◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆ 2016/07/09(土)発行

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◆◇地場者の立ち話~番外編~◇◆
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T「今週は日本市場は反落となった。先週までの戻りも一服感が見られ、週末にか
け売られてしまった。」

M「ああ。先週上げた分の多くを吐き出した格好だ。まさに行ってこいだが、英EU
離脱問題、いわゆるブレグジット問題への懸念が意識されているだけに仕方ないと
もいえる。」

T「そうだな。今週はブレグジット懸念もあって、英国の不動産ファンドが相次い
で換金停止に踏み切ったり、欧州金融機関の財務問題も懸念視された。」

M「ああ。まあ欧州金融機関の財務問題は以前から懸念されていたが、ブレグジッ
ト問題が懸念拍車をかけた格好だ。」

T「ドイツ銀行なんて株価は過去最安値を今週更新しているしイタリアの銀行もか
なり懸念視されている。」

M「そうだな。ブレグジットが欧州金融不安に発展するのではと言う懸念が今週は
強まったと言えるだろう。」

T「そういった事から日本市場も軟調で、やはり銀行など金融株も結構売られた。」

M「ああ。メガバンクなど銀行株には、安値更新した銘柄も目立っている。つまり
国民投票後に派手に売られた水準を今週下抜けてきているということだ。」

T「それに不動産株も今週は下落が目立っていた。」

M「英国で不動産ファンドが相次ぎ解約停止したことをうけ、英不動産バブル崩壊
が懸念されている。日本の大手不動産は英国で不動産事業も手掛けているだけに悪影響が懸念された。」

T「ただ英国事業での売上比率なんて全体の売上げからすれば微々たるモンだろう
。」

M「心理的な面が強いだろう。それに英国発で、世界的に不動産投資が鈍化すれば
、日本の不動産市況にも悪影響になり得るからな。そこまでの懸念も意識されてい
るのかも知れない。」

T「大手不動産株も今週安値を割り込んできている。」

M「今週は再び世界同時株安的な展開だったと言えるんだが、そんな中、米国株と
英国株は強かった。」

T「確かに・・。大きく下げた日もあったが、先週までの戻りが大きいくせに、大
した下げじゃない。しかも昨日は大きく上昇し、英FTSE100、米ダウ、米S&P500指数
は年初来高値更新している。」

M「ああ。昨日は注目の米雇用統計が発表されたが、雇用者数は市場予測を大幅に上まり強い数字となった。」

T「それが好感され米国株は大幅高だ。前回の雇用統計がえらい弱い数字となり、
米雇用情勢への警戒も意識されてきただけに、昨日発表された数字で安心感に繋がったと言うことだろうな。」

M「ああ。ただブレグジット問題もあり、即利上げという懸念には繋がっていない
。賃金の伸びも言うほど強くないし、何よりも次回の雇用統計への警戒はあるだろ
う。」

T「まあ次回、つまり7月の雇用統計だな。それは完全に英国民投票後の事になるだ
けに、米雇用情勢に悪影響が出ている恐れもあるからな。」

M「ああ。それだけに今回発表された6月雇用統計が幾ら強くても、利上げというこ
とには繋がらないし、超低金利政策はまだ当面続くと言うことになる。」

T「利上げ懸念でないなら、米経済指標は強い方が好感されるという訳か・・。」

M「だろうな。」

T「まあ米国経済は確かにまだ強い状況だし、米国株が買われるのもヨシとしよう
。ただ英国の年初来高値更新って何だ?」

M「ブレグジットは確かに英景気に悪影響だろうけど、それが解っているだけに政
策だって出てくるだろうし、そういった期待が強いんだろう。」

T「まあ既に英中銀総裁は金融緩和を示唆しており、来週の会合で利下げされると
見られている。」

M「ああ。それによってポンドがえらい売り込まれており、それも英景気に追い風
という見方が強い。」

T「確かにそれはあるだろうな。日本だって円安になれば輸出企業には追い風で、
日本株全体にも追い風になるんだから。」

M「それに英国株は高値更新といっても、ドル建てで見ればまだまだ安い。そうい
った面からも、米国勢から見れば値頃感から、見直し買いも入りやすいのかもな。」

T「なるほど。しかし日本株は弱い。先週の戻りも鈍かったが、今週再び安値付近
まで売り込まれるなんて・・。」

M「日本株は為替の戻りが鈍いからな。円高圧力がえらい強く、円安へと戻してい
けない状況だ。それが株価の重しとなっているのは間違いないだろう。」

T「だよな。昨日の米雇用統計は強い数字が出たんだが、それでも円安へと振れて
いない。発表直後、円安へ振れたものの、すぐに切り返して、逆に円高へと進行す
る場面もあった。」

M「ああ。1ドル100円割れとなる場面もあったようだ。あの雇用統計でドル売り円
買いって・・・。如何に円買い圧力強いのか良く解る。」

T「つまり米経済指標などでドル買い円売りになったところでは、絶好の円買い場
面だと見ている向きが多いんだろうな。」

M「そうかもな。円買いを狙っている向きが多いといえ、ちょっと円安へ振れると
、ここぞとばかりに円買いに動いてくるのかも知れない。」

T「今朝発表されているシカゴ投機筋のポジション動向では、円先物の買い越しポ
ジションが増加している。ヘッジファンドなどの投機筋は円買いポジション積み上
げている格好だ。」

M「円買い安心感もあるのかもな。日銀はどうせ動けないし為替介入なんて事も出
来ないと見られているだろう。」

T「月末には日銀会合があるが、追加緩和への期待も乏しいという訳か・・。」

M「というか、大したことは出来ないと見られているのかもな。追加緩和したとし
ても。それで一時的に円安へ振れれば、それこそ絶好の円買い場面にされてしまう
恐れもある。」

T「なるほど。ようはナメられているンだろうな。」

M「ああ。出来れば投機筋が白旗上げて円買いポジション投げてくるような、追加
緩和でも打ち出して欲しいモンだが・・・。」

T「そうだな。取りあえず明日は参院選だ。どういう結果になっても株価や為替へ
の影響は限定的と見る向き多いが、週明けの日本株注目したい。」

M「取りあえず米国株が上げたおかげで、シカゴ日経先物は高く返ってきている。
為替が重しとなりそうだが、週明け日本時間に入ってからの為替動向に注目したい
。」

T「そうだな。日本時間で円安へ振れてくるという可能性もあるかも知れないから
な。」

M「まあ難しいとは思うが注目だな。期待したいモンだ。」