退国家の日本で最後に生き残るのは「一握りの投資家」だけと知れ

衰退国家の日本で最後に生き残るのは「一握りの投資家」だけと知れ=鈴木傾城


日本は手遅れだ。もう、どんな名政治家が出てきても、どんな提言が為されても、どんな少子化対策が実行されても「遅すぎる」ということに気付かなければならない。(『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』鈴木傾城)
※本記事は有料メルマガ『鈴木傾城の「ダークネス」メルマガ編』2017年8月6日号の抜粋です。ご興味をお持ちの方はぜひこの機会にバックナンバー含め今月分すべて無料のお試し購読をどうぞ。

プロフィール:鈴木傾城(すずき けいせい)
作家、アルファブロガー。政治・経済分野に精通し、様々な事件や事象を取りあげるブログ「ダークネス」、アジアの闇をテーマにしたブログ「ブラックアジア」を運営している。

悲惨極まりない日本の未来を覚悟して、「現実主義」で生き残れ

すべては手遅れ

河合雅司氏の『未来の年表~人口減少日本でこれから起きること』は、今、日本に投資しているすべての日本人が読まなければならない最重要図書であると言える。
日本人はもう民族的に増えることがない。すでに日本人は減り始めている。そして、これから何が起きるのか、『未来の年表』はそれを克明に記してくれている。

18歳人口が大きく減る。国立大学も倒産する。世帯数も2019年にピークを迎えてそれから減少を迎えるIT技術者も同時に減り始めて、技術的にも世界に遅れていく
2020年には女性の過半数が50歳以上となり、出産可能な女性数が大きく減り始める。
2022年には団塊世代が75歳以上となり単身世帯が本格化していく。この団塊の世代は2024年に全員が75歳以上になって、ここからさらに社会保障費が増大していく。
唯一、全国から人を飲み込んでいた東京もこの時期から人口がピークを迎えて、ここから完全に日本はすべての地区で人口減を避けられなくなる。東京郊外でも今の地方で見られるのと同じゴーストタウン化が始まる。

もう、どんな名政治家が出てきても、どんな提言が為されても、どんな少子化対策が実行されても「遅すぎる」ということに気付かなければならない。
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日本社会は、持続可能ではなくなっている

そして、私たちが自覚しなければならない衝撃的なことがある。それは、日本民族は外部から攻められなくても、少子高齢化で自滅していく確率が高いということだ。
減り続ける若年層と、増え続ける高齢層の同時並行で、日本は今の社会を維持できなくなり、あと数十年で国家の衰退は目を覆うほどの惨状となる。
現代の社会保障制度が破綻する確率の高い2050年で、外部からの攻撃や侵略がなかったとしても日本の国家は維持できているかどうか分からない。
今の日本民族少子高齢化が解決できないという一点で、絶滅が避けられないのである。日本社会は、持続可能な社会ではなくなった。

これが意味するところは、すべての投資家は「どんな形であれ、日本に長期投資をするのは間違っている」ということを意味する。
日本に賭けてはならない。それは勝てる確率が低いという点で合理的ではない。
中国がどのように動くとか、北朝鮮が日本を攻撃するかもしれないとか、そんな話は関係ない。
それ以前に、日本人は少子高齢化という「静かなる国家存続の危機」を止められないのだから、それを無視して日本に投資するということ自体が間違っている

長期投資は成長と利益を吸い上げて複利で資産を増やしていく手法だ。そのため、衰退していく国の株式市場に金を投じるというのは、衰退に巻き込まれるということをも意味する。
日本は若年層の人口が消えて高齢層の面倒を見るために国家予算が消えていくので、当然だが技術の継承もできなくなり、技術革新も生み出せなくなっていく。
日本民族そのものが高齢化で衰弱するのだから、内需も消えて人材も得られない日本企業が成長していけると考えるのは、あまりにも楽観的過ぎる。
もう少子高齢化は解決できない問題と化したのだから、日本に投資する必要性はほとんどない。なぜ日本に資金をおかなければならないのか。資金は将来性のある場所に持っていかなければならない

