スマート家電で変わる電力市場、欧州が目指す未来図
スマート家電で変わる電力市場、欧州が目指す未来図
これは、スマート家電に搭載されたアルゴリズムが、風力発電や太陽光発電による電力の供給量が上昇し、電力卸取引市場のスポット価格が下落した瞬間に自動的に反応し、家電を動かすことで実現する。家計を節約することができ、電力市場のバランスも保たれる。
ほとんどの電力会社が以前から夜間割引料金を提供しているが、2020年に導入される見通しのEUの新ルールでは、晴れの時や風が強い時間帯、分散された時間帯や、事業者が休みの週末などの電力使用を利用者に促すような、柔軟な選択肢を提供することが義務付けられる見通しだ。
需給で価格が変動するダイナミックプライシングの電力契約は、すでにスペインやスカンジナビア諸国では広く提供されている。だが英国やフランスのような欧州最大級の市場では導入が始まったところで、欧州の電気小売業界が大きく変化する可能性があると、アナリストは指摘する。
「再生可能エネルギーの増加と、スマートメーター、ネット接続家電の普及がダイナミックプライシングを後押しするので、これからは、欧州の消費者は電力の卸市場が提供する機会を利用できるようになるだろう」と、アクセンチュア・リソーシズのジャンマルク・オラニエ、グループ最高経営責任者(CEO)は話す。
欧州や、米国やオーストラリアなど他の先進国電力市場でも、まだこうした変化は緒に付いたばかりだ。ほとんどの場合、電力会社は卸供給の増減や使用時間に関係なく固定価格で電気を売っており、ダイナミックプライシングは市場のほんの一部でしか導入されていない。だがそれは、成長しつつある。
調査会社ナビガント・リサーチのアナリスト、ブレット・フェルドマン氏によると、ダイナミックプライシングを利用する世界の顧客数は、2018年の450万人から2025年までには7500万人になるとみられており、そのうち1500万人が欧州在住になると予測されている。