地下水異常数値の原因 豊洲の“盛り土”は再汚染されていた

地下水異常数値の原因 豊洲の“盛り土”は再汚染されていた

2017年1月20日
http://static.nikkan-gendai.com/img/article/000/197/904/7a39487cfd377c2ed3291d0c8ce84e0c20170120134019149_262_262.jpg 地下水管理システムはもはや破綻している(C)日刊ゲンダイ 拡大する

 猛毒シアンが検出されるなど環境基準値を大幅に超える汚染物質が検出された「豊洲市場」(東京都江東区)の地下水問題。都は近く再調査を行って異常数値の原因を探る予定だが、今回の問題でハッキリしたことがある。地下水管理システムの「破綻」と建物地下の盛り土の「再汚染」の可能性だ。

 地下水モニタリング調査の測定値が1~8回までと比べてハネ上がった理由の一つとして挙げられているのが、地下水管理システムだ。都が「土壌汚染対策」の“切り札”と位置付けていたシステムは、市場の地下水から揮発したベンゼンやシアン化合物などの汚染物質が地上に漏れないようにするため、地下水を定期的にくみ上げ、地下水位を海抜1.8メートル以上に上昇しない――ように設置された。

 揚水井戸は58カ所(揚水能力1日600立方メートル)あり、昨年10月に本格稼働。これによって地下水が流動化し、汚染濃度も上昇したというのだが、この仮説が事実であれば、“切り札”を動かすほど「汚れる」ことになる。まったくデタラメな話なのだが、致命的なのは、地下水位がいつまで経っても海抜1.8メートル未満にならないことだ。19日の時点でも、青果棟、水産仲卸売り場棟、水産卸売り場棟で観測された21カ所の地点の地下水位は海抜2.01~3.72メートルだった。


■都は高濃度汚染土を全部除去していない?

 昨年10月の都議会「経済・港湾委員会」で、共産党の尾崎あや子議員はシステム稼働当初の地下水位が平均で4メートルあった点を問題視。〈海抜2メートルの地下空間底面の砕石層よりも、2メートル以上、上に地下水位があることになります。このことは、海抜2メートル上の盛り土層が汚染地下水にどっぷりとつかっており、盛り土の再汚染が起こっていることを示す重大なこと〉と言い、〈地下水管理システムは機能しておらず、地下水のくみ上げに失敗していることを意味します〉と指摘していた。どんなにきれいな土を盛り土しても、汚染水でジャブジャブになれば何ら意味がない。

 尾崎議員があらためてこう言う。

「管理システムの破綻も問題ですが、それ以上に疑わしいのは、そもそも都は豊洲の汚染土をすべて取り除いていないのではないかということ。昨年12月議会で追及したところ、都側は汚染土が残っていることを認めるような答弁をしていたからです。システムが稼働し、残っている汚染土が紛れ込んだ可能性もあります」

 整備費用に約6000億円も投じた豊洲市場の地下は、一部で盛り土がされておらず、入れ替えた盛り土も再汚染し、さらに高濃度の汚染土自体が残っている――としたら、こんなにフザケた話はない。特別委で徹底追及しなければ都民は到底納得しないし、開場は絶対ムリだ。