誰がどう見ても勝ち馬はニューヨーク株式市場だ

日本という国が破綻し、日本民族が自滅しても、日本企業が巨大化して利益を世界中から吸い上げる構図ができているのであれば、日本の優良企業に投資する意味はそれなりにある。
しかし、日本の企業はROE株主資本利益率)の低い非効率な企業が多く、さらに株主に報いるために高配当をする企業も数が少ない
その上、数十年に渡って配当をきちんと出し続けたり増配したりする企業はかなり稀だ。さらに自社株買いをして

1株あたりの利益を上げる努力をする企業もあまりない
日本企業に長期投資するなら、こうしたハンディをすべて受け入れなければならない。
日本という国や社会が自滅しても、企業が利益を膨れ上がらせて株主に報いるのであれば誰も文句は言わないが、株主に報いる体質ではないのなら、なぜわざわざそんな企業に投資しなければならないのかを自分に問わなければならない。

ニューヨーク証券取引所に上場している世界に君臨する多国籍企業は、すさまじいまでの利益率を叩き出して、配当を惜しげもなく配り、自社株買いで1株の価値を増大させている。
世界を変革するイノベーションアメリカの多国籍企業から生まれており、そのために全世界の資金がそこに集まって株式市場の時価総額を膨れ上がらせている。
日本の株式市場は今もバブル期の日経平均3万8915円を追い抜いたことが一度もないのだが、そんな不甲斐ない状況を尻目にニューヨーク株式市場は現在、市場空前の最高値に達しているのである。
誰がどう見ても勝ち馬はニューヨーク株式市場である。

これからもアメリカの株式市場が資本主義の中心となるのが分かっているのに、なぜ老衰と衰退が見えている日本に資金を投じる必要があるのか。
長期で資産を膨らませることを考えているのであれば、さっさと日本の株式市場から資金を引き揚げて、勝ち馬が勢揃いしているニューヨークの株式市場に持っていくべきなのである。
日本円ベースの資産など持ってはいけない。貯金であれ株式であれ不動産であれ、いかなる形であっても日本円ベースの資産を持たないのが正解だ。

いずれは円の価値は、今の水準を保てなくなる

もちろん、日本の株式市場で利益はまったく得られないというわけではない。中には長きに渡って投資家に報いる素晴らしい企業はどこかにあるのかもしれない。
しかし、ニューヨークではそうした企業がゴロゴロとあるのだから、わざわざ日本でワラの中の針を探すような労力をかける意味があるのだろうか。
ニューヨークに上場している優良企業に投資しておけば、頭を使わなくても資産が増えるのだから、常識的に考えればニューヨーク株式市場の優良企業を選ぶのが効率的だ。
魚が釣れない池ではプロでも苦慮するが、魚が大量にいる池では素人でも入れ食いになる。どう釣るかよりも、どこで釣るかが重要だ。

アメリカの企業に投資するということは、資産がドルベースになるということだが、そうなると為替の動きに神経質になる人もいる。これも心配する必要はまったくない。
民族が減少し、社会保障費が増大して疲弊していくのが100%分かっている国の通貨が、今後も人口増加とイノベーションが見込まれるアメリカの通貨よりも強くなると考えるのは常識的ではない。
アメリカの国家も相当ひどい状況で、政治もかなり混乱しているのだが、それでもまだ日本と違って将来性はある。

相対的に見ると、いずれは円の価値は今の水準を保てなくなるのは必然であり、将来のどこかのタイミングで円安ドル高は避けられない
遠い将来のどこかで間違いなく相当の円安ドル高となる。その時、ドル資産を持つことによって日本の衰退と自分の資産を切り離すことが可能になる。
少子高齢化が解決できない時点で、日本政府は膨れ上がる社会保障費で首が絞まった。そして、日本国民を助ける能力を喪失しつつある。

そんな国家の苦境が明らかになっているのだから、私たちは国に頼れないこの危機的な日本の中で「自分ひとりの力」で生き延びなければならない。
心配ない。現実主義に徹して合理的な判断を積み上げていけば生き残れる。