意外、アスリートに多い通風
意外、アスリートに多い通風…適正な食事と運動で尿酸の上昇抑制を
高尿酸血症という言葉を聞いたことはありますか? 血液中の尿酸という成分が多くなっている状態で、これが過剰になると有名な「痛風」になります。放っておくと大変ですよ、といわれても、「命にかかわるものではないから大丈夫」と甘く見ていると痛い目にあいます。決して痛風だけではないのです。敵を知らずして戦えませんので、まず「尿酸」がどのようなものかを説明いたします。
体の新陳代謝の過程で生じる老廃物の中に「プリン体」という物質が含まれており、これを原料として尿酸が作られます。「プリン体」という言葉はテレビCMなどでもちょくちょく出ているので、聞いたことがあるかもしれません。食べ物や飲み物にも含まれていますが、体内で作られるほうが多いとされています。
尿酸は尿中に排出され一定の濃度に維持されているものの、摂取量が多かったり、分解排泄(はいせつ)能力が低下したりすると血中尿酸値が上昇し、限度を超えてくると関節などに少しずつ蓄積し、痛風を引き起こすといわれています。近年、高尿酸血症の人は正常の人に比べてメタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)、高血圧、糖尿病などの合併率が約3倍になることが知られています。
また、尿酸自体が血管に炎症を引き起こし動脈硬化を進行させて、脳梗塞や脳出血といった脳血管障害、心筋梗塞などの危険性が上昇するともいわれています。症状がなくても検査基準に引っかかるようになれば、治療を検討しなければなりません。
では、血中尿酸値を上昇させないためには、どうすればよいか? まずプリン体摂取を抑えることです。プリン体というと「ビール」のイメージが強いと思いますが、食べ物にも多く含まれており、注意が必要です。特に肉類、その中でもホルモン系統は含有量が多いとされます。干物類、ウナギ、エビなども比較的多い部類です。
あとは体内で過剰にプリン体を産生させないため、運動の仕方にも工夫が必要です。急激に強い負荷の運動を行うと体内でプリン体の産生が起こりやすいとされるので、メタボと縁遠いと思われるアスリートに意外と痛風が多いのです。十分な準備運動を行い、適度な強さの運動を心がけてください。適正な食事バランスと適度な運動で体の調子を整え、血中尿酸値を上げないようにしましょう。