染色体異常確定で中絶が98% 新型出生前検査


染色体異常確定で中絶が98% 新型出生前検査

妊婦の血液を分析しておなかの中の胎児に染色体の異常があるか判定する新型出生前検査について、検査を実施する医療機関で作るグループが5年間の臨床研究の結果をまとめたところ、異常が確定し出産が可能だった人のうちおよそ98%が人工妊娠中絶を選んだことがわかりました。
新型出生前検査は、妊婦の血液を分析しておなかの中の胎児にダウン症など3つのタイプの染色体異常があるか判定する新しい検査で、国内では検査の有効性を確認するために遺伝カウンセリングの実施など日本産科婦人科学会が、定める要件を満たした医療機関が臨床研究として5年間行ってきました。

検査を実施する医療機関で作るグループがその結果をまとめたところ、去年9月までに新型出生前検査を受けた妊婦は、5万1000人余りで、このうち、胎児に染色体の異常がある可能性が高いことを示す「陽性」と判定されたのは、1.8%に当たる933人で、その後、さらに詳しい検査で異常が確定したのは700人だったということです。

異常が確定した人の中で、自然に流産した人を除く668人のケースをさらに分析すると、14人が妊娠を継続し、人工的に妊娠中絶を選択したのは654人だったということで、胎児の染色体の異常が確定し出産が可能だった人のうち人工妊娠中絶を選んだ人は、およそ98%となりました。

グループの代表で、国立成育医療研究センターの左合治彦医師は「この中絶率は、染色体異常がどのように捉えられているかを反映したものと考えている。検査を希望する際には、受ける必要が本当にあるかや異常がわかったときにどうするか、十分考えたうえで受けてもらいたい」と話しています。

小児医療に長年携わる東京女子医科大学の仁志田博司名誉教授は「日本は、病気や障害のある人に対する社会的な受け入れ体制がまだまだ不十分で、病気の人を排除する雰囲気が強まってしまうのは危険だ」と指摘しています。