食品容器に使える材料指定 安全確保狙い法改正へ

食品容器に使える材料指定 安全確保狙い法改正へ

 厚生労働省有識者検討会は25日、弁当の容器などに使う原材料について、規制方法の見直しを求める報告書を取りまとめた。現行制度は特定の化学物質以外は使えるが、これを国が許可した化学物質のみ使える制度に改める。現在は被害が出たときに迅速に規制ができず、安全性をより高めるのが狙い。厚労省は来年の通常国会食品衛生法の改正案を提出する方針だ。

 食品衛生法に基づき原材料の規格基準が定められているのは、食器や調理器具、清涼飲料水の容器、レトルトのパウチなど多岐にわたる。健康被害が出る恐れがある化学物質を規制しているが、規制対象以外であれば、たとえ海外で使用が認められていない化学物質でも使える。

 有識者検討会は報告書で、国が許可した化学物質以外は原則として使えないようにする「ポジティブリスト制度」の導入を提言した。まずはプラスチック製の容器など幅広く使われている「合成樹脂」を対象とし、金属や紙などは引き続き検討していく。輸入品も同制度を適用し、輸入時の確認方法などを今後詰めていく。

 容器などと食品が接触する部分だけでなく、直接、接触していなくても、化学物質が溶出して食品に触れる恐れがある場合は制度の対象にすべきだとしている。

 報告書では、制度変更に伴う中小企業への配慮を明記し、準備期間を十分に設けることを求めた。容器などに使われている原材料について、同制度に適合しているか、消費者が確認しやすい方法を検討していくことも必要だとしている。

 米国は1958年にポジティブリスト制度を導入。近年、欧州連合(EU)が2010年に導入したほか、韓国やタイが導入を検討するなど、同制度は世界的な流れになっている。国内では業界団体が使用できる化学物質のリストを自主的に定めているが、制度を導入することで業界団体に加盟していない企業も規制できる。