあるだろう。」

M「まあ米国株は早期利上げ懸念が後退したことは支えになるからな。ドル安も追
い風になるわけだし・・・。」

T「確かに・・。ただこれで取りあえず6月FOMCへの懸念は消えたことになる。サプ
ライズは無いだろうからな。」

M「ただ6月はまだ他にもイベント多い。日本でも来週はメジャーSQだし、日銀金融
政策決定会合もある。地合悪化して円高進行してきているだけに、追加緩和への期
待が強まる可能性もあるかもな。」

T「そして英国ではEU離脱を問う国民投票がある。今週は世論調査で、初めてEU
脱支持率が、EU残留支持率を上回った。」

M「ああ。今後も世論調査出てくるだろうけど、それら次第では警戒感強まる恐れ
もあるかもな。ただ逆に安心感に繋がる期待もあるけどな。」

T「いずれにしろ目が離せない。突如懸念強まったりする恐れもあり、楽観視は出
来ないだろう。」

M「そういう状況で来週のメジャーSQどうなるのか注目だな。先物主導で荒い展開
にならなければ良いのだが・・・。」

T「ただ新興市場がかなり落ち着いてきているし、週明け新興市場しっかりとなれ
ば、投資家心理にはプラスに働く。」

M「そうだな。それら含めて注目しておきたい。期待したいモンだ。」